garden×garden8



「ケーキを下さい。あ、あとまずは紅茶を」
「僕はコーヒーを」
「……はいはい…」

 三つ編みの少女と、シャツのボタンをきっちりと一番上まで占めている少年は、店内に入ると直ぐそれぞれに注文をし、ガウリイは二つ返事で作業の取り掛かる。
 ショーケースの中のケーキを一つずつ、そしてコーヒーや紅茶とセットで出している焼き菓子も一通り。それと夏場ならゼリーや、冬場ならホットチョコレート等時期物も。
 器に盛りつけられたそれらは、いつも二人掛け用テーブルを埋め尽くす量だった。

 少女の言うケーキとは、メニューにあるスイーツ全種のことであり、定期的に行われるその注文は現在では「ケーキ」の一言で伝わるようになっている。
 最初にその注文を受けたガウリイは、「どれが持ち帰り用?」と尋ねて「ここで食べますよ」と答えられて、絶句した。そしてそれを本当に一人で平らげていく姿に、「リナ以外にもいるんだ」と感心したものだった。


「以上です」
 さすがに一度では運びきらず、ヴァルガーヴがケーキ類を2回に分けて運び、ガウリイが飲み物を並べると、今回もテーブルを埋め尽くしていた。
 色とりどりのスィーツが並ぶ光景は美しいが、これだけ並ぶとヴァルガーヴは内心「無理」と思ってしまう。
「ありがとうございます」
「いつもすいません」
 とガウリイに頭を下げるのは少年で、少女はさっそくフォークを握っている。
「いただきま〜す」


「俺、あんなに甘いものを食べるの無理です」
 配膳を終わり、厨房に戻ったガウリイにヴァルガーヴが言った。
「俺も無理かな。2つ3つなら食べられるけど」


 少女はまずチョコレートケーキに手を伸ばした。
「兄貴、これ食べる?」
 兄貴と呼ばれた少年は首を振ると、別の皿に手を伸ばし自分のフォークを手にする。
「これ貰っていいか?」
「いいよ」
 貰ってもいいか、とは言っても全部食べるわけでは無く、一口食べると戻して別の皿に手を伸ばす。
 並んでいる皿のうち気になるものを味見をして、その中から気に入ったものを注文するのが少年の注文の仕方だった。
 それがいつものことなので、コーヒーを運ぶ時にフォークも先に配膳している。

 一通り目ぼしいケーキを突いた少年は、少し考えてからガウリイを見た。
 その視線に気づいたガウリイが傍に寄ってくる。
「あ、あの、コレください」
「はい、ヨーグルトムースですね。少々お待ちください」
 注文をメモして背を向けて離れると、後ろで息をつく気配がしガウリイは苦笑した。

 それを4つ目のケーキを食べながら見ていた妹は呆れながらつぶやく。
 何しろこの兄ときたら、近くに他の店員がいてもガウリイしか見ないし、ガウリイが配膳に来ると明らかに相貌が緩んでいる。
「相変わらず店長さん大好きなのね、兄貴は」
 その言葉に、ガウリイの後姿を見ていた兄はバッと向き直る。

「違うぞ、僕はあの人を尊敬しているんだ!!あの人は陸上も剣道も全国制覇していて、教えるのも上手だし!!」
「うん、何度も聞かされたから知ってるけどね」

 延々と話しそうな兄を、騒がしくしたら迷惑でしょ、と兄を黙らせて少女は5つ目に手を付ける。
 軽く流された兄は、自分だけがここを気に入っているように言われた事が不満で言い募る。
「だいたいお前だって、ここのケーキが気に入っているじゃないか」
「テスト明けの疲れた脳には、甘いものが一番なんだもん。どうせなら美味しいところでお腹いっぱい食べたいじゃない」
 それにここなら兄も一緒に来るので、ケーキ代もカンパして貰えるのも理由の一つだとは兄には言わない。
 美味しいし、店員は楽しいし(いろんな意味で)、店長は癒し系だし、落ち着いた店内は落ちるける雰囲気で。


『あれ、私もここを気に入ってる?』

 今更気づいたシェーラ、14歳だった。





 もちろん兄はグラウ(グロウ)さんで。
 最近急に湧いた設定で……。貯めている設定があるのに、思いつくまま……、いつものことです!!
 グラウさんの好きは「LIKE」の方で。純粋な子なのですよ。
 そして今回は割り込ませられなくて書きそびれたネタがあるので、またこの二人出したいなぁ。



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