田中整体療院

トピックス(健康関連)    

【当サイト内関連情報】   
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C.ゼロ/低カロリー、低糖、微糖と表示されている商品って大丈夫?   
D.腸についての参考情報   

ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖はどうなの?(2021.4.28.)

  

(ここでは果糖にフォーカスして記述しています。ブドウ糖については、   
ブドウ糖にフォーカスして記載しているここをクリック。補足も参照下さい)。

     

◆ブドウ糖果糖液糖   
◆果糖ブドウ糖液糖

     

紛らわしい糖名ですが、いずれも市販の飲料やしょうゆ、ヨーグルトなど、多くの飲食品の成分表示欄に記載されており、「高フルクトース・コーンシロップ=異性化糖」と呼ばれる天然甘味料のことです。   

  

“天然”と聞くと体によさそうなイメージがわきますが、この高フルクトース・コーンシロップは肥満や糖尿病などの原因として私たちの健康を脅かす存在であり、実際にアメリカでは、使用禁止運動が広まりつつあります。   

  

日本ではどうかというと、あらゆる問題と同じで、全く問題にされないまま、消費は増加の一途をたどっています。知らないうちに生活習慣病のリスクが上がらないよう、自分が摂取している「糖」には注意払って、摂取量を減らしていく必要があります。   

  

【高フルクトース・コーンシロップ(2種類)の分類上の違いは?】   
高フルクトース・コーンシロップは、含まれる「果糖の割合」で分類され、   
●ブドウ糖果糖液糖は、糖のうちの果糖の割合が50%未満のもの   
●果糖ブドウ糖液糖は、糖のうちの果糖の割合が50%以上90%未満のもの   
を意味します。例えば、日本で市販される清涼飲料水には12%程度の高フルクトース・コーンシロップが含まれ、500ml飲んだ場合、60gを摂取することになります(砂糖大さじ換算で約7杯)。原料は、名称からも分かるとおりトウモロコシですが、遺伝子組み換え技術によって、トウモロコシはさらに安く供給され、高フルクトース・コーンシロップを大量に生産できるようになっています。   

     

【どんな問題があるの?】   
多くの研究者たちが動物実験やヒトの研究から、肥満、糖病病、インスリン抵抗性、メタボリック症候群など、 高フルクトース・コーンシロップの健康への害を報告しています。   
また、アメリカのみならず世界中に広がっている肥満とⅡ型糖尿病の原因として、欧米型の食事スタイルである高炭水化物食、特に糖質の過剰摂取が問題視されており、中でも最大の元凶として 高フルクトース・コーンシロップ(主として清涼飲料水から)が問題視されています。   

     

【なぜ悪いの?】   
なぜ高フルクトース・コーンシロップは、肥満や糖尿病などの原因となるのでしょうか。そのカギは、「果糖」と「ブドウ糖」の違いにあるのです。   

     

では、何が異なるのでしょうか?

     

実は、ブドウ糖と果糖は、“代謝経路”が全く異なります。   
「ブドウ糖」は、小腸から吸収された後、血液中に入り、全身の細胞に運ばれエネルギーとして利用され、余った分が中性脂肪となって蓄積されます。   
一方の「果糖」は、ほとんど肝臓で代謝されるため直接血糖を上げないのですが、肝臓で中性脂肪などに変換され、余分なものが脂肪として蓄積される他、脂質異常症を引き起こしたりします(果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、残りの90%は、果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます)。   

     

さらに、ブドウ糖と果糖を摂取した後では、“満腹感”が違うのです。   
ブドウ糖を摂取すると、満足感を得て、それ以上は食べ物を欲しません。   
ところが果糖を摂っても空腹感を減らすことができず、満腹感を得にくいのです。   

     

私達は普段、果物や野菜などに含まれる“自然な果糖”と、加工食品や清涼飲料水に含まれる“加工された果糖”という、2種類の果糖を摂取しています。前者は適量摂取なら問題ありませんが、後者はたいてい、 ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖という形で摂取することが多くなっています。注意を払わない限り、大量の果糖を日常的に摂取して、いつの間にか被害を被っているということになりかねません。   

     

ところで、高フルクトース・コーンシロップの最大生産国であるアメリカは、様々な国に大量に輸出しており、 高フルクトース・コーンシロップの使用は世界中に広がっています。しかしながら、多くのヨーロッパ諸国のように、使用していない国もたくさんあります。   
そういった国による違いに着目した論文によると、確かに 高フルクトース・コーンシロップを多く消費する国は、Ⅱ型糖尿病の有病率が高いというデータが出ています。   

        

