ガウリイが微かに身じろぎをした。
意識が覚醒しようとしているのだろう。
私に上書きをされた意識が。



shelter 5


 頭を撫でられる感触に、もっと撫でて欲しいと頭をすり寄せる。
 それに応えて幾度も撫でられる感触はとても心地よくて、俺はまどろむ。
 まどろむ時間は至福ではあったが、目を覚ませばより心地よい時間が与えられうことを知っているから、俺は目を開ける。


 目の前にあるのは、予想通りの穏やかな表情だった。

「…起きたか……」
「はい、マスタ」
 答えれば、それだけで頭を一撫でされる。


 目を覚ました時、マスタに最初に言われたのは、「ここにいるだけでいい」ということだった。


 その言葉に甘えて、俺はただ無為に時間を過ごす。

 多分、こんなに安心して誰かに頼り切った状態で時間を過ごせるのは、幼い時以来だと思う。
 マスタの言うことに間違いは無いし、マスタは俺を大切にしたいと思っている。それを俺は知っている。



「マスタ。ゼルとアメリアがこの街に入りました。」
「……そうか」

 俺はこの場所に居るままで、この街全体の気配を把握することができる。多分マスタの力を身に受けていることと、ここが冥王の宮殿でありその力が満ちているから、今までにないことが出来るのだろう。
 シルフィールは俺が目覚めた時にすでにここにいた。そしてゼルとアメリアがやって来たということは、近いうちにリナもここに来るのだろう。


 怖い。


 リナが傷つけられるのが。

 マスタと引き離されるのが。

 この幸福な空間が失われることが。



 きっと、マスタが上手く纏めてくれるはず。
 そう自分に言い聞かせる。


 そして、俺が望む言葉をマスタが与えてくれる。


「大丈夫だ、ガウリイ。私と共に居ろ」

「……はい、マスタ」




「ガウリイッ!!」

 急に強い口調で呼ばれ、俺は急いでマスタの側に移動する。
 それと同時に回された腕は暖かくて、俺は安心してその腕に身を任せる。


「…ふ〜ん、手懐けたんだ……」

 現れた冥王はさも面白そうに言い、俺に手を伸ばす。

 思わず俺が後ずさってしまう前に、マスタが俺を背後に追いやる。

「マスタ……」
「ガウリイは私の配下になった。私の許可なく触れるな」

 冥王は軽く肩を竦ませ、姿を消した。
 とは言ってもここは冥王の宮殿だから、気配が消えることはない。
 四方からひしひしと迫ってくる気配に、俺はマスタにしがみつく。

「…ガウリイ……、しばらく眠っていてくれ」
「……はい、マスタ」

 そして俺はマスタの望み通り意識を眠りに沈めるのだった。




つづく



 長らくお待たせしました。shelterの続編です。
 ついにガウリイが目を覚ました。そしてラブラブ〜。相思相愛CPです。全面的な信頼を寄せると、甘えたになるガウリイさんです。意識は操作されていますが(痛)
 えっと、設定としては、ガウリイは以前よりも強くなっています。感覚も力も。烈光の剣の全面的なバックアップを受けています。そのためにも烈光の剣さんは(ガウリイを守るために)主従関係を結んだ、みたいな。

 この話は練りながら書いていきますので、連続しての更新は無理だと思います。気長にお待ちください


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