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貧血、あるいは隠れ貧血ではありませんか?(2016.10.18.)(2017.02.01.更新)

  

5の貧血チェック法だけでもご覧ください。該当すれば、食生活の改善です)

  

1.【はじめに】   
2.【貧血(=鉄欠乏性貧血)、隠れ貧血(=潜在性鉄欠乏性貧血)について】   
3.【貧血の症状】   
4.【貧血になる原因】   
5.【貧血の簡易チェック法】   
6.【鉄分を摂りすぎる弊害は?】   
7.【貧血対策】   
8.【まとめ】   

    

1.【はじめに】   
実は日本、貧血大国です。おまけに、現状「ほとんど無策」。その結果、50歳未満の日本人女性の22.3%が貧血で、そのうちの25.2%(全体の5.6%)は重度の貧血。また、妊婦の30~40%が貧血という(*1)、発展途上国に近い有病率になってしまっています(潜在性鉄欠乏性貧血を含めると60%にものぼるという報告あり)。   
しかし、貧血は日本女性だけの問題ではありません。WHOの調査では、世界で最も多い栄養障害は“鉄不足”で、全世界人口の3分の1、約20億人が鉄欠乏性貧血に悩んでいるとされています。特に5歳以下の子供ではその約4割、妊婦では約5割が鉄欠乏性貧血であると言われています(実際、イスラエル、インド、ベネズエラ、ペルー等国別データでは、貧血の人の割合は妊婦が3割弱から約6割、妊娠していない女性でも2割前後、国によっては4割近くにも及びます)。   
ところで、男性(成人男性)はほとんどの国で1割以下と、貧血の割合はかなり低く保たれています。   
つまり、鉄欠乏性貧血は、世界的に多い病気というだけでなく、特に「女性に顕著な病気」なのです。   
  
(*1)   
妊娠出産の適齢期を迎えた女性は、ある時期から赤血球を減らして副交感神経の体調を作り上げていきます(来るべき妊娠出産に備えてリンパ球を増やし、女性ホルモンの分泌を活発にしていく、れっきとした必然性を持った生理的な反応)。   
従って、適齢期を迎えた女性は、だれもが多かれ少なかれ貧血傾向を示します。   
鉄剤を処方された場合、本当に必要なレベルかを確認しつつ、副作用を経験する方も多いようなので、事前に知識を得て、準備をされるとよいかと思います(過剰症にならないように気をつけください)。   

     

2.【貧血(=鉄欠乏性貧血)、隠れ貧血(=潜在性鉄欠乏性貧血)について】   
健康な人の体内には、およそ3~4gの鉄が存在しています。その約70%は血液中の「ヘモグロビン」に含まれており、約25%は骨髄や肝臓、脾臓などに「フェリチン(=貯蔵鉄)」として蓄えられています(フェリチンというタンパク質に包み込まれた鉄ということで、フェリチン、あるいは貯蔵鉄と呼ばれる)。   
そして、ヘモグロビンを作るために鉄が足りなくなると、予備の貯蔵鉄、フェリチンから一定の割合で溶け出し補充されます。この段階では、まだヘモグロビンや赤血球に影響は出ていないため、通常の血液検査では正常値内となりますが、このフェリチンが減ってしまっている状態を「潜在性鉄欠乏性貧血」といいます。   
そして、フェリチンが底をつくと血清鉄 (血清中に存在するヘモグロビンの原料となる鉄のこと)が減り始め、さらに進行してヘモグロビンの生成にも支障をきたすようになると、通常の血液検査でもはっきりわかる「鉄欠乏性貧血」になるというわけです(フェリチン⇒血清鉄⇒ヘモグロビンの順で減る)。   
なお、潜在性鉄欠乏性貧血は、鉄欠乏性貧血よりも鉄不足の程度は軽いといえますが、それと気づかなかったり、深刻な症状が出ることも多いので注意が必要です。頭痛あるいは頭の重さ、めまい、肩こり、手足の冷え、のどの閉塞感・・・。これらの症状がそろってある人は、潜在性鉄欠乏性貧血のおそれがあります。早めに受診して、“血清フェリチン値”(貯蔵鉄量を見積もれる)を調べてもらいましょう。   

        

*通常の貧血検査は、「血液中に存在する鉄のみ」を平均値で良否判定している   
為、基準下限値付近の方の貧血は見逃されやすい状況にあります(体内の鉄不足   
がかなり進行するまで正常値と判断されてしまう)。そのような下限値近くの方   
は、骨髄や肝臓などに貯蔵されている鉄の量を間接的に反映している“血清フェ   
リチン”を調べる必要があります。そして、もし貯蔵鉄の量が少なければ、体内   
の鉄量は余裕がない状態になっており、すぐに鉄補給を開始しても、貯蔵鉄の回   
復には半年近くも要してしまうそうです(ドラッグストアやコンビニにある鉄の   
サプリでは濃度が薄い為、鉄が蓄積されるところまでは至らない、つまり役立た   
ずとのこと)。   

