【アキ三角は愚形の見本】
 石が一箇所に密集しているため、味方同士で石の働きを
相殺してしまうからです。通常は嫌われる形だけれども、時
と場合によっては手筋となり得る事もあるので、注意が必要。

【アタリ、アタリはヘボ碁かな】
 アタリは石を取れる一歩手前の状態の事です。でも次は
相手の手番ですから逃げられるのは当然ですね。で、取れ
ないという事になります。例えると、泳いでいる魚を直接、
手掴みにしようとするのに似ています。これでは返って逃が
す結果となりかねませんね。そこで網を張るとか、何か技術
的な要素が必要だからという事で、直接は味消しのヘボとな
ります。

【浅く消すにはカタツキ、ボーシ】
 深く打ち込むのが危険なとき、カタツキやボーシが有効と
なります。それによって敵陣の拡大を阻止し、攻めを食わな
いように軽く引き揚げる。と、いう考え方です。

【厚いだけでは碁に勝てぬ】
 厚味を作るという事は、相手にそれなりの実利を与えてい
るわけですから、最終的にはそれだけの地を取りもどす必要
があります。その為には厚味を最大限に生かす事が重要。

【厚味を地にするな】
 これは【厚いだけでは碁に勝てぬ】と矛盾しているようで
すが、けしてそうではなく途中経過「ヨセ」に入る前までの
事をいっているのです。戦いにおいて、厚味は大きな戦力
だから囲うより攻めに使えとの考え方です。

【厚味に近寄るな】
 これは【厚味を地にするな】を逆の立場でいっています。
敵の厚味に近寄ると、どんな威力を発揮されるか知れたも
のではありません。ですから厚味を囲わせるように打ち進め
る、という考え方が成立します。

【石取って碁に勝たず】
 碁には捨て石戦法とかハメ手というような高等戦術があ
ります。石を取った為に形勢を損じる事は、よくある事で
す。で、取れそうな石があったとしても逃げ道を与えてや
って、逃げてる小間に地を稼ぐ、というような考え方も一つ
の兵法です。

【石飛んでその碁に勝たず】
 碁を打つ時の心構えといえるでしょうか。打った石を滑り
落としたり、弾き飛ばしたりするのは心の焦り。相手に見抜
かれてしまうので落ち着いて打ちなさい、といったところ。

【石の余力を忘れるな】
 石に余力「ダメ」があるうちは無事だったのに、それを
無くした為に何らかの手が生じる事があります。つまり、こ
れは「ダメ詰めは禁物」との戒めです。

【一合桝わかれば五段格】
 隅を囲った形が一合桝に似ている。あるいは例えた形を
一合桝といいます。この形は急所に打たれた時の対応が隅
のアヤを含んでなかなか難しいのです。基本形はコウです
が、着手の違いによっては「五目中手の死」になったり、
「セキ」になったりします。

【一間飛びに悪手なし】
 一間飛びは石の連係の基本的な形です。だから「悪手
なし」といったところでしょうか。

【一線飛んで綱渡り】
 盤端の一線は地としての価値が一番少ない所ですが、
死活などに関しては特有の性能を発揮する事があります。
「ワタリの手筋」として有効。

【一方石に死になし】
 これは「カラミ攻め」にされた時の恐ろしさを暗示した
格言です。「一方石」は「一カ所の石」の事で、攻めら
れても何とかシノギがあるもの。なかなか死なない、とい
う意味です。とはいえ、敵の包囲網の弱点を衝くなどヨミ
の力が必要そう。

【一方碁は危険なり】
 「一方碁」は「一方地」ともいいます。これは一カ所
だけの地、あるいは一カ所だけの模様で争う碁を戒めた
格言です。「一方地」で争うというのは、かなり大きく囲
う必要があります。で、構想通り囲えればいいのですが、
どっか一角でも破れると、洪水の被害を受けるがごとき有
様となりかねません。 

【うっかりするなシッポぬけ】
 カナメの石が取られ形であるのに、うっかりして生きた
石を追っかけてしまう。そんな事が時としてあります。当
初は判っていても、石が混んでくると錯覚しやすくなりま
す。心理的に追いつめられた時や、時間に追われた時な
どに錯覚する場合もあるので要注意。

【追うはケイマ、逃げるは一間】
 これはケイマと一間トビの性質の違いを表したものとい
えます。相手の石を追う時は地所になる方にという事でし
ょうか。石は意図的になかなか取れるものではありません。
だから、逃がす時はダメ場に追うという考え方があります。

