小ネタ2




「ちょっと伺ったんですけど……」
 そうガウリイに話し掛けるゼロスに、ガウリイよりも先にヴァルガーヴが顔を向ける。



「以前男性に口説かれたときに、『その程度で俺を口説こうってか!』って仰ったっていうのは本当ですか?」



「……、何だそれ!!」

「そんなこともあったような気もするけど……」

 ゼロスに食って掛かろうとするヴァルガーヴと、思い出せないらしく首をひねるガウリイ。

「ほら、賞金首にさせられて、船で移動しようとしたことがあったでしょう。あの時船に乗るために女装して……」
「女装!?」
 横から口を挟むヴァルガーヴはあっさりと無視をされた。

「……、あ〜、あれか……。あったなぁ、そんなことも」
 今となっては笑い話ではあるが、あの当時の苦労を思い出し、ガウリイは苦笑しつつも眉をひそめた。


「『その程度で俺を口説こうってか!』ということは、それなりの強さがあれば貴方を口説いてもOKということですよね?」



「いや、ま、それはそうだろ。あんな甲斐性無しに口説かれてもなぁ。大体弱すぎたし」

 さらりと答えるガウリイを、いつもの笑みに意味深さを加えたゼロスが抱え込み、
「じゃあ、僕は合格ですね〜」
 とヴァルガーヴに挑戦的な笑みを向けた。

「な、なんだと!!俺だって強いじゃないか!!」
 むきになって返すヴァルガーヴに、ガウリイがあきれたような視線を返す。
 それを不合格という意味にとったヴァルガーヴは更にむきになった。
「ゼロス!!ここで勝負をつけてやる!!」
 いきり立つヴァルガーヴと、楽しげなゼロスの間に挟まれたガウリイは、1つ溜息をついた。


「じゃあ、小腹が空いてきたし、甲斐性を見せてもらうということで、赤く熟した青りんごを先に持ってきたほうが合格、な」
 軽く目を見張ったゼロスを尻目に、分かった、とヴァルガーヴは飛び出していった。


「……、また、かなり単純なことを仰いましたね〜」
「……単純すぎたとは思ったんだが……、気づかないとは意外だったなぁ……」

 お互いに苦笑をして顔を見合わせる。

「では、合格した僕は、商品を美味しく頂きましょうか」
 ベッドに押し倒そうとするゼロスの肩をすかさず抑えたガウリイは、笑顔共に手を差し出し、
「甲斐性見せてもらうということで、お酒、よろしく」
 と宣言した。
 その頭を軽くなで、いいですよ、という言葉と共にゼロスは姿を消した。
 それを見た後、ガウリイは先ほどのヴァルガーヴの様子を思い出し、一人笑みを浮かべるのであった。




 その後戻ってきたゼロスの手には、酒のほかに余計な物まで握られていたりしたのは、また別の話。


 そして、ヴァルガーヴがありもしないものを持ってくるように言われたことに気づくのは翌日のことであった。




end




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