逢瀬(闇撒き×ガウリイ)
その朝、俺が着替えていると、まだ眠っていた烈光の剣が急にムクリと起き上がった。
普段ならむずがってなかなか起きないんだが、流石に今回は起きなければいけなかったらしい。
「奥方様…」
「…ああ、分かってる」
戸惑った表情を浮かべている烈光の剣に、今回が突発的なものであることを知る。
ベッドから這い上がった烈光の剣が俺の傍らにやって来たとき、宿の壁に亀裂が走った。
正確には部屋の区間に亀裂が走り、その後方にあった壁が裂けるかのように見えた。
しかし、俺が結界を貼るにはまだ早い。
「わが妻よ〜〜っ」
「いきなり来るな、バカ!!」
言葉と同時に結界を展開させる。
結界はこの部屋と世界を完全に隔離する。
この部屋の中には、俺、烈光の剣、そして旦那。
もちろん、旦那も本体そのものではなく一部を送ってきているのだが、それでもこの世界に与える影響は計り知れない。
なので、あいつがこちらに渡ってくることに気づいた時点で結界を貼る準備を行っていたのだ。
「今日は年に1回、恋人が逢瀬を楽しむ日だそうじゃないか」
恐らく、烈光の剣からの情報だろう。若干ずれているが。
年に1回しか恋人は逢瀬をしたらいけないのか、とか。しかし、突っ込むのも面倒なので放置する。
「そうだな……」
「今日一日恋人らしく過ごそうじゃないか!!」
「わざわざそのために………」
「主、僕は……」
「お前はしばらく外してくれ」
旦那の軽い手の動きと共に烈光の剣は消える。
もちろん、俺の方でも烈光の剣の気配を追跡は出来るので、あの子が少し空間をずらした世界にいることを認識できる。
「お前は、もうちょっと事前の説明をしてくれ」
頭を押さえながらぼやけば、その体を抱きしめられる。
「俺は思ったままにしか行動できないから……」
自分でも分かっているのだ。
俺は闇撒きに甘いと。
素直に言われると逆らえないと。
でもそう分かっていてもどうしようもないわけで。
「今日一日だけだぞ」
顔を輝かせる旦那に、俺の顔も思わず綻んでいた。
それからは、あいつに世界に影響を与えずに溶け込む方法を教えてから、街に出かけた。
仲間には、剣を研いでもらう、と偽って。
その日は旦那と食事をしたり、買い物をしたりと俺にとっては日常だが、おそらくあいつにとっては新鮮な時間を過ごした。
その結果、帰る時間がすごく遅くなってしまいリナに怒られることになるのだが。
俺の横で、他の人には認知されない状態で幸せそうに笑っている旦那に、まあいいか、と納得するのだった。
日付が変わり、渋る旦那を追い返した後に、烈光の剣をこちらの世界に呼び戻したら泣きつかれた。
さすがに空間隔離をするのは不味かったか、と俺は必死に烈光の剣を宥めるのだった。
そして、味を占めた旦那がちょくちょくこちらの世界に来ようとするようになったり、これを機会にあいつが生物の存在する世界に興味をもってくれたら、と思う俺がいたのはまた後日の話。
end
七夕ネタで、たまには闇撒さんにいい思いをさせてあげよう、という話でした。