     

3.【貧血の症状】   
鉄欠乏性貧血は、顔色が悪い、めまいや立ちくらみがする、息切れ・動悸がする、頭痛がする、疲れやすい等の一般的な症状が見られます。その他、爪がもろくなったり、毛髪が弱くなったりします。いろいろありますが、貧血は、その原因によって、いくつかの種類に分類されます。しかし、どの貧血タイプにも共通して現われる以下3つの症状があります。   
①組織の「酸素欠乏」による症状   
「脳」が酸素不足になれば、頭痛、めまい、耳鳴り、ふらつきが起こりますし、「心臓の筋肉」が酸素不足になれば、狭心症になります。「骨格筋」が酸素不足になれば、易疲労感や倦怠感、脱力感が生じます。いずれも、酸素が不足した組織が悲鳴をあげていることの表れですが、私達の身体は、脳や脊髄など重要な器官に優先的に酸素を送るようにできています。ですから、体内に供給される”酸素の量”が減ると、まず手足の先や筋肉などの末梢部分から酸素が不足していきます。貧血になると疲れやすい、だるいといった症状が起きるのも、手足のしびれや肩こりが起きるのも、そのためです。   
また、酸素不足になれば、当然二酸化炭素などの老廃物もきちんと排出できなくなります。するとその部分の細胞や器官は、新陳代謝がうまくいかなくなります。顔の皮膚がそのような状態になれば、肌荒れやシミ、ソバカスといったトラブルが起きやすくなります。   

     

②酸素欠乏の「代償作用」による症状   
人体は、酸素が不足していると感知すると、何とかして酸素の不足を補おうと努力します。例えば、より多くの酸素を取り入れようと呼吸数を増やしたり、より多くの血液を送り出そうと心拍出量や心拍数を増やしたり・・・・。簡単に言えば、血液が薄くなった分を“送りだす量の増加”で補おうとするのです。その結果起こるのが、息切れや動悸、頻脈などとなります(このような症状が続くと、肺はなんとか酸素不足を解消しようとして呼吸を速め、心臓も身体の隅々まで酸素を送ろうとして、いつもよりも鼓動を速くします。つまり、貧血は、“肺や心臓の病気の引き金”にもなります。)。   

     

③「赤血球量の減少」による症状   
顔色が悪くなったり、眼瞼結膜が白っぽくなったりします。   

     

*原因によって症状の出方が異なることもあります。   
例えば、消化管出血のように貧血が短時間で起きる場合と、再生不良性貧血のよ   
うに数ケ月から数年かかって貧血になる場合。一般論として、急速に貧血になる   
と、息切れや倦怠感などの症状が出やすいですが、ゆっくり進んだ貧血では、   
そうした症状があまり出ません。ヘモグロビン濃度が健常な人の半分以下になっ   
ても、全く症状を自覚せず、日常生活を送っている人もいるくらいです。貧血だ   
からといって、誰もが全ての症状を呈するとは限りません。   
*鉄は、「体温を調節する酵素の働き」にも関与しています。ですから、鉄が欠乏   
すると体温調節機能が低下しますし、熱消失を防ぐため血流も減少するので、   
冷え症になりやすいといったことも起こります。   
*鉄が不足すると感染症にかかりやすくなることが、動物実験などからわかってい   
ます。なぜかというと、鉄が欠乏すると、細菌を殺す役目の白血球が、細菌を殺   
せなくなるからです(免疫機能低下)。実際に鉄が欠乏している人では、下痢や   
胃腸炎、気管支炎、皮膚炎などにかかりやすいことがわかっています。   

     

4.【貧血になる原因】   
健康な人が食事で摂る鉄の量は1日に10〜20mg程度ですが、体に吸収されるのは、せいぜい1mg余り(1割前後)です。しかも、毎日1mg前後の鉄が排出されます。女性は1回の月経で月平均45mlの失血がありますから(赤血球1mlにつき鉄1mgなので、ヘマトクリット50%とすると20mgの鉄を失います)常に鉄の吸収・排泄のバランスが負になり易い状態にあります。それが【はじめに】に書いた、「女性に顕著な病気」という原因の一つですが、ここではそれを含めた九つの原因を示します(参考書籍からの引用)。   

     

