執事事情
水曜日
普段は、家の中の掃除やシルフィールの買出しに付き合ったりするのがガウリイの午前中の仕事なのだが、今日は庭の手入れを頼んでいるので、そちらを手伝っている。
ヴァルガーヴが中古物件で購入したというこの家自体は一般的な一戸建ての倍程度で、それほど極端に大きくもないのだが、家に対して不釣合いな立派な庭があり、その分手入れに苦労することになる。この庭は明らかに素人では無理な広さと難しさがある。
なので定期的に専門業者に頼んでいる。
「しっかし、洋風建築に日本庭園を合わせている家なんて、なかなかないぞ」
お茶とお菓子を持ってきたガウリイに、松の剪定をしていた声を掛けた。
「まあ、そこら辺も含めてこの家が気に入ってヴァルガーヴ様も買ったみたいだけど」
その答えに、ゼルガディスの動きが止まる。
「いや、悪いがあんたの口から『ヴァルガーヴ様』なんていう単語が出ると違和感が……」
「……じゃあ、旦那様とか?」
梯子から降りて来たゼルガディスは、用意されていた椅子に腰を下ろした。
その横に、ニヤリ、と笑ったガウリイが立つ。
「あんた、遊んでるな〜」
お茶を受け取ったゼルガディスは、一口飲んで笑った。その視線の先には、彼によって綺麗に刈り込まれた木々がある。
「まあ、普段から言い慣れておかないと、仕事の場でもうっかり言いかねないからな」
そういうガウリイは、どこか楽しげで、やっぱり遊んでいるんじゃないかとゼルガディスは内心思う。
とりあえず、自分で楽しいと思えることを仕事に出来ている自分達は、幸せなのだろう。
「さて、次は椿の手入れをするか」
「お、じゃあ俺は何をする?」
こうして穏やかに流れていく水曜日の午前中。