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ツ バ メ よ
 水曜日は身体障害者施設のディサービスを利用しています。

で、一昨日はたまたま自宅で朝シャワを浴びていったんです。

そういうことなので、他の利用者の方々が入浴されている間

に、私ひとりで庭園に出たんです。芝の敷き締められたそこ

はかなりの広さがあります。私は芝の上に座りました。実は

言葉の訓練というほどのこともないのですが、大声で歌をと

思っていたんです。

「おやっ、ツバメ・・・おっ、また」

 ツバメが私の方に向かって飛んでくるではありませんか。

前からも後ろからもです。しかも芝すれすれを飛んでくるん

です。そして、私のすぐ近くでバッとツバメ返しをするんで

す。ツバメに遊んでもらって私はすっかり嬉しくなってしま

いました。

 飛ぶところをよく見ていると、芝すれすれのあんなに低い

ところなのに時々翼を広げたまま滑空するんです。

【ツバメよーー君はーぼくのー友達ーだーー遊んでーーくれ

てーーーとてもーうれしーいよーーああーつかぬ間のー陽の

さすーー芝のううえーー】

 私の口から自然に歌声が飛び出してきました。

 

 私は脳性小児マヒです。全身性だけど、小さい時からの自

主訓練でなんとか動かせるようになってます。物事に対する

興味や好奇心がなく、動こうとする意欲がなければ、おそら

く寝たっきり状態になっていたでしょう。

 両手足ともマヒはあるんですが、足は左が弱いけど歩ける。

まあ50メートルほどが無理のないところ。手は右なんだけ

ど、掴んだり握ったりといった大まかなことはできる。細か

なことはぜんぜんダメ。三輪のバイクに乗っていたけど、右

手の親指を突き指して、もう痛くはないのだが、力が入らず、

半年ほど乗っていない。もう乗れないかもしれない。運転歴

30年ほどで終わりか。無念。

 といわけで、歳と共に弱ってくるから毎日が訓練なんです。

と、いっても無理せずに楽しみながらコッコッとやっていま

す。言語障害についても同じことがいえます。言葉や声を発

しなければ、ますます言いにくくなります。でも、やっぱり

人に聞かれるのは恥ずかしいのです。で、たまにですが、私

は誰もいない河原などで大声で叫んでみたり、歌を唱ったり

するんです。この訓練法は意外と効果があるようです。




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著者  さこ ゆういち