「〜〜〜!?どういう状況よ、これ……」
朝から、どころか昨日から徹夜状態で走り回っているリナは、やっととった休憩でさらに疲れることとなった。
garden×garden 6
学祭に出店したgarden×gardenは、美味しさととある理由により評判を呼びたちまち行列が出来ていた。
「サンドイッチ、すごく人気ですね。さすが店長」
「お客さん全然来なかったらどうしようかと思っていたから、良かったよ」
注文と会計をヴァルガーヴが受け、注文をされたものをガウリイがパンに挟む。
その流れが確立しており、自分たちの周りまでは目が向かない。
普段とは違う、露店という環境と、常に目の前に客が並んでいるという状況に何とか対応していくので精一杯だ。
『あの人達、カッコいいよね』
『声、掛けてみようか』
『ダメダメ、簡単にあしらわれちゃうって』
『あの若い子ならいけるんじゃない?』
などと、周りが自分たちに騒いでいることなんて、2人は気づきもしない。
そして、声を掛けようと並ぶ女性も何人もいたが、後ろに人が並んでしまうと声を掛けづらくなり、結局声を掛けられないままサンドイッチを買って友達の所に戻っていった。
さすがに見ず知らずの他人にいきなり声を掛けるのは、勇気と時間が必要だった。
そんな中、一人の少女が並んだ時、偶々後ろには誰も並ばなかった
後ろからは、友達の頑張れの声。
「いらっしゃい。何にしますか?」
いつもより少し砕けた口調のヴァルガーヴが尋ねる。
「えっと……。ツナとトマトチーズを」
「了解〜」
「はい、どうぞ」
久々の客の切れ間に、ガウリイが笑顔と共にいつもより身を乗り出してサンドイッチを包んだ紙袋を渡せば、少女は若干顔を赤らめる。
「あ、ありがとうございます……、あの……」
「うん?」
「…もし良かったら、学祭が終わって…」
しかし、せっかくの少女の勇気と好機はあっけなく消えることとなった。
「ガ・ウ・リ・イ〜〜〜っ」
「うわっ」
「ちょっ……」
突如現れた人物は、ガウリイに抱きつき頬ずりをしている。
ヴァルガーヴは一度だけその人物にあったことがあった。
「に、兄さん。いつ日本に…」
「海外に行ってたんじゃ……」
ヴァルガーヴの記憶では、その人物は極度のブラコン、となっている。
そしてそれは間違いではなく、現在進行形で目の前でいかんなく発揮されている。
「ガウリイ〜、私が居なくて寂しくなかったか〜。いや、寂しかったよな」
「ちょ、兄さん。落ち着いて…」
ガウリイとヴァルガーヴの目には入っていた。
すっかり引いてしまって露店に近づけず遠巻きにしている人々が。
しかし肝心な人物には伝わらず。
「今朝帰ってきたんだけど、店に行ったらこっちにいるって書いてあったから、来ちゃった」
などと呑気にガウリイの頬を突いている。
彼の怒りのオーラが見え無いらしい。
そのガウリイの怒りが爆発する直前、救いの女神が現れた。
「〜〜〜!?どういう状況よ、これ……」
「……リナ、ヘルプ…」
なんとか兄をgarden×gardenに送り届けるのに1時間。
その1時間はつまり、リナの休憩時間で。
「あのボケ兄〜〜っ!!」
リナはぶつけられない怒りを、ゼルガディスにぶつけることにした。
「兄さん。あれほど店には来ないで、って言ってただろ」
「だって、だって、ガウリイがちゃんと経営できているか心配で」
「ふ〜〜ん、兄さんはそんなに俺のことが信用出来ないんだ…」
「い、いや、そうではなくて…」
「兄さんなんか嫌い」
「えっ……………」
泣きながら飛行機に乗る姿が目撃されたとか。
end
「リナ」
よろよろと本部に戻ろうとする後姿を、ガウリイが呼び止めた。
「…何」
疲労困憊しているリナは、普段の元気な返事を返すことが出来ず、疲れた声しか出せない。
「良かったらみんなでこれを食べてくれないか」
「え…、うん……」
「副委員長、これ…」
「あ、みんなで食べて。もらい物だけど」
わらわらと人が寄ってくる。それを微笑ましく見ながらも、歎息をつく。
あの人、いつになったら大人しくなるんだろ……。
「ねぇ、これ」
「ああ」
顔を見合わせる二人にリナが近づく。
「どったの?」
「こんなの、garden×gardenのメニューにはありませんでしたよ」
そう、ガウリイがリナに持たせた包みは、リナが好きだと言った物がたくさんは入った特別製だった。
一応、学祭編はこれで終わりです。
今回新登場のガウリイ兄はほぼゴルンノヴァさんのイメージでお願いします。
いいとこ無し、の役回りでしたが…。
ガウリイはお兄さんの事が嫌いではないですよ。ただ鬱陶しいだけで…。
ブログにて2011年10月18日公開
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