小ネタ 3
アニメ「スレイヤーズER」のOPが元ネタです。
近付いて来るヴァルガーヴに、リナは表情をこわばらせる。
その顔がふと和らぐ。「リナ!!」という声と共に、見慣れた背中が目の前に現れたから。
「…ヴァルガーヴ」
怒りよりは警戒の気配の強いガウリイの声は、それでもリナに安心感を与えるものだった。
そして少しの余裕が生まれ、目の前に広がる金の髪越しに相手を見ると…。
「……ふっ」
(なんだか悪そうに笑ってる〜!!)
リナは、ニヤリ、と言う表現がこれ以上当てはまるものは無いだろう、というような笑いを目撃することになる。
そう感じたのはガウリイも同じだったようで、若干後ずさりをしている。
リナを掴まえようと伸ばされていたヴァルガーヴの腕は、直前に僅かに向きを変えた。
その斜め上から伸びてくる腕の目標が自分に変わった事に気づいたガウリイは、剣の構えようとするがそれは間に合わずヴァルガーヴに腕を拘束されることとなる。
「くっ…」
腕を掴まれた痛みに顔を顰めるガウリイは、逃れようと身を捩るが拘束が緩まることは無く、そのままヴァルガーヴの方へと身を引き寄せられる。
リナに不敵な表情を向けたまま、ヴァルガーヴはガウリイの体を抱き込んだ。
「ガウリイっ!!」
「離せっ……!!」
蹴りでも入れれば拘束が緩むかと足をばたつかせるが、しっかりと体を押さえつけられた状態では思うように力が入らず、ヴァルガーヴは気にすらしていない。
それでもガウリイの手が、拘束されながらもなんとか剣の柄に掛かる。
その剣技に信頼を寄せるリナは、これで状況を打破できる、と内心思った。
しかしガウリイの剣は振るわれることは無かった。
もがいているガウリイを抱き込んでいたヴァルガーヴは、僅かに身を屈める。
ガウリイの首筋に顔を近づけるヴァルガーヴに、リナはそのまま首筋に噛み付くつもりなのかと思ったが、それは違った。
濡れた音と共にざらついた舌で首筋を舐め上げられ、ガウリイの体が硬直する。
「ん……」
漏れてしまった声に、ガウリイの顔に朱が広がる。
せっかく剣の柄に掛かっていた手も外れてしまった。
「離せって言ってるだろ!!」
一呼吸置いて、一層激しく腕の中で暴れだしたガウリイにヴァルガーヴは苦笑を浮かべると、目の前にある耳へ息を吹き込む。
再び硬直するガウリイ。
その後の彼の抵抗は以前よりも弱いもので、ヴァルガーヴは笑みを深くする。
「ちょっと、ガウリイを離しなさいよ!!」
その言葉と共に放たれた炎の矢はあっさりヴァルガーヴに防がれた。
その動きのまま、ヴァルガーヴは上空へと舞い上がる。ガウリイを抱えたまま。
「こいつは貰っていくからな」
その言葉に驚いたリナが新たな呪文を唱えるより早く、そしいてガウリイが逃れる術を見つけ出すより早く、ヴァルガーヴは高速で飛び去り、消えた。
ガウリイを連れたまま。
「ちょっと、待ちなさい!!」
その自分の声に驚き目を覚ますと、そこは星空の下で先程までの青空とは全然違う光景だった。
そして自分は地面に足をついていて、横では仲間達が寝息を立てている。
「……夢?……、……夢かぁ…」
現在の状況を思い出し、今までのが夢であったことを確認する。
その途端に脱力し、地面に突っ伏す。
「どうしたんだぁ、リナ?」
そう声を掛けてきたのはガウリイで、彼は焚き火を挟んで正面に座っていた。
どうやらガウリイが火の番をしていたらしい。
その声に安堵すると共に、先程の夢の内容を思い出し赤面する。
(あんな夢を見てしまった〜!!)
堪えられない恥ずかしさに、リナはとりあえず地面をバシバシと叩いて八つ当たりをする。
「お、おい、リナ、大丈夫か」
そう言って焚き火を回り込んで近づいて来ようとするガウリイを、制した。
近づかれたら赤面しているのがばれるし、何より恥ずかしさがさらに増しそうだったから。
「大丈夫、嫌な夢見ちゃっただけだから」
そう苦笑混じりに言うとガウリイも納得したのか、そりゃ大変だったな、と言いながら腰を下ろした。
「寝直すわ!!」
そう宣言してリナは布をかぶって丸まった。
「じゃ、おやすみ〜」
そう背中に声を受けた。
とてもガウリイのほうを向いていては眠れそうにも無かったから。
結局、彼女が再び眠りに落ちるのは明け方に近づいてからだった。
end
結構な量があるので小ネタでは無い気もしますが、如何せん置き場に困るのでこちらに収納しました。
だって一応ヴァルガウですけど、リナちゃんの夢オチというなんなのそのネタ、という感じですし。
そしてあのOP、久々にヴァルさん見れて嬉しかったのですが、ついついこっち方面のネタとして考えちゃいました。
あそこに居るのがリナちゃんじゃなくてガウリイだったら、ウチのヴァルさんならお持ち帰りしちゃうな〜、と。
しっかし、私の脳内イメージのヴァルさんはすっかり丸くなっていて、そっかこんな厳しい顔をしてるキャラだったな、なんて改めて思ってました。
まあ、こんなバカなものを書いちゃったよこの人、と笑ってやって下さい(苦笑)