小ネタ 5
悪戯の基準(ミルガウ)
「ねえアメリア」
「何?」
アメリアがリナを振り返れば、話しかけてきた本人はこちらを見ていなかった。
その視線の先には金髪で長身の青年。
「男の人って、仲が良くなると相手の腰に手を回すものなの?」
視線を移さないままの問いかけに、アメリアの表情が輝く。
「えっ……、まさかリナ…」
急に明るいトーンで声を掛けられ、リナが怪訝そうにアメリアに視線を移した。
「ガウリイさんがそうしてきたの!?」
やっと進展があったのね、と内心はしゃぐアメリアに向けられるリナの視線は相変わらず怪訝なもので。
「え、いや、あれがね」
指さす先には長身の青年の姿。
と、それよりもさらに長身のガウリイ程長くは無いが長い金髪の男性の姿。
「……!?」
パッと見た時にはただ並んでいるように見えたが、よく見るとガウリイの腰にミルガズィアが手を回している。
そしてその手がさわさわと臀部を撫でるのを、ガウリイが阻止しようとしている。
『………ミルさん!!』
「…・・・…まあ、ふざけてじゃれているだけじゃない…」
「ふ〜ん…」
『少しは自重してください、ミルガズィアさん……』
アメリアの視線の先では、ガウリイは脱兎のごとく逃げ出していた。
その後ろを悠然と付いて行くミルガズィア。
力関係は一目瞭然である。
「あ、逃げた」
その楽しげなリナの声に、一瞬、分かってて聞いてきてるんじゃないよねこの人、と思ったアメリアだった。
end
好奇心
夕食後、ゼルガディスが宿の食堂で本を開いていると、離れた席でおしゃべりをしていたリナとアメリアがやって来た。
ゼルガディスとしては静かに本を読みたかったのだが、実際のところ時間つぶしに読むだけの本だったので、2人に話しかけられるならそれはそれで時間つぶしになるので応じることにする。
「何か用か?」
「別に用って程の事では無いんですけど……」
「まあまあ、付き合いなさいよ」
というリナの手には果実酒の瓶。
『……まだ、酔ってはいないようだが』
ガウリイがいない今、俺がこいつらの面倒を見ないといけないんだろうな、と常識人らしく思いを巡らせるゼルガディス。
しかしその心配は杞憂となる。
席に着いてすぐ、リナが口を開く。
「そういえばあんたに聞いてみたいことがあったんだけどさ」
そう言うリナに、話してみろ、と視線で促す。
「ゼルって、ガウリイ襲ってみたいと思ったことある?」
「「………はっ?」」
ゼルとアメリア、2人の声が重なる。表情も。
そして、一瞬後には数日前のやり取りを思い出し、はっと悟るアメリア。
そして、真面目に色々考えるゼルガディス。
「いや、旦那を襲うって、無理だろ。魔法を使ったとして旦那には勝てる気がしないんだが。いや、不意を突けば……」
「あ〜、そういう意味じゃなくて」
「押し倒してみたいと思ったことある?」
「はっ?」
「リ、リナ!?そういうことははっきりと聞くことじゃ……」
色々と考えを巡らせ、余計なことまで考えてしまい言葉の出ないゼルガディスと、ただあたふたとするアメリアと、好奇心、というモノを顔に張り付けたリナ。
混沌とするテーブル。
その混沌を照らす明かりが一つ。
「あ、みんなここにいたのか〜」
湿った髪をゆるく一つに束ね、軽妙な足取りで階段を下りてくる人影一つ。
「なんだ、俺がいないうちにみんなで酒盛りか。ずるいぞ〜」
全く空気の読めていないのはいつものことで。
この淀んだ空気が感じ取れないとは。
ちょっと、ガウリイを襲えるかもしれないと思ったゼルガディスだった。
「だって、私「リナぁ〜」って感じで目を潤ませたガウリイを見たいって思うんだもん。ゼルもいっしょかな、と思って」
「いやいや、リナ、皆があなたと同じ発想じゃないんだからね」
だって、きっと可愛いよ?、と言うリナに、道を踏み外しかけていることを教えるかどうか悩むアメリアだった。
とりあえず、ガウリイの登場によりこの場はお開きとなり、若干2名の心中に波紋を残しながら解散することになるのだった。
end
最初は完全に独立した話を書くつもりだったんですが、連結しちゃいました。
恐らくこのガウさんはミルさんにはすでに喰われていると思います。(とこの時は書きましたが、まだ喰われてないかも。なかなか落ちないガウリイをミルガズィアが追いかけて楽しんでいる、的な状況のほうが合いそうかな)
そしてゼルも無意識ながらガウリイも想っている設定で。
だって、ゼルが部屋では無く食堂で本を読んでいて、その後に髪を湿らせたガウリイが登場、というところで、2人が同室でガウリイがお風呂に入っている間に耐えられなくなったゼルが食堂に避難、という事なのですよ。
と、書いていいか分からないネタばらしを。