黒い太陽
「魔族って、以外に脆いよな」
誰とは無しに呟いたその言葉は、間違いなく自分に向けられたもので、その意味とその意図に内心僕は首を傾げる。
「どういう意味でしょう?」
少し後ろにいた僕はガウリイさんと歩みを並べ、そう問いかける。
前を行く少女たちはそれには気づかず、なにやら楽しげに笑いあっている。木漏れ日の中のその光景は、きっと心和む光景なのだろう。
事実、前を見ているガウリイさんの表情も随分と落ち着いている。
「力とか、そういったものでは人間は敵わないんだろうけどさ」
「まあ、あなた方は例外ですからねぇ」
私たちは与えられた力が大きい分、数は少ない。そのことを言いたいのだろうか。その数のことにしても、私たちの力は圧倒的で、数的差があっても人間などには基本的に引けを取りはしない。
「でも魔族って、親が駄目になっちまえば、子も駄目になるんだろう?」
駄目というのは滅するということだろうか、それなら確かにそうだが。
己を生み出したものが消滅すれば、己も消滅するか、より高位の者に付くか。その2つの選択肢しかない。
「人間は親がなくても、生きていける。ですか?」
別にそのことを羨ましいとは思わない。親がいないというのは人間にとっても大概不幸なことであるようであるし、産みの親のいない世界で僕は生きたいとは思わない。
ガウリイさんが言おうとしていたことは、僕が言ったとおりのことであったらしく、開きかけた口を閉ざした。
そのまま僕も黙って歩みを進める。
随分と前を歩いているゼルガディスさんが、みんなが付いてきているかを確認するかのように振り返り、僕はそれに笑って手を振る。
ゼルガディスさんは、一度僕を睨んだ後顔を前に戻した。
「親がいればそれで十分なんだな」
「おや、焼き餅ですか。もちろん貴方の事も、貴方達のことも好きですよ」
そういって僕は茶化す。
「興味の対象として、だろう」
「まあ、娯楽は必要ですから」
きっと僕にまともな答えなど期待していないのだろう、そっけない返事のみが返ってきて、視線をこちらに移そうともしない。さっきと同じように戯れる少女達を見たまま。
「親がいれば幸せで、親がいなくなれば存在できなくて。魔族は随分と……」
ガウリイさんが口ごもる。
その後に続くであろう言葉は想像できたけれども、それは合えて口にしない。代わりに行動をする。
彼の左手を取り、防具の上からその手首を指で撫でる。
ガウリイさんは忌避するように僕の手を振り払った。
その彼に僕はいつもの笑顔を向ける。
「どういったところで、魔族と人間はまったく違うものですからねぇ。人間は更にそれぞれですから」
僕の意図がいまいち分からないようで、ガウリイさんは困惑した表情をしていた。
僕は言葉を続けた。
「大切なものなんて、手を伸ばせばいくらでも見つけることが出来るでしょう?」
ガウリイさんから微かに負の感情が湧き上り、僕は少しだけ喉を上下させる。こうなることを意図して言ったことではなかったのだが。
それでも、それはすぐに掻き消える。
そして最初と同じように、穏やかな表情で前にいる少女を見つめる。
「それでも……」
ガウリイさんが僅かに口を開いたとき、前にいたリナさんが大きく手を振りガウリイさんを招いた。
ガウリイさんはそれに答えて走り出す。
続く言葉を聞かずにすんだことに僕は安堵する。
end
えーっと、本当に色々推測していただかないと、何のことだかさっぱり、な文章になってしまいました。
いつものことですか?そうですね……。
まあ一言で言うと、ゼロスさんも色々と知っているようで、人の内心まではなかなか理解できないというようなお話でした!!