「こんにちは〜!!」

「いらっしゃい」
「お疲れ〜」

 リナは一週間ぶりの店の空気を肺一杯に吸い込む。
 美味しそうな香りや、鉢植えの花の匂い、そういったものが混じり合った空気はひどくリナを落ち着かせた。



garden×garden 6.5?



 久々に袖を通した制服は、若干ウエスト等がぶかぶかになっていて、普通女性なら喜ぶところだがリナはため息をこぼした。
 なにしろ原因が分かっていたから。

『学祭、きつかったからなぁ……』



「出店してくれて。ありがとうございました」
 改めてお礼を言えば、ガウリイはいやいやと手を振る。
「大変だったね。俺たちは楽しませてもらったから。なあ」
 とヴァルをガウリイが振り返れば、頷いている。
「寧ろうちの兄さんが迷惑を掛けたというか………」
 あー、と一斉に遠い目をする3人。悪い人では無いんだけど、と言ったのは誰だったか。


 ランチタイムが終わり、お茶の時間が始まる前、客足の減った時間帯に休憩を取る。
 今日のお茶請けは某兄のお土産だったりする。
 これが案外美味しい。
 ガウリイに美味しいものを食べさせたい、というだけではなくて、基本的に味覚も美的感覚もセンスのいい人なのだ。実のところ、
 実は土産もリナとヴァルの分も別に用意していたりと、気も効く。
 仕事もできる人で、海外を飛び回っているほどのエリートだ。
 それがいい年なのに独身なのは、ブラコンに原因があるのは間違いないだろう。

「それにしても、今回よくあんなに用意できたわね。自分で頼んでおいてなんだけど、数が足りなくなって午前中で終了するかと思ったのよね」
 マカロンを抓みながらリナが呟けば、ヴァルが横で胸を反らした。


「俺が前の晩に、店長の家に泊まって、準備を手伝ったからな」



「はぁああっ………っ!?泊まった……!?」


 驚愕の表情を向けるリナに、勝ち誇ったように笑うヴァル。
 しかしすぐその表情は固まった。
 見てはいけない顔を見てしまったから。

「で……」
「で?」
「……何があったのかって、聞いてんのよ」

 絶対零度の声に、背筋が凍りつく、というものをヴァルは初めて感じた。
 それと共に身の危険も。

「な、何も無いって。店長に仕込みの手伝いを頼まれて、結局終わったのが12時過ぎてからだったから泊まらせてもらっただけだし」
「一晩一緒にいたのに…?」
 ひたすらコクコクと頷くヴァル。


「……このヘタレ」

「!?」



「なあ、どっちかレジに入ってくれないか」
「あたしが入るわ」

 上機嫌で椅子から立ち上がるリナと、対照的にひどく落ち込んでいるヴァルにガウリイは首を傾げた。



 リナちゃんに「ヘタレ」と言わせたくて書きました。
 あと兄のフォローもしときたくて。
 ちなみに、リナちゃん達の制服も兄の見立てです。海外で買ってきた結構いい品物だったり。

ブログにて2011年11月13日掲載



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