アトピー性皮膚炎を治すには


 最初に発症したときには、今のように重症ではなかったはずです。何故、重症化、難治化してしまったのでしょう?  
 そもそもアトピー性皮膚炎は、それほど凄い病気ではありません。アトピー素因の人(誰でもなりえる)が、何らかの原因(アレルゲンや疲労や精神的ストレスなど要因は多彩)により、自己の免疫細胞(リンパ球)が、体内に取り込んだ異物等に過剰に反応し、それを体外に排泄しようとして、湿疹ができるという病気です。
 もっと、簡単にいうと、何らかの原因により、自己の免疫が過剰に反応し、湿疹ができ、そして、ほっとけばそのまま治るという病気です。子供がアトピーになったとき、湿疹ができたときに、できたものは抑え込まなければという考えにより(これが一般的であるが、間違った反応)、安易に薬物治療を行うことにより、重症化、難治化に陥っていきます。これは、今現在の医療全体の問題なので、非常にやっかいです。そのままなにもせずほっとくという考えが、今の医療界にはありません。 ですから、残念ですがアトピーは自分で治して下さい。ここに、アトピーを治すためにはどうすればいいかについて記載していきます。 全てを実行に移すことにストレスを感じる方は、自分にできることだけでも、是非実行して下さい。きっといい結果が得られると思います。

1.入浴方法の見直し

@ボディーソープを固形石鹸に変える。
 ・ボディーソープは界面活性剤の濃度が高く、いくらお湯で流しても肌の表面に残存し
角質層に浸透した、界面活性剤が、天然保湿因子を台無しにしてしまう。また、洗浄力が強く、必要な皮脂を取り除いてしまう。皮膚障害や皮膚疾患の悪化を招く原因になる。
・固形石鹸は界面活性剤の濃度が薄く、肌に残存することがない。髪の毛も石鹸がよい。(特にアトピー用でなくてよい、しゃぼんだま石鹸、牛乳石鹸などで充分)

A風呂上がりに、冷水を浴びる。(高血圧の人は気を付けて下さい)
自律神経を鍛え、バランスを整えることができます。

B水道水の塩素に反応する人は、お風呂の水道に塩素除去の浄水器、浄 水機能付きのシャワーヘッドに換える。


2.薬物治療をやめる。

@ステロイド外用薬・保湿剤をやめる。
・ステロイド外用薬は、酸化して酸化コレステロールに変性し、組織沈着し、交感神経を強力に刺激し、顆粒球(炎症性免疫細胞)を増やし、新たなアトピーを作り上げていきます。(ステロイド依存性皮膚症)。また、弱いステロイドだから大丈夫というのは間違いです。作用は同じです。気を付けて下さい。
 ・保湿剤は、特に赤みができる停滞気味のアトピー(なんだか治りそうだけど、赤み乾燥かさかさが気になる状態)の場合、保湿剤をやめて、乾燥させてやるとよく治ります。乾燥させることが重要。保湿剤自体が、皮膚を悪化させる原因の場合が多い。
必要なのは、保湿より乾燥です。(乾燥がびがび療法・・・藤沢皮膚科 藤沢重樹氏)

 何年も、ステロイド外用剤を塗っている人は、 ステロイド離脱に時間がかかり、また、離脱が困難な場合があります。かかりつけのお医者様とよく相談しながら離脱してください。(残念ながら離脱を勧めないお医者様の場合は、他のお医者様に変更した方が良いと思います)

※冬場どうしても乾燥が激しい場合は、保湿剤を利用してもよいと思いますが、悪化するようなら、やはり止めて下さい。

3.食生活の見直し

@リノール酸をαーリノレン酸に
 ・「リノール酸系に分類されている物質は、健康を害する恐れがある」
      〜日本脂質栄養学会び提言〜
・「リノール酸の過剰摂取がアレルギー過敏体質を生む」
       〜名古屋市立大学薬学部教授 奥山治美氏〜
 ・リノール酸は、その代謝過程で、アラキドン酸という物質が作られ、このアラキドン酸 から複雑な化学反応を経て、炎症を長引かせたり、増強させる物質(プロスタグランディ ン)を作り出す。
 一方、αーリノレン酸やEPA、DHAを積極的に摂ると、必要以上のアラキドン酸が生成されないため、炎症系のプロスタグランディンが発生しにくくなる。
DHAはαーリノレン酸から合成される。

