執事事情
金曜日
ガウリイは1週間のうち3日以上はヴァルガーヴの職場に顔を出す。
実際ガウリイは執事であると同時にこの会社の社員でもある。
作業をしている人たちの間を挨拶を交わしながら通り抜け、ドアの前に立ちノックをする。
中から「どうぞ」という返事があってからガウリイはドアを開けた。
「失礼します」
そうガウリイが声を掛けて室内に入ると、テーブルに広げられた写真を見比べていたヴァルガーヴが顔を上げた。
「ちょうどいい所に。ガウリイはこの帽子の写真、どっちが良いと思う?」
差し出されたのは先日撮影した、パンフレット用の帽子の写真だった。
ガウリイは2枚の写真を見比べ、そのうちの1枚を差し出した。
「こちらですかね。この帽子の良さが出ていると思いますが」
その写真を受け取り、ヴァルガーヴは軽く、う〜ん、と唸った。
そしてボソリと呟いた。
「でももう1枚の方がガウリイの顔がいい感じで写っているんだけどな……」
「そこはどうでもいいから!!」
この頻繁にあるやり取りに、ガウリイの応えも早い。
こんなことを言いながらも、実際にはちゃんと相応しいものを選ぶことを知っているのでガウリイは信用している。
「今日は写真の撮影と3時からうちに来る雑誌の取材の対応を頼みたいんだけど、いいかな?」
「5時までは空いてるから大丈夫ですけど、取材は時間が掛かりそうですか?」
「いや、場所はここだし2時間も掛からないと思うから」
「それなら大丈夫です」
ガウリイの差し出した方の写真をファイルに収めると、ヴァルガーヴは衣装掛けのある壁際へと向かい、十数点の衣装の中から、数点のシャツやジャケットを取り出した。
ヴァルガーヴは今日の撮影用の衣装と一緒に、取材の要点の書かれたメモも渡す。
この辺りは付き合いが長い分、お互いの要領も良い。
ガウリイは早速撮影を担当している社員の所に向かうと打ち合わせを始め、ヴァルガーヴは自分のデスクへと向かった。
こうして慌しく過ぎる金曜の午後。
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