【カス石逃げるべからず】
 カス石とは、捨ててもそれ自体の損以外に影響のない
石のことです。例えば『効かした後の石』『敵の勢力に
近づき過ぎた石』『助けると不利になる石』などなど。
で、捨てるにしても最大限に利用して、有利な形勢にな
るように仕向けることが肝要です。

【勝ち碁を勝ちきる難しさ】
 アマ、プロを問わず碁打ちにとって肌身に感じる格言
ですね。せっかく形勢有利にもってきたのに逆転される。
しかも一発逆転なんてことが。これは勝ちをあせる心や
ゆるみ、油断などが原因ではとなる。一局の道中はま
さに『自分自身との戦い』

【かなめ石は捨てるべからず】
 かなめとは、相手の石を分断している石のことです。
ですから重要な石というわけで、カス石はどんどん捨て
いいのに反して、例えそれが一石といえども捨ててはな
らないのです。

【カランで攻めよ】
 一方だけの石というのは、攻めてもなかなか捕まら
ないし、攻めた効果もそれほど上がらない場合が多い。
そこでカラミ攻めである。相手の左右の石が繋がる寸
前に断ち切って頭を出す。攻められる側としては、これ
ほど苦しいものはないといえる。

【キカシと悪手は紙一重】
 
 キカシを打つと相手の石の形が決まり、味がなくな
るので、その意味では悪手。打たずにおけば、進行
具合によっては変化の余地があろうというもの。しか
し、打っておけばシチョだったのに、とかと後悔する
こともある。と、いうことでキカシは打つタイミングが
非常に難しいといえます。

【キリ一本が勝負のカギ】
 効き筋のキリ一本を入れておく事で、ヨセの手順と
して使える場合がある。また、そのキリ一本が働いて
攻め合いに勝つ手筋となる場合もあります。

【キリチガエ 一方にノビよ】
 相手がマギレを求めて、キリチガエてきた時は
どちらか一方にノビるのが完結とするもの。原則的
には弱い方の石を強化する意味でノビます。ただし、
例外の時もあるので注意が必要といえます。

【近所コウが多すぎる】
 コウダテを考慮せずにコウを仕掛けたような時の
ことを嘆いている格言です。特に大石をコウ含みで
取ろうとするような場合、その大石には相手からの
コウダテが多いものです。これは「コウにするタイ
ミングを考えよ」と、いっているみたいですね。

【櫛型は生きなり】
 クシ型とは七石で囲った六目のことです。これ
は急所らしきものが2つあるので死なないのです。
最終的に二目の手入れが必要なので、四目の
地となります。

【車の後押しヘボ碁の見本】
 
 車の後押しには二つの意味が含まれています。
一つは、相手の打った所をついて回る打ち方で
す。つまり主体性がないから「ヘボ碁だ」と、
いっているのですね。
 もう一つは、石が接続したときに、相手の石
を後から後から押し出すような打ち方の事です。
これでは相手の石が先行し、先に頭を出させる
ので、これも「ヘボ碁の見本」と、いうわけで
す。

【形勢不利なら勝負手探せ】
 大ヨセに入る以前で、もう既に形勢を損ねて
いるような場合、ただ手をこまねいて終局に至
る。と、いうのではあまりにも勝負に対する執
念というか、執着がなかずぎますね。
 どうせ負け碁なら玉砕は覚悟の上で、肉を
斬らせて骨を斬る。と、いうような手段に出る
べきである。姿勢を正して碁盤を隅々までよく
よく観察すれば、どっかに敵の弱点はありそう
なもの。そこで勝負手ですね。たとえ失敗しよ
うとも悔いはなし。

【ケイマにツケコシあり】
 これは石の連係の問題で、ケイマは元々切
れるのです。で、切る時はツケコシが手筋に
なりやすい。と、いうもの。

【ケイマのツキダシ俗手なり】
 ケイマを切る場合のことですね。ツキダシ
て切るのは初心者でも浮かぶ発想。と、いう
わけで俗手になる場合が多い。そこでツケコ
シて切ることを考えるべき。けれどもツキダシ
ての切りが手筋という場合もあるので要注意。

【攻撃は最大の防御なり】
 これはかなり高等な戦術といえます。敵
の石を攻めることによって、味方の石の弱
点を補う。と、いうもの。まあー出来るこ
となら攻めまくって敵に反撃の余地を与え
ずに快勝。これほど痛快な勝ち方はない
でしょうね。

【コウダテは小さいものから使え】
 コウの価値と同等以上のコウダテが多
い場合のことです。小さい所からタテて
いく。と、いうのはコウ争いの基本中の
基本といえますね。

