天秤
隣で規則正しい寝息を立てている彼の気が、ふと揺らいだ。
いつもの夢に囚われそうになっているらしい。
そう、冥王に操られていたときの事を。
意識操作を受けていた時だったからはっきりとした記憶は残っていないようだが、それでもところどころあの時の記憶だの感情といった物が残っていて、それが無意識の夢のうちに現れるらしい。
それはこの子を苦しめる物で、私自身の力不足を思い知らされる物でもある。
今までに何度も経験している事態に、私は姿を変え力を使用する。
力を使用するのに人の姿になる必要は無いのだが、この力は人の姿で使わないと効果が薄いのだ。
すぐに彼の気は落ち着き、ぽっかりと彼は目を開いた。
そして傍に佇む私の姿を認め、うっすらと微笑む。
「まだ眠っていていいぞ」
私に抱きつこうと手を伸ばしてくる彼の頭を撫で、体をベッドの中に滑り込ませる。
そして自分から手を伸ばし、彼を抱きしめる。
それに応えて、彼も私の背中に手を回す。
「……、あまり力を入れるな、痛い…」
物理的な刺激なので実際に痛覚を感じるわけではないが、こう言った方が伝わり易いのでこのような表現をする。さすがにこの子に力一杯抱きつかれると動きにくいことこの上ないのだ。
力を緩める代わりに、彼は私の肩口に額を摺り寄せる。
もともと睡眠の途中だった彼は、すぐに寝息を立て始めた。
規則正しい鼓動が、布越しに振動を私に伝える。
この子がまだ人であるということの証の振動。
それをしばらく感じていたくて、私もそのまま目を閉じた。
明日の朝、この子は目が覚めて私の姿を瞳に映して微笑むのだろう、と考えながら。
end
5周年企画、更新して欲しいCPアンケートの第2位「烈×ガウ」です。
甘々です。少なくとも私はそう思ってます!!私的には砂吐きそうです!!
実は、ガウリイには人のままでいて欲しいような、魔族にしてしまってずっと自分の手元に置いておきたいような、複雑な心境を抱えている烈光の剣さんでした!!