傍観中(闇撒×ガウ)



 フィブリゾに消滅の宣告を行い、あたしは手の中の無を握り潰し……。



「………ところで、あんたは何してんの?」


「えっと……、傍観中?」

 などと呑気に柱の間から現れたのは、金髪の剣士。
 の姿をした、黒の神。


「この場にいるなら、あたしが出てくる前にとっととケリをつけなさいよね!!」
 人間の体であたしの力を使うのは結構大変なんだから。
 あたしに面倒なことをさせるんじゃないわよ!!
「……いや〜、さすがにあなた様の前では俺も動きづらくて………」
 などと言いながら、ポリポリと頭を掻きながら苦笑している。
 余裕ありまくりだな、お前。


 私の前まで歩み寄りながら、ちゃっかり片手に逃げようとしていたフィブリゾを捕まえている。
「それに私は、今はただ一人の人間、ということになっていますから」
 ちゃっかりこの状況への釈明をするあたり、抜け目がない。
 というか、お前が楽をしていただけじゃないか。
「陰で潰せよ」
「いやいやぁ〜、そういう訳にも、ですね〜……」


「・・・…あの、お前は……」
 フィブリゾ、お前、口調が変なことになっているぞ。

「こいつは」
「神、やってるんだよね。これでも」
 あ、余所の神だから力は10分の1も出せてないけどね〜、などと呑気に言っている黒の神に抱えられたまま、フィブリゾは硬直している。
 そりゃあ、一介の魔王が神を拘束していた、なんて。
 そして、その今にも消滅しそうなフィブリゾにとどめを刺すあたし。


「魔王なら気づけよ、お前も」


 黒の王の腕の中でフィブリゾは消滅していったのだった。
 なるほど、精神攻撃とはこういうものか。


「さっさと元の世界に戻れよ」
「……それは相手次第ですね〜」
 あはは〜、と笑っている黒の神にあたしは軽くチョップを入れる。
 悶絶しているが。
 私に無駄な労力を使わせた当然の結果だ。

「お前からも歩み寄れよ」

 案外この世界に留まるのも、消耗するようで。
 それが私の赤の世界での最後の言葉となった。

 
end



 ふと、金色の魔王と、赤の世界に来ている黒の神のガウリイが出会ったらどうなるのかな、と思いまして。
 フィブさんは賢いようで結構抜けているイメージなので、ガウリイが神なのも気づかないかな、なんて(笑)
 捕獲して神だと気付いてあたふた、も面白そうだったのですが、とりあえず気づかなかったパターンで。


ブログにて 2014年6月8日掲載

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