KISS



 唐突に唇に触れた感触に、ガウリイは目を見張った。
 その少し冷たい唇が離れて、頬に手を添えられるまで、息をするのさえ忘れて相手の顔を見つめていた。
 
 苦笑を浮かべる唇から相手の目へと視線を移し、初めて相手が少し照れていることを知る。




「キスしたい」




「……、今したのは?」


「……、もう一度キスしたい」


 そして再び近づく唇の前に手をかざして、再びの接触を防ぐ。

「ゼル……」

 呼ばれた自分の名に返事とも言えない「ん」という音だけを返し、間にある手を掴んだ。


 掴まれた手を退かすかどうかの選択はガウリイにあった。
 いきなりキスをされたのであるから、怒っても良いし、拒絶するということも出来る。


 掴んでいるだけで退かせるための力を入れていないゼルガディスの手が、その意思をガウリイに伝えている。


 その意思を汲み取って、ガウリイはちょっと息をついてから微笑んだ。

「いきなりの行動の前に、一言欲しいんだが……」

 ゼルガディスは少し目を泳がせ、ガウリイの手を掴んでいる手に少し力を込めた。
 もちろん、それは退かせるための力ではなく、伝えるための。




「好きだ」




 簡潔な一言はいかにも彼らしく、顔色の分かりにくい彼であるのに紅潮しているのが分かる今の状態はいかに彼が真剣であるかが伝わって来る。

 不意を疲れた仕返しにちょっと悪戯をしようかともガウリイは考えたが、彼の様子を見るとちょっとそれは出来なくなった。




「俺も好きだよ」




 その小さな声にゼルガディスはガウリイの手を握る手にさらに力を込める。
 自分は言わないといけないと思っていたが、今彼からこんなにはっきりと返事が貰えるとは思ってもいなかった。

 ゼルガディスが呆然としている間に二人の間にあった手は退けられていた。

 微笑むガウリイに余裕を見てちょっと悔しく思いつつ、その両頬を手で包む。




 少し開いた唇に口付けに、今度は長く深い恋人としての口付けが落とされた。





end


 つい、書いちゃいました〜、ゼル×ガウ。
 魔族×ガウと違って幸せ風味です。どうでしょうか?
 ちょっと今のマイブームっぽい(微妙な表現)CPです。

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