【なぜ悪いのか、腸との関係も含めて説明すると・・・】   
腸は最大の免疫器官。人間の体の免疫細胞の約60~70%が腸内に存在しているからですが、その腸は脳の健康状態にも大きく関わっています。つまり、腸の状態が心身の健康状態を大きく左右しますが、腸は腸でも腸内の菌バランス(腸内フローラ)がカギを握っています。   

  

しかし、現在、腸内フローラのバランスを脅かす存在はたくさんあり、なかでもワースト 2 は、「果糖」と「グルテン」。それ以外にも、〇抗生物質 〇ピル 〇非ステロイド性抗炎症薬 〇遺伝子組み換え食品 〇環境化学物質 ・・・と多々あります。ここでは、上述の流れから「果糖」だけ取り上げます。   

     

腸内フローラにとって最も油断のならない悪役の一つは、“加工された「果糖」”(=ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖。以下“果糖”と記載)。   

     

なぜ“果糖”が特に悪者なのでしょうか?

     

果糖は病原性の腸内細菌のエサになるばかりか、それによって健康な腸内細菌のバランスを崩します(多様性に欠け、肥満細胞の栄養になる種類の細菌が多すぎる、いわゆる“西洋型の腸内フローラ”になる最大の要因の一つ)。   
なぜなら、腸内細菌たちは加工された果糖が大好きである為、腸内では果糖が多すぎても細菌は喜んでいます。果糖は細菌によってただちに発酵し、様々なガスも作り出します。そのガスによって、膨満感、不快感、腹痛、下痢などを引き起こします(例えば、メタンは結腸の活動を乱して消化と便の動きを妨げ、腹痛と便秘を引き起こす)。   

     

果糖の悪影響はそれだけではありません。   
急激な肝臓のダメージにも関係しています。これは太っていなくても起こります。   
具体的には、まず糖化の問題があります。糖化とは、身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変性、劣化してAGE(終末糖化産物)という名の老化物質を生成する反応をいいます。   
果糖などを摂り過ぎて糖化すると脂肪肝を招き、AGEが大量に放出されます(正確には、多価不飽和脂肪酸が共存することが問題です。その話については、こちらに少し記載しています)。   
この老化物質AGEの生成が最も深く関連する病気が、脂肪肝です。。   
すると、動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー型認知症、ガン、肌の老化など、様々な弊害が生じます。   
また、多量の果糖により、細菌が腸から出て血流に入り、肝臓にダメージを与えるという、サルをベースにして結論を導き出しています。   

     

さらにインスリンの生成を刺激せずに、ただちに肝臓で処理され、それが、食欲抑制に関係するもう一つの重要なホルモンである、レプチンの生成を低下させてしまうのです。   
つまり、満腹感を覚えないため、食べ続けてしまうことになります。

     

ちなみに、満腹感を覚えないという問題点は、人工甘味料にも見られます。   
例えば、サッカリンやスクラロース、アスパルテ ームのような砂糖の代替品は、インスリンを上昇させないため、代謝には影響がないと考えられていましたが、実際は代謝機能を大きく狂わせることが分かりました。本物の砂糖と同じように、代謝障害を引き起こします。   

     

<最新知見>(2017年時点)   
果糖は、ブドウ糖よりも熱産生、二酸化炭素産生が高いことが分かっています。ブドウ糖よりもエネルギー代謝を促進し、脂肪の酸化・燃焼を防ぎます。   
したがって、デンプン質のみならずブドウ糖よりも体重減少効果が高い。   
また、果糖は、酸化・還元のいずれのストレスにも軽減作用があります。このような物質は他に類を見ません。   
果糖は、抗酸化作用を持つことは良く知られています。   
果糖とその代謝産物は、脳血液関門という脳のバリアを通過して、脳組織の酸化ストレスに対応します。   
したがって、果糖が脂質の酸化を促進するので害悪があるというようなデマがよく流布されていますが、事実はその逆です。果糖は酸化ストレスに対する耐性を高めるのです。   
さらに、果糖は脂肪組織から放出されるレプチンという炎症性物質を抑制する効果も報告されています(レプチンは、組織の繊維・硬結化(ガンの特徴)を促進し、血管新生作用、低酸素誘導因子の増加などを引き起こすために発がんん及びガンの増殖を促します)。   

     

以上最新知見を交えて簡単にまとめると、   
適量の天然の果糖は恩恵がいっぱい。加工された果糖は弊害がいっぱい。   
とにかくまずは極力人工甘味料を避けましょう。   

     

(参考書籍)   
・カロリーゼロにだまされるな(大西睦子著)2013年   
・腸の力であなたは変わる   
(デイビッド パールマター、クリスティン ロバーグ著)2016 年   
・糖尿病は砂糖で治す(崎谷博征著)2017年   

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