己でもどうかと思うこの状況で、思う事。

 『何の因果だ!!』



旧友との再会
※TRYの人魚ネタ再びです。



 俺はその地域では最後の一人だった。
 早くに亡くなった父母の代わりに育ててくれていた祖母と暮らしている時も、俺は外に憧れはしていたが、外に出てはならないという教えを頑なに守っていた。
 それは祖母が亡くなった後も同じで。

「どうしようもなくなったら、舌を噛み切って死ねばいいだろ」

 そう思って外に出たのは、祖母が亡くなってから10年後の事だった。
 元の生活でも生活に困ることは無かったし、同族でなくても話し相手はいたので孤独でも無かったのだが、話に聞く外の世界への好奇心を押さえることができなくなってしまったのだ。


 慣れない生活に戸惑いや苦労もしたが、1年も経てばある程度は慣れてきて、5年も経てば困ることは無くて、10年も経てば己が何者であるかを忘れていた。

 そして現在の事に話を戻せば。

『またこの格好に戻ることになるとは』
 懐かしい感覚に、少し郷愁にふけったりもするが、それ以上に違和感がある。

 3年ぶりの感覚だから、
 ではなく、
 本物ではないから。

『動きづらいなぁ、これ外してもいいかな……』
 自前で変体、というか元に戻すのは簡単だし。
 おかげで水の事故にはあったことが無いんだよな。
 色も似てるし……。自前のに変えてもばれないかな〜。ちょっと自前の方が華美だけど。


ポンっ。
 自前に戻せば、そのボリュームにまとっていた布きれは千切れ落ちて。
 それと同時に遠くに見えた水飛沫。

 あの影、見覚えがあるんだけど………。




『……お前、こんな所で何をしているんだ?』
「海竜のオッチャンだったのかよ!!俺はちょっと付き合いで……」
 なんて古い知り合いに挨拶をしつつ、かいつまんで状況を説明する。
 俺の、あまり上手では無かったであろう説明を理解してくれるオッチャン。
 海竜って人間の言葉は声帯の関係でしゃべれないけど、頭は人間以上にいいからな。
 もともと通信系については対外使える俺は、オッチャンと話すのにも苦労することは無い。

 ほら、水中って連絡取るの難しいから。
 音は伝わりやすいせいで波やら何やらでかき消されるし、超音波は種族ごとにパターンがありすぎるし。
 結構、魔法の方が便利なんだよね。
 なので、実は俺は通信系については得意なんだよねー。

 使う機会が無いけど。
 俺が魔法使う前に、リナが使っちゃうから。



「ワ〜〜〜ッ!!」
 あ、俺ダメな演技してるかも、と自分でも思った。
 追っかけてくる海竜のおっちゃんから逃げているけど、普通の人間がこんな人魚の衣装を見に着けていたら絶対できないであろう、俊敏な動きをしてしまう。
 だって、自前のに変えたら動きやすいから、つい。

「ガウリイさん、頑張って〜〜っ!!」

 うん、気づいてないな、あれは。
 リナやゼルだったら危なかった……。

 そんなドタバタをして、海竜のおっちゃんにこっそり分けて貰った宝石のかけらを差し出す。
「・・・……これでいいのか?」
 端々が焦げているオッチャンに罪悪感が。
 うちの女性陣は、手加減ってものを知らないからなぁ…。

 アメリアに渡せば、嬉しそうに受け取る。
「これでハッピーエンドですね!!」
 その無邪気な笑みに、俺はつい笑みがこぼれる。


『……お前』
「俺は今、すごく楽しいし、昔も楽しかったよ」
 海竜のオッチャンに凭れながら、息を吐く。
 ひれまで伸ばす感覚は久しぶりで、久々に思いっきりピーッンと伸ばす。
 海竜のオッチャンが動くから、俺は身を起こした。

『・・・いつでも戻って来いよ。そっちに飽きたら』
「………うん」

 多分。
 オッチャンは分かっているのだと思う。
 俺に戻るつもりが無いことを。

 だって俺は、オッチャンの生きてきた時間に遠く及ばないのだから。

 だから甘えさせてもらう。
 頼らせてもらう。

「・・・・・・戻った時にはよろしく」



 遠くを跳ねる水飛沫は夕日の金色の輝きを纏いただ眩しくて。
 それは俺が切り捨てた過去のように眩しくて。


「さよなら」

 俺があちらにはじめてはっきり言った、別れの言葉。

 空気伝いのその言葉は多分オッチャンには聞こえなかったはず。
 

 でもその意図は伝わったと思う。
 ひときわ高い水しぶきが上がったから。
 それから先、水しぶきは上がることが無くて。



「ガウリイさん、お疲れ様でした」
「・・・・・・アメリアもお疲れ様」
 キラキラとした笑顔のアメリアに、俺はこちらに残って良かったと思う。
 

 だって俺は、守られるよりも守りたいんだ。





「あいつ、自分の寿命分かってるんだろうか…?」

「忘れてると思いますよ」




end



 何と言いますか、今私の中で人魚ブームが発生中なのですよ。アクセ方面で、なのですが。
 こちらでも例のTRYネタに食いついてみました。

 あれをいかに正当化しようかと・・・・・・・・・。

 すいません、ただの笑いネタにしようとしています。

 なぜか話はシリアスになってますけどね〜〜(苦笑)
 ちょっとだけ、スペシャルの水中生物ネタにからめたつもり〜。

 一見薄幸に見える生物も、したたかに生きてますよー、的な(笑)


ブログにて 2015年7月13日掲載




 人魚ネタに食いつく私って……。
 女装ネタは好きなんですよ、でも、あれは無いな〜っとね。
 そういえば、私が女装ネタに目覚めたのはスレイ無印でした……。



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