・リノール酸とαーリノレン酸はアクセルとブレーキ
 リノール酸は体内で生成されないため、食物から摂取する必要のある必須脂肪酸ですが、過剰に摂取すると(現代の食事はリノール酸過剰)アレルギーやガンの発生を助長する。逆にαーリノレン酸(100年前と比較すると20%しか摂取できていない)はアレルギーやガンの発生を抑える。このように、お互いに協調して働いている。

・αーリノレン酸を積極的に摂取すると、心筋梗塞やガン、生活習慣病の予防、アレルギー疾患の改善を実感できる人が多い。臨床テストでも、アトピー性皮膚炎の患者に、シソ油によるαーリノレン酸の強化食を与えたところ、15ヶ月間で皮膚の乾燥や発赤が大幅に改善している。さらに、αーリノレン酸による喘息発作の抑制も判明している。逆に言えば、昨今増加しているアレルギー疾患の要因としては間違った油のとりかた、つまりリノール酸の過剰摂取があげられる。  
 〜名古屋市立大学薬学部教授 奥山治美氏〜


 ・リノール酸の豊富に含まれる食品
紅花油、コーン油、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、スナック菓子、 鶏卵など。
 ※マーガリンは水素添加された自然界に存在しないトランス脂肪酸を含むプラスチック食品で非常に危険です。食用油より水素添加を多くして精製するため、トランス脂肪を 含む割合も多くなり、食品と呼べない代物になります。日本では報道されていませんが、トランス脂肪酸を多く含むマーガリンは悪性リンパ腫の原因になることがわかり、欧米で はマーガリンからトランス脂肪酸が除去されています。
もし、トランス脂肪酸が存在しなくてもマーガリンそのものが工業的に作られたプラスチック食品である事に変わりはありません。化学的に精製する過程で未知の物質が含ま れる可能性もあります。ですからトランス脂肪酸が不検出でも、そのマーガリンがいい マーガリンとは言えません。腐ることのないマーガリンは、メーカーとしては好都合です が、人間の体内では分解しきれず必ず不都合が生じます。分解しきれず体のどこかに 溜まっていくとしたら、いつか問題が起きることは明白です。マーガリンそのものを食べる必要はありません。パンにどうしてもという場合は、バターを選択していただくことをお勧めします。
このマーガリン、現在ある食品のうち最も危険な食品のうちの一つです。デンマーク、オランダでは発売禁止、ドイツではトランス型と呼ばれる脂肪酸を含むマーガリンを製造が禁止されています。
トランス脂肪酸はポテトチップス、キャンディーなどにも使用されています。酸化されやすい油脂で、体内に入ると直ちに酸化がはじまり、フリーラジカルという物質も増えます。

〜リノール酸の過剰摂取による影響をまともに受けているのは、乳幼児。日本人の母乳に含まれる総脂肪酸中のリノール酸含有率は13%、欧州ではドイツ9%、オーストラリア8%、スウェーデン8%で日本人の含有率は高い。母親もリノール酸の摂取を制限する必要あり。
〜名古屋市立大学薬学部教授 奥山治美氏〜


「油脂をリノール酸の少ないバターに変えると、母乳中のリノール酸の割合はすぐに減って、一週間で10%を切ります」。 〜下関中央病院〜


 食植物性ショートニングも硬化油もマーガリンと同じです。原材料名をよく見て下さい。




2.αーリノレン酸の含まれる食品

@冬野菜(大根、白菜、ごぼう、春菊、ブロッコリー、ほうれんそう、小松菜、ねぎ、かぶ、えのきたけなど、他に、寒冷地の農作物や海藻類)に豊富。αーリノレン酸を多く含ん だシソ油、アマニ油を使って、醤油ベースの自家製ドレッシングで食べると良い。

A穀類・種子類・豆類
寒冷地で栽培されたものに多い。クルミやクリ、インゲン豆、大豆などが良い。
穀物では白米ではなく、玄米や胚芽米など。

B魚
特に天然魚、DHAやEPAが多く含まれている。アジ、イワシ、サンマ、カツオ、カワハ ギ、タラ、ハタハタ、ムツ、アナゴなど。

Cアマニ油・エゴマ油・シソ油
 アマニ油 欧米で以前より食用に重用されている亜麻の種の油で、オメガ3系のα-リノレン酸を60%、オメガ6系(リノール酸系)の脂肪酸を20%含む他、ベータカロチンや ビタミンEを豊 富に含みます。現在α-リノレン酸を摂取するには最適な食品
 ドレッシング用のオイルとして、あるいはそのまま朝晩小さじ1杯ぐらい補給してもよい。他にα-リノレン酸を多く含む食用油は、エゴマ油、シソ油。※酸化しやすいので加熱料 理には向かない。

