呼称(闇撒×ガウ)



「ただ今戻りました」
 聞きなれた声に振り向けば、そこにあるのはしばらくは会わないだろうと思っていた姿。
 しばらくは自由を楽しめると思っていたのに、短い間だった。
 しかしすぐに、俺は会わなかった時間が短くて良かったと思うことになる。

「我が主から伝言があるのですが、奥方様」
「………」
「はやく戻ってこい。だそうです。奥方様が戻っていらっしゃらないなら自分がそちらに行くぞ、とも仰ってました」
 俺の聞き間違いかと思ったが、そうではないらしい。2回も聞かされて、俺は軽く眩暈を覚えた。
 頭を押さえながら、後ろに立っている烈光の剣を振り返る。

「なに、その奥方様って…。この前までそんなこと言ってなかったじゃないか。あいつが何か言ったのか?」
「いえ、主は何も。ただ今回あちらに戻っている間に考えたのですが、貴方様は奥方様とお呼びするのが一番ふさわしいだろう、と」
 こちらの世界で言う、奥方様、という呼び方があなた様には一番ふさわしいと思いましたので。だとか、やはり奥方様は主に対して受け身でいらっしゃるから、旦那様よりも奥方様の響きが似合うかと思います。などと言われては、俺は一層頭を抱えるしかない。
 こいつは純粋な奴だから、見聞きしたものをそのまま吸収してしまう。
 いや、純粋という意味では、一番純粋なのはあいつか……。

「いやいやいや、純粋なら何でも許されるわけじゃないぞ!!」
 びくっ。
 俺のいきなりの大声に肩を跳ねさせる姿に、ああ、こいつもこっちの世界にすっかり馴染んでるなぁ、と微笑ましく思う……。
 …だから、そうじゃなくて。

「とりあえず、奥方様はやめてくれ。あと、俺は戻らないから。

 どうせ、あいつはお前の体を借りてこっちの様子は見ているんだろう?」

 くくっ。
 笑いを漏らすのは烈光の剣では無くて、あいつ。
 今回に限ったことではなく、ちょくちょくこういった方法で俺に干渉してくるから、今更驚きはしないが。
「妻の身を心配するのは当然のことだろう?」

「お前まで馴染んでるんじゃな〜い!!」

 つい、烈光の剣の体をわりと本気でどついたら、あっさりとあいつは抜けていった。
 それに安心するどころか、烈光の剣本体がダメージを受けていて、俺はそれを取り繕うのに苦労することになるのだった。



END




 闇撒×ガウ第2弾です。
 闇撒さん一瞬しか出てこないけど。
 代わりに、烈さんが出まくってますけど。
 この話は烈ガウ系列とは完全に分離しているので、烈さんの性格が全然違います。
 あちらは超過保護でガウリイも超甘えん坊状態ですが、こちらではひたすらボケまくる闇撒&烈にガウリイが突っ込みを入れまくっているという……。
 夫婦漫才?
 あ、なんかしっくりきそう。
 かなりの短文ですが、楽しんでいただけたら幸いです。



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