◆栄養摂取不足(単純に鉄分摂取量不足の場合と、蛋白質・ビタミン不足により鉄   
分を吸収し難くなっている場合あり)   
厚労省が実施した2013年の「国民健康・栄養調査」によると、米などの穀類、魚介類、肉類、卵、大豆、野菜などを組み合わせた栄養バランスの優れた食事を3食摂っている人は、男女とも60・70代以上は40%を超えたのに対して、20代女性は24.6%、30代女性は23.8%、20代男性は28.2%でした。妊娠可能な若年女性の大半が、栄養バランスの崩れた食事をしていることになります(その背景の一つとして、例えば参照)。   

  

◆知識不足   
乳幼児に対する例だけいくつか挙げておくと、   
・十二指腸と空腸上部で吸収される鉄ですが、人工乳の場合、その吸収率は7%程   
しかありません(母乳の場合20%)。   
・乳児期の鉄欠乏は、成長障害、免疫機能障害、精神運動発達遅延、認知障害な   
ど、その後の10~20年という長期にわたる影響を及ぼす可能性があります   
(近年、3歳未満の子供における鉄欠乏性貧血と、さらに「貧血にはなってい   
なくても、鉄欠乏状態であること」が神経発達障害に影響を与えることがわかっ   
てきました)。   
・乳幼児が牛乳を大量に飲むと、鉄欠乏性貧血と血液中のタンパク質が低下した低   
蛋白血症を合併することがあり、俗に「牛乳貧血」と呼ばれています。   

     

◆吸収不足(胃腸の不調)   
貧血にいいとレバーを食べるように心がけたり、栄養補助剤に高いお金を費やしても、貧血はなかなか治りません。なぜでしょうか。   
答えは簡単です。胃と十二指腸が十分に働いていないからです。   
消化、吸収の機能が働いていないのに、口から栄養をいくらたくさん放り込んだところで、何も解決しません。   
*こういう人の多くは、胃の裏に当る部分の背骨に沿った筋肉が張っています。   
圧痛があったりします。また、冷えが原因のこともあります。   
これらの問題を解決すると、簡単に消化、吸収力が改善して、血液をつくるのに   
大切な役割を果たすビタミンや栄養を有効に摂取できるようになります。   
*胃腸の不調とは無関係ですが、カフェインは鉄分の吸収を阻害したり、体から亜   
鉛やカリウム、カルシウムなどのミネラル、ビタミンCやB群を奪います。   
このためエネルギー代謝をはじめとする多くの代謝に支障が出ることになり   
ます。   
さらにカフェインの過剰摂取(コーヒーを一日に4~5杯)は、ホルモンバ   
ランスを崩すとも言われています。   
カフェインの摂り過ぎにはお気を付けください。   

     

◆出血で鉄が排出されて不足   
この項目の最初に月経による出血を挙げましたが、出血の理由はそれだけではありません。痔や胃腸の病気、女性の子宮筋腫などの病気によって、少量の出血が長期間続くことで、鉄欠乏状態になりやすくなります。   
なお、男性は男性ホルモンの働きもあり、鉄不足になりにくいので、男性で鉄欠乏性貧血と診断された場合、胃・十二指腸潰瘍、大腸がん、痔など、体のどこかに出血をきたす病気が隠れている可能性を考慮する必要があります。   

     

◆鉄の需要が多い(妊娠・出産・授乳)   
妊娠中は鉄分を胎児に与えることになる為に、出産は体外へ直接出血がある為に鉄不足となります。また、母乳にも鉄が含まれている為に、授乳中の女性は鉄不足になりやすい状況にあります。   

     

◆スポーツのダメージ   
スポーツによる急激な発汗では、汗を再吸収する仕組みが追い付かず、汗と共に体内から鉄が失われてしまいます。このため、大量の汗をかくアスリートは貧血になりやすいのです。スポーツの中でも特に、剣道、バスケットボール、マラソン、サッカー、バレーボールといった足の裏や体に衝撃がかかるスポーツでは、実は衝撃を受けた部分で血液中の赤血球が破壊されています(程度が軽い場合、ヘモグロビンは腎臓で再吸収されるため、血尿がでることはなく、また、鉄も喪失しません)。   
*スポーツ貧血がもたらす症状には、頭痛、めまい、腹痛、疲れやすさといった通   
常の鉄欠乏性貧血の症状の他に、練習中の虚脱感や深刻な疲労などがあります。   
それらは、時間をかけてゆっくりと進行する為、本人は気づきにくいものです。   

     

