りーふふぁいたー99
第2回♪

--------------------------

「にゃぁっ☆ 変なお兄さん、こんにちはですっ」
「どうだね? 我が同志、和樹の製本状況は?」
 とある印刷所。
 規模は小さいが、即売会間近になれば注文が鬼のように殺到する。
 この男 −九品仏 大志− は、注文した本の状況を見に来ている。
「バッチリですよ☆ 任せといてくださいです」
「ほほぅ、それは頼もしい! これで我輩と同志和樹の野望の成就へ大きく近づいたっ! 神になる日もそう遠くあるまいっ!」
「だって、千紗が丹精こめて製本してるですよ☆」

 大志の覇気が瞬時に消えた。
 その変化ぶりたるものや、誰もが見ても明らかである。
「にゃぁ? ……変なお兄さん、どうしたですか?」
「いや……塚本女史が製本か……それは……」
 『それは頼もしい』、この言葉が出てこない。
「それは……たの……も……うぐぅ……」

 その時、サッシ戸を開ける一人の女性。
「いつ来てもここってちょおオンボロねぇ。 私が使っている事に感謝して欲しいわ、まったく」
「おおっ、これは同人界の女帝、大庭詠美でなないか。 ほら、塚本女史よ、お客さんだぞ。」
 大志の顔に、安殿の色が灯る。
「あんたは……確か、和樹とか言う、ヘタクソな絵を書く人の仲間ねぇ。 何? この詠美様の作品をスパイに来たの? もぅ、天才売れっ子ともなるとそんな人が多くて困っちゃうのよねー」
「お前は猜疑心の固まりか? なぜ、我輩らがそのような事をせねばならぬ?」
「さいぎしん……? ちょっとあんた! 日本語使いなさいよねぇっ」
「……ったく……なんや、うるさいなぁ……」
 その声を聞くや、詠美が過敏に反応した。

    つづく♪

戻る