りーふふぁいたー99
第5回♪
伸び伸びでゴメンね。

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 ピッ、ピッ、ピッ、ポーン。
 時報が、12時丁度を知らせる。
「はい、今週もやって来ました『桜井あさひのトキメキあふたぬーん』! まだ始まって2回目なんだけど、先週はホントにいっぱいのFAXありがとうございましたっ。 番組が終わった後も、ちゃんと全部読みましたから送った皆さん、安心してくださいね♪」
 ラジオから、軽快な音楽とともに、歯切れの良い声が飛びこんでくる。
 この番組は、DJは透明なガラスで外が常に見える状態にある。
 また、それが歩道のそばで、歩行者のから容易に見れるため、さしずめ毎回が公開録音である。
 先週の第1回放送は彼女のファンが殺到してしまい、警察沙汰になってしまった。
「えっと……先週は流石に驚いちゃいました。 みなさん、落ちついてくださいねー」
 彼女は、ハッキリ言ってかわいいのだ。
 そんな人に『落ちついてください』なんて言われたら、ますます落ちつかないと言うものだ。
 ……耳を済ませば、一際歓声が大きくなったようにも聞こえる。

「さ、今日はなんと特別ゲストをお迎えしています。 ファーストアルバム『WHITE ALBUM』が絶好調のこのお二人、『森川由綺さん』と『緒方理奈さん』でーす!」
 ……そっか、由綺の奴、ラジオに出るとか言ってたっけ。
「こんにちわー!」
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、今日はよろしくお願いします」
 ……明らかに歓声が大きくなってる。
 ……後で見に行ってみるか。

「でわ、早速今日の1曲目はこのアルバムから、タイトルにもなっている……あ、由綺さん、曲名紹介お願いしてもいいかな? なーんて……ダメ?」
「あ、いーですよ。 えっと、アルバム『WHITE ALBUM』から、タイトルにもなってる『WHITE ALBUM』です。 どうぞ!」
「♪すれ〜違う〜 毎日が〜♪ ……」

「……あさひさん、今のは打ち合わせに入ってなかったはずですが?」
 スタジオの外にいた女性が、DJに話しかけている。
 少なくとも、機嫌は良さそうには見えない。
「あ、すいません。 でも、本人に曲紹介してもらった方がいいと思いまして……」
「そう言う事は前もって言って頂かないと困ります」
「も、もう、弥生さんったら……ほら……外から見えちゃうよ。 ね?」
 そう言われて、
「わかりました。 失礼しました、あさひさん」
 静かに礼をする。
「あ、いえ、急に頼んだ私が悪いんですから……」
「……ほら! 元気ないぞみんな! 笑顔笑顔!」
 様子をずっと見ていた理奈が、一際大きな声で言った。
「……うん、そだねっ!」
「あと10秒で曲終わります。 準備をお願いしまーす」

続くっ♪

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