◆腎臓機能低下   
腎臓は、体内の老廃物をろ過して、尿として排泄する働きだけでなく、赤血球をつくる働きを助けるエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。腎臓が悪くなってエリスロポエチンが分泌されなくなると、赤血球をつくることができなくなり、貧血になってしまいます。   

     

◆糖分の摂り過ぎ   
食後や食事の合間などに、甘いモノをよく食べている人は要注意です。実は糖分の取り過ぎも、貧血の引き金になるからです。ビタミンBは別名「造血のビタミン」とも呼ばれ、血液を作るのに必要です。一方、糖分は体内に入るとブドウ糖に変換されますが、その変換にも大量のビタミンBを消費します。つまり、糖分の変換にビタミンBが回されてしまい、血液を作ることができなくなってしまうのです。 そのため糖分の取りすぎからビタミンB不足になり、貧血を起こしてしまうことがあるのです。   

     

◆薬の副作用   
近年、薬の副作用によって起こる胃潰瘍が注目を集めています。その代表が「鎮痛剤」です。潰瘍により消化管出血を起こす薬剤は鎮痛剤だけではありません。もっと重症の出血を生じる薬があります。それは「ワルファリン」です。ワルファリンは血液の抗凝固薬で、俗に「血液をサラサラにする薬」と呼ばれています。   
また、気軽に服用される胃薬は、胃酸の分泌を抑えてしまうので鉄などのミネラル吸収を阻害します。   

     

◆加齢   
人間は加齢と共に造血量が低下しますが、70歳以降になると急激に造血量が低下します(高齢になるほど個人差は大きくなります)。   
*高齢者の貧血は、薬剤による出血だけではなく、胃酸が不足して消化管からの鉄   
やビタミンなどの吸収不足によって貧血になることがあります。なお、高齢者の   
貧血の28%はガンが関係しているという報告もあります(高齢者の貧血は典型   
的な症状を呈さないことがあります)。   

     

5.【貧血の簡易チェック法】   
ふつう健康人の耳たぶは、血色の良い淡いピンク色をしています。このピンク色が薄くなって白っぽくなっていたら、貧血の可能性が考えられます(顔色は化粧でわからないこともあるので、耳たぶに注目した方がよい)。もし、耳たぶの色が白っぽいように感じたら、   
◇下まぶたの裏の色   
◇飲み込みにくさがあるか   
◇酸っぱいものが苦手がどうか   
もチェックしてみて下さい。思いあたる原因がないのに、これら貧血の徴候が表れていたら、一度病院で検査を受けてみることをおすすめします。   
なお、女性が、めまいや頭痛を訴える場合、次の3つの質問にすべてイエスと答えた方は、ほとんどが鉄不足です。   
◇「頭が重苦しかったり、肩がこったりしませんか?」   
◇「手足の冷えがありませんか?」   
◇「のどがつまったような感じがありませんか?」   
また、鉄欠乏性貧血が重度になると、様々な症状を呈するようになります。例えば、   
◇舌が赤く平らになる「赤色平滑舌」   
◇指の爪がスプーン状になってしまう「スプーンネイル」   
◇氷や土などを無性に食べたくなる「異食症」   
などです。   

     

*なぜ、酸っぱいものが嫌いになるのか? 飲み込みにくさがあるのか?    
ノドがつまるのか?   
鉄欠乏性貧血になると皮膚と同様、“粘膜”にも異常が現れます。   
・「舌」の粘膜に異常が現れた場合は、表面がツルツルになって酸っぱいものがし   
みるようになるため、柑橘類や酢の物などが苦手になってしまいます。   
・「喉」の粘膜に異常が現れると、食物を飲み込みにくくなります。食道の粘膜   
は、食べ物を食べるとその刺激によって常に剥がれ落ちるようになっており、   
それを補うために鉄分を必要としています。しかし、その鉄分が不足すると食道   
の粘膜を補うことができず、食道は委縮してしまい固形物を飲み込みにくくなっ   
ていきます。物が飲み込めなくなったことから食道がんではないかと疑われた人   
が、実は鉄欠乏だったという実例もあります。   

     

6.【鉄分を摂りすぎる弊害は?】   
微量ミネラルは鉄に限らず、摂り過ぎると身体に害を与えるという性質も持っていますから、摂取する際には注意が必要です。しかし、鉄の場合、許容上限摂取量が大きいうえに、体内の貯蔵量が多ければ吸収率が下がるというシステムが備わっています。食物から摂取するかぎり心配はありません。   

     

