りーふふぁいたー99
第3回♪

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「あーっ、その声は温泉パンダ! なんでここに居んのよ? 大人しく神戸の山奥に帰れー」
「……よくもまぁ、そこまで言うたなぁ……」
 声の主は、顔こそ冷静を保ってるものの、言葉に怒りが溢れている。
「誰が『温泉パンダ』やてぇ? うちは『保科智子』や! あんたの少ない脳みそに叩き込んどき!」
「あ、あれー……違ったみたい……ふみゅーん、ごめんなさい……」
「泣いてすむんやったら警察は要らん! さ、この落とし前、どうしてくれんのや? ああーん?」
「これは多少、ヤバイ雰囲気のようだな……」
「ふ、ふみゅーん、ごめんなさいぃぃ……」
「おやおや詠美ちゃんは泣き虫やねー」
「ふ、ふみゅー……! あ! お、温泉パンダ! 帰れ! 今すぐ帰れ!」
「うちは製本の注文に来たんや。 そう簡単には帰れんなぁ」

 3人の間に繰り広げられる火花の嵐。
 その緊迫を破った少女が一人。
「にゃぁっ☆ ご注文、ありがとうですっ。 何部にいたしますか?」
「そうやな、2000部刷っといてや」
「にゃぁっ☆ いつもいつもありがとうですっ。 千紗、お姉さんに足を向けて眠れないです」
「ちょっとー! 無視するなー!」

 秋の足跡が確実に聞こえてくる。
 外は風が吹き、枯葉が待っている。
 印刷機の喧騒の中、あまり良くない空気が充満している。
「どや、トモヤン。 大バカ詠美ちゃんは?」
「……コイツと違う。 ちょっとでも期待し取ったうちがバカやったわ」
「むきー! 『大バカ詠美』って言うなー!」
「……ちょっと宜しいか? 何か、人を探してるのか?」
 その時、印刷機の喧騒がピタリと止まった。
「これは……何か良くない気配を感じるぞ…… まさか! 我らが野望を阻止せんとする刺客の仕業かっ!」
「にゃぁっ! コンセント抜いちゃったですぅ〜」
「なんでコンセント抜くねん!」
 智子と由宇のWツッコミが、千紗に見事にクリーンヒットした。

つづく♪

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