【サバキはツケから】
 
 これは「戦いの糸口を作る」「模様
を消す」「攻められた時の打開」と、
いうような場合の手法で、ツケからの
軽サバを目的とします。まずツケてみ
て、相手の受け方によって後の打ち方
を決めようというもの。

【サバキ許さぬブラサガリ】
 相手から勢力内に打ち込まれた場合
サバキはツケからだから、サバかせな
いためのブラサガリ「鉄柱」を打って
逃がして攻めるというもの。

【左右同型、中央に手あり】
 左側と右側が同じ型なら、中央に手
あり。中央が急所の一撃です。この格
言は殆どの場合に当てはまっているよ
うです。

【三間にウチコミあり】
 三間ビラキは真ん中への打ち込みが
あります。周囲の状況に応じて、打ち
込まれた時の対応を考える必要があり
ます。また三間以上のヒラキには必ず
ウチコミがあるものと覚悟して、その
時の対策を考慮の上で開く事が肝要。

【三々打って憂いなし】
 実利を取るには隅が第一という考え
方かあります。そして隅の急所は三々。
と、いうわけで実利の急所は死活に関
する急所でもありますね。
 隅の守りに関しては、三々は何より
も心強い地点となります。

【三方ガラミにシノギなし】
 単なるカラミ攻めであっても逃げる
側としては大変苦しいものです。増し
て三方ガラミの攻めにあっては全部を
シノギきれるか、どうか。シノギの難
しさは倍増するので、どれか取られる
ものと、まず思った方がよいでしょう。

【三目の真ん中は急所】
 ダメの詰まった三目の石は真ん中が
急所となります。そこを相手から打た
れたら一挙に形が崩れるし、逆の場合
は眼形の豊富な美形となります。正に
攻防の急所といえるでしょう。

【シチョー知らずに碁を打つな】
 有段者であっても勘違いによって取
れないシチョーを追っかけてみたり、
取られるシチョーを逃げてみたりする
ことが起こります。アッと気づいた時
は後の祭り。打つ前によくヨンで、そ
のような事態は避けたいものですね。

【死はハネにあり】
 これは石の死活に関する格言です。
石を殺す場合は第一にハネる事を考えな
さい。と、いっているのです。
 ハネる事によって相手の囲み(懐)を
狭めてみる。ハネ殺しの常法である。
 参考「一、ハネ 二、オキ 三にキリ」
これは石を殺す場合の三原則です。

【初劫に劫なし】
 初劫とは序盤早々にできるコウの事です。
布石の段階ではまばらにしか石が存在せず、
コウ立てがないという意味。
 中盤戦のように石が混んできて、大石に
幾らでもコウ立てがあればいいのですが、
布石段階ではコウを仕掛けるものではない
とするもの。

【スソあき囲うべからず】
 スソあきの所を囲うとすれば、一手の
手間をかけなければならない。手間をか
けても大きな地になるなら話は別である。
要は囲う効率の問題ですね。
 手間をかけても大して地にならぬ所な
ら、手抜きで転戦する方がよいとする考
え方です。ただし、死活に関わる、また
はそのような問題に発展するような場合、
この格言は適応外となります。

【捨てると死ぬとは大違い】
 シノギに自信のない弱石、あるいは
逃げても取られそうな石は最初から捨
てて打つ。と、いう考え方です。動か
ずにいる事でアジを残しておく。そう
する事で、そのアジが後の進行具合に
よっては威力を発揮する可能性がある
からです。
 暴れるだけ暴れて死んでしまっては
味も何もなく、ふふ、ただの野タレ死
に。と、いったところでしょうか。

【三々に打ち込みあり】
 隅を星打ちから囲ったような形では
三々に打ち込まれて対応に困る場合が
あります。元々、星打ちは三々への打
ち込みを誘っている意味のある地点な
ので、隅の囲いに入ると薄みや味の悪
さが残ってしまう。と、いう欠点があ
ります。

【攻めながら地を取れ】
 碁というものは、かなり強くなっても
石を取る事、取りたいとの発想からなか
なか脱皮できないものです。もちろん願
望どおり取れれば、それに越した事はな
いのですが、実戦ではそうも旨くいきま
せん。そこで攻めて地を取る戦術ですね。
これは取る為の攻めではありません。逃
がしている間に地を取るのですから《忍
法逃し攻め》です。

【外ダメからツメよ】
 これは攻め合いになった時の原則で
すね。攻め合っている同士の《内ダメ》
をツメるという事は《自身の身ヅメ》に
もなってしまうからです。「要注意」