7.【貧血対策】   
上述の4.【貧血になる原因】から栄養をきちんと摂って、知識をつけて・・・と導き出されるありきたりの対策以外から、いくつか挙げておきます(参考書籍からの引用)。   
◆お米を食べる   
貧血にはホウレンソウやレバーを食べるといいとよく言われますが、実は日本人の平均的な鉄補給源の第一位は「お米」です。白米から摂る鉄の量は、割合で言えば全食品の7%にも相当します。鉄補給源として第二位がホウレンソウの6.4%、3位が小麦の6%の順となっています。   

     

◆鉄分を吸収しやすくする「食べ合わせ」の活用   
食品に含まれている鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。   
「ヘム鉄」を含んでいるのは、肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品です。ヘム鉄は体内に摂りこまれると、そのまま小腸で消化吸収され、体内で利用されます。   
一方の「非ヘム鉄」は、野菜、海藻、大豆といった植物性食品に含まれています。ヘム鉄と違い、非ヘム鉄は消化吸収されにくい鉄です。消化管から吸収されるには、動物性タンパク質に含まれている消化酵素やビタミンC,胃酸といったものの助けを借りてヘム鉄に変換されなければなりません(吸収されやすさを吸収率で示すと、ヘム鉄が15~25%であるのに対し、非ヘム鉄はわずか2~5%。とはいえ、単純に動物性食品をより多く摂取すれば解決するという単純なものではありませんのでご注意ください)。   
そこで、ポイントとなるのが「食べ合わせ」です。   
植物性食品に含まれる非ヘム鉄をヘム鉄に変換し、吸収効率を上げるには、ビタミンCを多く含む食品を食べなければなりません。ビタミンCは,パセリ、ブロッコリー、赤ピーマン、黄ピーマン、ゴーヤ、ケールといった緑黄色野菜、パイナップル、パパイヤ、柿、グレープフルーツ、アセロラなどの果物に豊富に含まれています。「貧血を予防するには緑黄色野菜や果物を摂取する必要がある」と言われるのはこのためです。また、酢や梅干しなどを意識的に摂るように心掛けるのもよいでしょう。特にお年寄りの場合、胃酸が不足して鉄を吸収しにくい場合がありますから、できるだけ梅干しや柑橘類を食べるなど、鉄の吸収率を上げるように心がけましょう(クエン酸が多く含まれる食品の代表は梅干し。昔から貧血に梅干しが効くと言われてきたのは、梅のクエン酸が鉄の吸収を助けてくれるからだったのです。さらにクエン酸は、鉄だけでなくカルシウムやマグネシウム、亜鉛なども、吸収しやすい形に変えてくれます)。   

     

◆リン酸塩含有食品を控える   
鉄の吸収を阻害する物質があります。例えば、乳化剤や安定剤、防腐剤として食品に添加されている「リン酸塩」が鉄の吸収を阻害します。リン酸塩は、ハム、ソーセージなどの加工食品、インスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水などに含まれています。   

     

◆調理器具や調理法を工夫する   
調理器具や調理法を工夫するだけでも、鉄をより多く摂取することが可能です。   
例えば、日本の伝統的な鉄分を補うことができる調理器具と言えば、鉄瓶や南部鉄器などです。お湯を沸かしたり、調理をしたりする際に、それらを使用すると、鉄分が溶け出します。それを料理と共に摂取できるというわけです。   
また、調理法も鉄の摂取に影響を与えます。鉄の吸収を促進するビタミンCは、水溶性ビタミンであり、水に溶けだす性質があります。また、長時間の加熱で破壊されてしまう性質を持っています。そのため、ほうれん草や小松菜といった非ヘム鉄を含む食品を調理する際に、長時間加熱しないことや水に浸けたままにしないことが大切です。   

     

8.【まとめ】   
(若年女性)   将来の自分のために、貧血に対する正しい知識と自覚を   
(妊婦)     生まれくる赤ちゃんの為に、妊娠を考えた時から鉄欠乏対策を   
(乳幼児)    離乳食や偏食から引き起こされる貧血に対する正しい知識と   
対策を   
(学童期の子供) 急速な成長や食生活の乱れからくる貧血に対する正しい知識と   
対策を   
(中学生・高校生)貧血についての正しい知識を身に付けるための教育を   
(高齢者)    定期的な血液検査で、貧血のチェックを   

     

(参考書籍)   
・貧血大国 日本(山本佳奈著)2016年   
・サプリが命を躍動させるとき あきらめない! その頭痛とかくれ貧血   
(くどうちあき著)2009年   
・貧血と血液の病気(浦部晶夫著)2011年   
・鉄分で元気&キレイ―貧血解消が決め手(斎藤嘉美監修)2002年   
・1分間健康診断―病気のサインを逃さない(石川 恭三著)2009年   
・病気の「サイン」に素早く気付き病気は自分で治す(石原結實著)2013年   

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