はぁと
聖王都の宮殿内に留まることは、ゼルガディス自身にもメリットがあった。
ガウリイの為、という名目のもとで聖王都側は図書館所蔵の書物の閲覧許可を出してきたのだ。
普通ではなかなか読むことのできない書物もあり、ゼルガディスとしては知識を増やす良い機会となっている。
とは言っても、自分自身の為の知識よりもガウリイの為の知識を律儀に探してしまっているゼルガディスである。
そして、今日も彼は図書館で借りてきた本を、己の部屋で読んでいた。
いつもはそばにいるガウリイは、昼食の直後アメリアに連れて行かれて以来戻ってきてない。おそらくはいつものごとく、着せ替え人形となっているのだろう。
そろそろおやつの時間だが、戻ってくるのだろうか。戻ってきた時の為にお茶でも入れておいた方がいいんだろうか。と結局本に集中できていないゼルガディスである。
「 」
「 」
遠くに声が聞こえた。
華やかなこの声はリナかアメリアだろう。
やはりお茶を淹れておくか、とゼルガディスが腰を上げようとしたとき。
「トリック、オア、トリート!!」
元気のよい声に、ゼルガディスの動きが止まった。
そういえば今日はハロウィンなんていうイベントがあって、その概要は聞いていたのだ。
1週間前に。
勿論、それ以降は話を聞いていないゼルガディスである。
『忘れてた!!菓子なんて用意してないぞ!!』
この部屋にはお茶しか置いて無くて、ゼルガディスは菓子を持ち歩くような習慣は無いため訪問されたら悪戯されるしかない。
リナとアメリアの悪戯。
出来る限り避けたいものである。
菓子を取りに行こうとゼルガディスがドアを開けるよりも先に、ノックの音が響いた。
「「トリック・オア・トリートっ!!」」
ゼルが応えるよりも先に開いたドアは、おそらくゼルガディスがここにいることを見越しての事だろう。
満面の笑みを浮かべる少女2人と、その間に挟まれて少しぎこちなく笑う小さな少女。
「ガ、ガウリイ!!その恰好は……!?」
「可愛いですよね。ちびっこ魔女さん黒猫仕様です!!」
「あたしたちはどうでもいいのね、あんたは…」
突っ込みたいところは複数あったが、とりあえず自分が突っ込みたいところだけ突っ込むゼルガディス。
「なぜに黒猫仕様?」
「可愛いからです!!」
何も反論できないゼルガディスだった。
「ところで、トリック・オア・トリート」
「………」
「トリートですね」
アメリアの重ねての質問に覚悟を決めたゼルガディス。
その様子を見たリナがガウリイに耳打ちをし、軽やかにスカートを翻しながらゼルガディスに近づいたガウリイはゼルガディスの手を取った。
「?」
キュ、キューッ。
どこからか取り出したペンで、くりくりと花の絵を手の甲に書いていくガウリイはとても楽しそうで、ゼルガディスの顔も思わず綻ぶ。
このような悪戯なら、寧ろこちらを望む者も多かったのではないかと思う。
書き終わったガウリイは顔を上げ、ちょこん、と首を傾げた。
そして、クイクイと反対の左手を引っ張る。
「いいぞ?」
ゼルガディスが首を傾げながら、反対の手も差し出せば、嬉しそうにペンを動かしていく。
「…!?」
「そのインクは半日で消えるから安心してね〜」
半日で消えることを喜ぶべきか、悲しむべきか。
左手を隠しながら、次のターゲットを探しに行く少女たちを見送るゼルガディスだった。
end
期限切れなのは分かっているんですが、つい……。
だって幼女ガウが可愛いんですもの!!
ブログにて、2013年11月2日掲載
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