【タケフの心配ダメヅマリ】
 タケフは堅い連絡形のはずだが、その
繋がっているはずのタケブが切れる事も
ある。それはダメヅマリのために起こる
現象。ツグにツゲない事態となる。
「要注意」

【ダメのツマリが身のつまり】
 
 無用のダメヅメを戒める格言ですね。
ダメが詰まると切れないばずのタケフ
が切れたりするのですから怖い。また
ウッテガエシやオイオトシといった筋
を誘発する原因となります。

【ツケコシ切るべからず】
 これは「ケイマにツケコシあり」の
逆の立場の格言ですね。ツケコシた方
は「切る」⇒「遮る」手に対する対策
を当然ヨンで打ったはず、だからその
狙いをハズスのも一つの兵法といえま
す。

【ツケにはハネよ】
 碁を打つ時の気合上はこの格言の通
りですね。でも周囲の状況次第によっ
てはそうも打てません。またジーッと
引いてノビルのが意外と冷静で巧手で
あったりするのです。

【手数を詰めるホウリコミ】
 ホウリコミは攻め合いになった時の
手数を詰める手筋ですね。この手を打
たなかったばかりに一手負け。誰しも
経験するところでありますね。

【敵の急所は我が急所】
 布石、中盤、死活など、どんな場合
にも活用できる格言です。自分の手番
の時、どこに打ってよいか迷う。その
ような時は相手が打ちたがっていそう
な所を探して、そこを打つ。と、いう
のも一つの戦術では。

【中地を囲うな】
 この格言は古風になりつつあるのか
も知れません。確かに中央を地にする
のは四方を囲わなければならないので
相手にスキを突かれやすいといえます。
 しかし、時代は宇宙流に変わりまし
た。ふふ、冗談はさておき、中央を目
指す碁は伸びる事も事実です。どちら
を取るかは、もっと自由な発想で、と
いう事でいいでしょう。

【二線三線余計にハウな】
 盤端の第一線はワタリ筋やヨセ筋と
して、はたまた死活問題の急所として
有効な手段となり得るのだが、そこへ
打っても地としての価値はゼロである。
 その意味で二線は一手這う毎に1目
増えるだけ。三線は2目だから囲う効
率が悪いと言える。生死に関わるので
なければ、早く切上げて他へ転じたい
もの。

【二手ヨセはコウにあらず】
 コウつき攻め合いで、二つのダメを
つめてから本コウとなるもの。これを
二手ヨセコウと言います。ダメをつめ
ながらコウ争いをするのは、なかなか
大変です。コウを勝ち切るのは容易じ
ゃないし、相手方はコウに負けた場合
でも三連打できるので、計算上での損
出はないものと言えます。

【2ノ一に手あり】
 2ノ一、2ノ二は隅の死活に関する
急所。特に2ノ一は手あり。で、ヨセ
の筋としても有効です。
 隅の特殊性の関係で利用度の高い点
と言えます。

【二目の頭は見ずハネよ】
 二目の頭をハネるのは相手の石をダ
メヅマリに導く第1歩である。そこか
らウッテガエシなどの筋が誘発される
からです。また相手の出頭を叩く一つ
の急所でもあると言えます。

【ノゾキにツガヌ馬鹿はなし】
 これはそのものズバリの言葉ですね。
ノゾキには有難くツギましょう。なぜ
ならツグ事によって石が強化されるか
らです。

【ノゾキに悪手あり】
 ノゾキはキカシとして先手で打てる
ので気持ちはいいのですが、色んな味
を無くして悪手となる場合が多いので
す。
けれども先に打てば受けてくれたのに
戦いが忙しくなってからでは受けてく
れない。と、いった場合もあるので、
ノゾキを打つタイミングが難しいとも
いえます。

【ヘタ碁にダメなし】
 これは初心者同士の碁をいったもの。
まだ打ち方の基準が判っていないので
相手の打った石にベタベタとツケてい
くのは仕方のないところ。その結果、
終局に際してダメの無い盤面となるこ
とが多いようです。

【ボーシにケイマ】
 ボーシは相手の地模様を軽く消す
ために打たれるものです。それに対
してはケイマで受けよ。です。左右
に受ける点がある場合は確実に地が
できる方を選ぶ。というのが一つの
目安といえます。

【ポンヌキ30目】
 一子を四つの石で取った形をポンヌ
キと言います。で、その威力が30目
ほどであるから、ポンヌキをさせるな。
と、いう意味の格言です。
 ちなみに二子を六つの石で取った形
を「亀の甲」と言い「亀の甲60目」
の格言もあります。