暗い、暗い、微かな光の気配さえない闇の中。
温もりも、冷たさも無い。
完全な無音。
生命の気配を絶たれた隔離された空間。
ただ何故か。
それは不安を呼び起こすことなく。
寧ろ、安らぎを見出し身を預ける自分がいる。
この、現実からかけ離れた感覚に混ざる感覚を自分は知っている。
shelter 1
「……そろそろ彼を離して貰えないかな」
青いクリスタルに包まれた部屋の中で、宙に浮いた黒い闇は、周囲に闇を撒きながら微かに震えた。
フィブリゾは大袈裟に溜息を一つついて、組んでいた腕を組みなおした。
しばらく無言が続く。
さらにもう一度溜息をついてから、フィブリゾが口を開く。
「……時が来るまで君に預けておくよ。」
その言葉に答えるかのように、再び闇は震える。
それに満足したのか、フィブリゾは頷きを1つ返した。
まどろんでいたガウリイに、唐突に音が聞こえてきた。
『……そろそろ彼を離して貰えないかな』
直接頭に響く音が気持ち悪い。
確かに聞こえている言葉であるにも拘らず、まるで壁越しの言葉のように感じる。
不意に、自分を拘束する力が僅かに強くなった。
その新たに加えられた力で、ガウリイは自分が置かれいる状況を思い出した。
長年使ってきた剣によって、自分は捕らえられているのだと。
そして、自分はリナを呼び寄せるための人質であるということ。
ドクンッ。
体が強張った。
急に強くなった鼓動に、胸が痛い。
苦しい。
『この者は、今暫く私に預からせてもらう』
再び頭に響いた声は先ほどとは違う声で、何故かその声を聞くと少し楽になった。
『私にはその権利があるのではないかな』
「お前は私の所有物なのだから」
ゾクッ。
先ほどの声とは違い、クリアに聞こえる声は明らかに自分に向けられたものだと分かる。
直接耳に、肌に、全身に受け止められて聞こえてくる声に、体が戦慄いて鳥肌が立つ。
いくばくかの恐れと、それを上回る快楽によって。
ガウリイが目を見開くと、そこには一人の少年の姿と、青い壁が広がっていた。
一瞬、直接フィブリゾと相対しているのかと思ったが、皮膚にあたる感触から自分の前に何かがあることを認識出来た。
『……時が来るまで君に預けておくよ』
再び響く声に、眉を寄せる。
それと同時に、ゆっくりと不安が広がっていく。先ほどの様な激しい焦燥感とは違うが、酸が金属を侵食していくように焦りや恐れ、そんな物が混ざり合った物が体を這い上がってくる。
体を拘束する力がまた僅かに強くなった。
しかしそれはガウリイを包むように広がり分散していく。
その感覚に気を取られていると、いつの間にか這い上がってくるものの感覚は無くなっていた。
『……分かった、……』
その言葉に滲んでいる感情に気づきはしたものの、ガウリイには意味までは分からない。
ただ、言葉の主が自分に対して敵意を持っていないこと、そしてその言葉の主こそが自分を拘束しているのだということは分かった。
「今は眠れ……」
そう掛けられた言葉は、魔法か何かだったのだろう。
先程覚醒したばかりの意識は、再び眠りの中に引き込まれていく。
その前にガウリイは声を上げようとしたが、睡魔に取り込まれるほうが早く、上げようとした声は寝息へと変わる。
「今まではお前が私を所有してきた。
これからはお前が私に所有物されるのだよ」
続く
マイナーもマイナー、烈光の剣×ガウリイです。
いかがでしょうか。
そして連載物……。
このCPは、烈光の剣がガウリイにめちゃくちゃ甘いCPとなっています。甘やかしまくりです。
そして、ガウリイも結構甘えちゃってます。付き合いの長い相手なので甘えられるんです。
そんな感じで続きます。