キャベツ畑からこんにちわ(ミルガズィア×ガウリイ) 1
夕飯も終わり、でもまだ眠るには早い時間。女性陣がそれぞれ部屋に戻ったり食堂を出て行った後に残ったガウリイは見るとはなしに正面居座っている彼が言うところの『でっかいとかげの人』のミルガズィアを見ていた。
そしてふとある疑問を思いつく。それをそのまま素直に目の前で水を飲んでいる金髪の中年男性に尋ねる。
「なあ、竜族って子供はどうやって出来るんだ?」
ぶっ……。
口に少ししか含んでいなかった水は、壮大に吹き出されることは無かったがテーブルに落ちる。
それを笑うことも無く、真剣そのものの目で見てくるガウリイに、ミルガズィアは小さくため息を着く。
「あ、どうやって産まれるんだ、の方が正しいか?
ほら、あんたら人間みたいにもなるしでっかいとかげにもなるし、やっぱ卵?」
「………でっかいとかげはやめてくれ…」
一瞬突込みが遅れたことに、深く後悔する。それはともかく。
どちらにしてもこんなにあっけらかんと聞いてくる内容ではないと思うのだが。
軽く頭を抱えると、ガウリイが不思議そうに首を傾げた。
「もしかして、…知らない、とか?」
「んなわけあるか!!」
今回はすかさず突っ込みを入れる。
それに対しヘラッと笑う彼に、一瞬担がれたのかと思ったがすぐに「で、どうなんだ?」と尋ねられ、そうではなかったと知る。
ふぅ、とため息を着きガウリイを見れば期待に満ちた目をしている。そんなに気になるのか…。
取り合えず、こんなほかの人間がたくさんいる場所で話す内容ではないから、場所を変えようとガウリイに部屋に行くように促す。
一瞬怪訝そうな顔をしたガウリイだったが、おとなしく席を立ち着いて来る。
(あ、ウイスキーのボトル買ってる)
まともに聞く気があるのだろうか。彼だからこそ不安だ。
いや、こんな話まともに聞いてくれないほうがいいのか。こちらだって真剣に話したくは無い。
今夜宿泊する部屋に入ると、古びてはいるものの掃除の行き届いた部屋で寛げる。二人部屋でガウリイと同室ではあるが彼にも随分慣れて来たので不自由は感じない。
こんな質問をぶつけられなければ!!
部屋に戻ると、早速備え付けのグラスにウイスキーを注ぐガウリイ。
そういえば彼はあまりリナや他の仲間の前では酒を口にしない。やはり未成年者の前での飲酒は避けているのだろうか。へんなところ保護者ぶる彼のことだ、在り得る。
しかし、なぜにそんな配慮は出来るのにこういうところに神経が回らない!!
ウイスキーが入ったグラスを差し出され、受け取り口に含む。授業料、と言ったところだろうか。
水で事足りる私であっても、他の物を口に出来ないというわけではない。それに楽しみとしても食事をする場合もあるし、酒なんていうものは嗜好品であるから案外頻繁に口にする。
とはいえ、ウイスキーを生のまま飲むのはどうかと思うぞ、ガウリイ。
などという私の思いは彼に通じるはずも無く、自分のグラスをそのまま開けている。あ、また注いでる。それでまともに話聞けるのか?
「…。……で?」
思いついたままの問いかけに対して、どうやら真剣に答えてくれるつもりらしいミルガズィアに、答えを促す。
彼はしばらく視線をさまよわせた後、何か一人で納得したらしく小さく頷いた。
「……、他の生き物とたいして変わらないぞ。基本的に男女が結ばれて子が出来る」
俺が気になるのはその部分じゃないんだけど。まあ、俺が最初に言い間違えたのが悪いんだろうけど。
続きを促そうとしたら、ミルガズィアは最初から話すつもりだったらしく言葉を続ける。
「…出産は……、まあ、そうだな。卵の方が多いな。子供を産むことは出来るが」
「へぇ……」
てっきり卵だけかと思っていた俺は、感嘆の声を出す。
するとそれに満足したのか。ミルガズィアは得意げに語った。
「竜形態で産む卵の方が母体のリスクが少ないのだ。妊娠期間も短くて済むし出産時の母体の危険も少ない。人型で子供の状態での出産になると妊娠期間が長く母体の出産時のリスクも上がる。まあ、その分子供のリスクは下がるのだが…、まあ、微々たる物だからな。卵の形態をとるほうが多いな」
「……」
「要は、卵も子供もどちらも産めるが、卵の方が母親にとって都合がいいから、卵で生まれることが多い。ということだ」
「へぇ〜」
なかなか面白いことを聞いたと満足していると、何か考えている様子のミルガズィアが目に入る。
まだ何か秘密でもあるのだろうか?
「…ガウリイ・ガブリエフ」
「………?」
滅多に呼ばれることの無いフルネームで呼ばれて虚を突かれると、視界があっという間に回転していた。
つづく
思いの外長くなったので、分けます。
2010.5.30掲載
これを書いているときはあと1話ぐらいで終わるだろうと思ってたんですよね・・・・・・。
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