お持ち帰り 闇撒×ガウ


 俺の髪でモフモフと三つ編みの練習をしている烈光の剣。
 その烈光の剣の髪は、可愛らしいおさげになっている。
 勿論、結ったのは俺だが、自分でも結ってみたくなったらしい。

「・・・…奥方様…、分からなくなっちゃいました…」
 涙目で訴えられれば、つい手を出してしまうのは己の性で。
 間違っていた箇所を直しながら、結いやすいように烈光の剣に己の髪を持たせる。

 これでも生きとし生けるものを愛おしむ神ですから。
 助けを求める声に応えずにはいられなくて。
 烈光の剣は生きていないだろう、という内心の突っ込みはスルーする。

 うちの烈光の剣に頼まれたら、断れないんだよ俺は!!



「それ、あたしも欲しい」
 ひょこっと、ドアから違和感を感じさせずに姿を現したのはリナの姿を借りた金色の王。

「鍵、掛けてたんですけど」
「……壊れた」

 一瞬。
 ほんの一瞬、子供が増えたような気がした。

「それ頂戴」
「無理です」

 むくれた金色の魔王。というか、リナ。うん、普段そんな無茶なことを言う姿を見慣れている身としては、親近感を持てていいかなぁ〜、なんて呑気なことを考えてみたり。
 今回は以前よりずいぶん力が抑えられていて、存在も安定しているようで。

 この世界に慣れてきたのか…。
 簡単には帰ってくれないんだ……。
 面倒だなぁ………。

「貴方様に直接触れたら、こいつなんて一瞬で消し飛びますよ」
 口ではまっとうな答えを返す。

「ちゃんとあたしが、自分の力を制御するもん」
 口調までリナですか。それでも誤魔化されはしないんですが。
「無意識の力ってあるでしょうが・・・…」
「だって、あたしもモフモフされたい」

「………だったら、最初からモフモフされるように創造してくださいよ…」
「モフモフの幸せを最近知ったんだもん」
 迷いないな、と思う反面、心変わりするのが早いよ、と思うのも事実で。

「俺がモフモフしましょうか?」

 キラーンと輝く金色の魔王の瞳と、歪む空間。

「それはそれで……」

『ダメだーーーっ!!』

 ポンっ。
 そんな軽い擬音と共に現れたのは、旦那で。

 なぜに幼体?
 しかも犬耳付き。どこでそんな情報仕入れてきた!!
 確かに犬っぽいけど!!

 俺がモフモフされるぐらいなら、とモフモフされやすそうな姿を取ったとか。
 力も全然引き継げていないから、ただの幼児に見えるけど。

「これはこれで」
 食いついたし。
 でもこれでは倫理的に不味い気がするので、とりあえず押しとどめて、この世界に一番順応している俺が、場を取りまとめる。

「まず、金色の魔王様!!モフモフしたいなら、それにふさわしい世界を造ってください。
 あと、お前はこっちに来るな!!」
 ついでに回し蹴りを決めれば、綺麗に世界の境界を越えて吹っ飛んでいく。
 ちょっと心が痛い(外見的に)

「…あたしのモフモフが……」
 そんなに落ち込むことですか。外見は可愛らしかったですが、中身はあれですよ。
  ストーカーですよ!!
 世界の垣根を超えてまでストーカーするバカですよ!!

「あたしのもふもふが……」
 今更『あたしの』発言に突っ込む気は無い。

 ピッ。
 俺は髪を1本引き抜き、力を加える。
 ポンっ、と軽やかな音と共に現れたのは俺の幼少体で。
 なんでウサギ耳がくっついてるんだ?
 さっき旦那のを見たせいか?

 僅かな疑問はあったが、それを金色の魔王へ押しやる。
 金色の魔王は満面の笑みで、うさ耳を捕まえようと手を伸ばしている。
 俺はホイホイとうさ耳に近寄ろうとしている烈光の剣を捕まえながら、更に己の作り出したうさ耳を金色の魔王に押しやる。

「これなら好きにしていいですから」
 がっしりと抱きしめられたうさ耳は、ぐりぐりと撫でられてまんざらでもなさそうな顔をしている。
 設定を人間の3歳児にしておいて良かった……。


 結局、俺の吹き込んだ力が1ヶ月位しかもたなかったのだが、その間うさ耳はほぼ、クッションのように抱きしめられたり、話しかけられたり、枕になったりしていた。
 その光景をうさ耳の目を借りて間接的に見ていた俺の感想。


 ぬいぐるみでいいんじゃ………?


 

 その後、力の切れたうさ耳の代わりにぬいぐるみを送り込んだら……。

 すぐにばれました。



 結局、お詫びとして俺が金色の魔王にモフモフされるために1ヶ月留守にしたのは苦い記憶となった。



end



 
 闇撒きの奥さんのガウリイさんは、つめが甘いというか、ふざけすぎて墓穴を掘るとか……、そんな感じです(笑)
 

ブログにて 2014年8月24日掲載