 ※都城周辺ではアマニ油、シソ油はダイエーにある。鷹尾のひろせストアーで、エゴマ油は置いてあった。

 天ぷらなどの揚げ物や加熱する場合に使う油は単不飽和脂肪酸(オメガ9系・オレイン酸)菜種油(キャノーラ油)を使用すると良い。

4.サプリメント

 摂りすぎによる副作用のないビタミンC(水溶性ビタミン;コラーゲンの生成を促進する作用がある)が良いと思います。 1日3,000mmg〜4,000mmg摂取すれば良いと思います。 朝昼晩1,000mmgを3回に分けて摂取。ちなみに、私は4,000〜6,000mmg摂取しています。
ビタミンCを選ぶときのポイントは、アスコルビン酸ナトリウムではなく、アスコルビン酸カルシウム塩を選んで下さい。余計なナトリウムは摂取する必要はありません。
私は、大塚製薬のネイチャーメイドを飲んでいます。


5.温泉

 皮膚疾患に効果のあると言われている近郊の温泉を紹介します。自分に合う温泉を見つけて下さい。
 温泉の入り方は、あまり根気よく何回も入らず、自分が充分リラックスできる程度であっさりと入るのが良いようです。

@うれしのの里  TEL:0986-39-3006
      都城市安久町湯屋谷湯之元731 11:00〜20:00

A安久温泉養浩館(やすひさおんせんようこうかん) TEL:0986-39-0708
      都城市安久町  8:00〜22:00  水曜日休

B金御岳荘 TEL:0986-39-0841
      都城市安久町703 8:00〜20:00  
 
C霧島新燃荘 (鹿児島県 姶良郡牧園町高千穂3968)  0995-78-2255
      7:00〜22:00
皮膚病に効くという非常に有名な温泉

 順番はとくに意味はありません。


6.その他

@ウォーキング 30分以上 
※できれば毎日。早朝が良い。ウォーキングはストレス解消にも効果あり。体内時計は朝の光を浴びることによりリセットされる。とにかく続ける事が大事。

Aアレルゲンを避ける
アレルゲンの判明している方は、アレルゲンを避けることで発症を予防できます。はっきりせず、精神的因子によるものは、休息とストレスをためない工夫が必要です。

B甘い物、スナック菓子などを控える
※リノール酸、トランス脂肪酸の過剰摂取。副交感神経の過剰刺激になる。


C規則正しい生活
※夜更かしをしない。夜間遅くまで起きていると、休息の神経である副交感神経が働かず、活動の神経である交感神経が過度に緊張し、自律神経のバランスを崩しま   す。

D鍼灸治療
※自律神経のバランスを整え、確実に血行を良くし、効果を上げていきます。私はその効果について確信しています。しかし、これをしないと治らないというとはありません。主役はあくまでもあなた自身です。鍼灸は補助に過ぎません。


7.まとめ

 1.ステロイドからの離脱

 2.風呂上がりに冷水を浴びる(通年)

3.アレルゲンを避ける

4.ストレスを溜めない

5.αーリノレン酸の摂取。肉より野菜や魚を

6.規則正しい生活

7.甘い物、スナック菓子を控える

8.ビタミンCの摂取

9.ウォーキングなどの運動

10.指を揉む(薬指以外の爪の生え際を痛いくらい揉む。ひとつの指を10秒くらい。アトピーでは親指だけ20秒。足も同じ)

11.鍼灸治療

 以上、ストレスにならない程度に、できることから始めて下さい。

    最後に 継続は力なり


【参考文献】
「最強の免疫学」 安保徹著 永岡書店 2004年6月10日 初版発行
「体温免疫力」  安保徹著 ナツメ社 2004年7月10日 第2刷発行
「ワイル博士の医食同源」 アンドルーワイル著 上野圭一訳 (株)角川書店
       2000年9月30日 初版発行
「ワイル博士のナチュラルメディスン」 アンドルーワイル 上野圭一訳 春秋社
   増補改訂版第14刷 2000年11月20日
「新臨床内科学」 第7版 監修 高久史麿 尾形悦郎 (株)医学書院 
         2000年12月1日 第7版第4刷
「アトピー治療革命」 藤澤重樹著 永岡書店 2004年4月10日初版発行





                                                編集責任 吉田鍼灸指圧治療院
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