「今年のクリスマスはどうしようか…」
 クリスマスツリーを飾りつけながら話す少女に、ヴァルガーヴは食後の食器を運んでいた手を止めた。
「どうしようか、ってなんだ?クリスマスは、ツリー飾って、店を飾って、特別メニューで……」

「違うわよ。あたしが言ってるのはガウリイへのクリスマスプレゼントってこと」
 ついでに軽くヴァルガーヴを軽く小突くリナ。客はいないし、勿論ガウリイも控室に入っていてここにはいない。
「っ!?い、いやぁ〜、それは何とも・・・…」


garden×garden 9


 そう言葉を濁すヴァルガーヴ。それはこれまでの経験によるもので。
 この店で働くようになってずいぶん経つヴァルガーヴだが、ガウリイの事についてはあまり知らないのが現状だった。
 案外聞き上手なガウリイは、自分の事を話すことはあまりなく、誕生日のプレゼント選びなどはいつも迷うのだ。

「店長、何か欲しいものとか言ってた?」
「…もしそんな事言っていたら、あたしが悩む必要は無いでしょ!!」
 言葉と同時に、持っていた飾りを投げつける。
 それをキャッチして、さりげなくリナの背が届かないツリーの高い部分に取りつけるヴァルガーヴ。
「どうせなら、いいものプレゼントしたいし」
「まあ、何か作戦立てないといけないよなぁ」

 なかなか攻略の難しい相手に、共同戦線を組むことにした2人。
 勿論、予算を二人で分けるために。
((店長をしているガウリイの欲しがるものなんて、安いわけ無い・・・))




作戦その1

 『普段の行動から予想する』
「………いや」
「うん・・・」
「これで分かっていれば、今悩んでないよ」
 問題外。




作戦その2

 『本人以外に探りを入れる』
「え、誰に?」
「やっぱ、家族とか?」
「「………(あの兄の連絡先は知ってるけど、連絡したく無い)」」
 ガウリイの隠し撮りをせがまれた記憶が蘇る二人。
「(あれだけガウリイloveなあの人なら)情報はありそうだけど……」
((連絡したくない〜〜っ!!))
 問答無用で却下。




作戦その3

 『適当に選ぶ』
「ダメじゃん!!」
「これ最終手段だし!!」
 却下で。




作戦その4

 『本人に聞く』
「これも最終手段だけど」
「案外答えてくれるかも……」
「じゃ、あんたが行きなさいよ」
「えっ………」
 リナの圧力には勝てないヴァルガーヴ。

「店長・・・」
「ん、何?」
 ディナー用のサラダを用意していたガウリイが手を止めて振り返る。
 その手元には、綺麗にキャベツの千切りとキュウリの薄切りの盛りつけられた器と反対の手にはミニトマト。
(絵になるし……)
「・・・どうかした?」
「…あ、あの店長って欲しいものとかありますか」
 うっかり動揺して、まっとうに質問をぶつけてしまうヴァルガーヴ。
 どこからともなく聞こえてくる舌打ちは、恐ろしすぎてスルーすることにする。
「欲しいもの、かぁ。あるにはあるんだけどね・・・…」
「えっ、何なに!!」
「おわっ!!」
 飛びついてくるリナに、ヴァルガーヴはあわてて身を引いた。
 そんな二人は見慣れているガウリイは、気にすることなく話を続ける。

「暖炉、この店にあったらいいと思うんだよね。あ、でも薪ストーブってのも有りかと思うんだけどどう思う?」
「………あ〜、どっちも難しいですね…」
 そう言えば、この人最近インテリア系雑誌良く見てたな、という記憶が呼び起されるヴァルガーヴ。
 店の内装品でも見てるのかと思ったら、暖炉を見ていたのか、と思いを馳せる。というよりも、プレゼントは到底無理な品物に呆然とする。

「まあ、実際に薪の準備とかその灰とか、処理がこんな街中じゃ大変だから、無理なんだけどね」
「まず、このマンションに煙突ないしね。」
「なるほど…」
 冷静に突っ込みを入れるリナに、素直に納得するヴァルガーヴ。
「うん、工事しちゃおうかな…、なんて……」
「「はぁっ・・・………!?」


 規模の違いに、あっけにとられる2人。
 その状態でもわずかに体力を取り戻したのは彼女で。
「ほ、他に欲しいものとか・・・…」



 結局、ネクタイピン、という答えを引き出しました。

 暖炉は、とりあえず諦めたようです。
 店内の配置を変えないといけないのが、面倒になったそうです。


「「暖炉…、良いなぁ」」
 すっかり毒された二人がここに。

end



 多分、そのうち、暖炉か薪ストーブを設置します(笑)
 大人しそうに見えて、ガウリイは猪突猛進型です。
 暖炉を設置した後のg×gも書いていきたいですね。
 そしてちゃっかり、ヴァルガーヴは気が利く人、のポジションをゲットしていたり(笑)

ブログにて 2014年11月30日掲載