田中整体療院

トピックス(健康関連)    

オシッコは、溜めて、いきまないで、奔流~ (2019.12.25.)


1.【概要】
2.【なぜ、いきんでしまうのか?】
3.【不快オシッコは、泌尿器系だけでなく内科的な疾患にもつながる】
4.【快感オシッコに変えるには】
5.【男性の、しまったあとの「ちょいもれ」をどうするか】

1.【概要】
排尿(オシッコ)というのは本来、いきまないでできるものです。
オシッコをしようと脳からの指令が起きると、膨らんでいた膀胱が自然に収縮し、同時に閉まっていた尿道括約筋がゆるみ、尿道自体もゆるんで、溜められていた尿が自然に排泄されます。このとき、なんとも言えない爽快な快感が得られるのです(=“快感オシッコ”)。
しかし、オシッコが十分に溜まっていないと膀胱の収縮力が足らず、いきまないとオシッコが出ません。腹筋に力を入れることによって膀胱に圧力をかけて、尿を絞り出すわけです。
ところが、オシッコしたいときに下腹部を押されてももらすことはありません。それは、膀胱に圧力がかかれば反射的に尿道括約筋が締まり、尿を出さないようにする力が強くなるからです。その状態で無理やり排尿をしようとしているのが、“不快オシッコ”です。
この不快オシッコを続けていると、膀胱、尿道、尿道括約筋、あるいはその他の骨盤底筋群が肩こりを起こすように「疲労」して血行障害を起こし、尿漏れや頻尿や排尿障害等、様々な排尿トラブルを引き起きしていきます。
ですから、排尿の時に「いきむ」というのが、不快オシッコの一番悪いところなのです。これをやめることが、とても大事です
しかし、不思議なことに不快オシッコ派の人に「オシッコの時にいきまないようにしてごらん」と言っても、簡単にはできません。快感オシッコをしている人には信じられないかもしれませんが、子供のころからそういう排尿の仕方をしている人は、いきまずにオシッコを出すことができません(いきんでいるという意識さえない方もいらっしゃいます)。
そこで私は、こう伝えます(男性患者さんの場合)。
「お父さん、どうしてもいきんじゃうんなら、いっぺん女性みたいに便座に座ってオシッコしてみるといいですよ。十分におしっこを溜めてからね。その時、新聞でも雑誌でもいいからトイレに持って入って。それで、どこでもいいから声を出して朗読しながら、オシッコしてみて。好きな歌を歌いながらでもいい。もしできたら、それが『いきまないでオシッコをする』ってことですよ」
「いきむ」というのは呼吸を止めて下腹部に力を入れることですから、声を出しながらいきむことはできないのです。そんなふうにして快感オシッコの仕方を体験してみると、はじめて「いきまないでオシッコをする」ということが分かります。

2.【なぜ、いきんでしまうのか?】
本来オシッコというのは、膀胱のキャパシティ(容量)の余裕の範囲で、行きたくなってもちょっと待ってから、都合のいいタイミングでするもので、その感覚を覚えることが実は大事なのですが、「もらしたらマズイ」という感覚が強く刷り込まれ過ぎてしまうために、早め早めにトイレに行ってしまう。膀胱のトレーニングが十分にできないまま、人生を過ごしてしまうのです。
その結果、その人にとっての排尿は、いつも踏ん張って、いきんで、頑張って、膀胱に溜まった少量の(まだ排尿しなくてもいい程度の量の)オシッコを無理やり出そうとすることになってしまいます。つまり「不快オシッコ」です。
オシッコの仕方というのは極めてパーソナルなことですから、それは長い人生の中で修正されることなく、何十年も不快オシッコを続けてしまうのです。
このような「不快オシッコ」の習慣を持っている人は、現代の老若男女にとても多く、それが現代人のオシッコの悩み(頻尿や失禁)につながっていると考えられるのです。

3.【不快オシッコは、泌尿器系だけでなく内科的な疾患にもつながる】
膀胱が外力によって押されると、もれるといけないから反射的に尿道の元の部分(尿道括約筋)がギュッと締まってしまいます。例えば、ホースの先端を足で踏んづけておいて蛇口を全開にするようなものです。
オシッコをしようといきむと(=膀胱に外力をかける)、よけいにオシッコは出にくくなるし、それを無理に出そうとするから、ビュッ、ビュッという出方になるわけです。このような不快オシッコの仕方は、「高圧排尿」と呼ばれます。
不快オシッコの習慣が身についてしまった人は、この高圧排尿を毎日、何度も繰り返し行っています。快感オシッコを習慣にしている人に比べると、膀胱や尿道の筋肉に日々大きなダメージを負わせていることになります。
膀胱はいつも無理な力が加わるので、部分的に伸びてしまって変形していきます。また膀胱というのは元々風船のように柔軟性のある袋なのですが、高圧排尿を繰り返していると、膀胱の筋肉の壁が次第に厚くなっていき、血行が悪くなることで伸展性が悪くなり(硬くなり)、よく膨らまなくなります(簡単に言えば、老化が早まるのです)
そうなるとオシッコが十分に溜められなくなるので、よけいに頻尿の症状が進行し、それがさらに不快オシッコの習慣に拍車をかけていくのです。
男性は、中高年以降になると前立腺が少しずつ肥大していきますが、実はそれだけでは生活に困るほどの頻尿になることは稀です。そこに不快オシッコの習慣が深く関わっているのです(いきんでいると、尿道括約筋を含めた骨盤底筋群の衰えが早く起こってきます。女性は特に快感オシッコを実践すべきと言えるでしょう)。
不快オシッコはオシッコトラブルのもと、というわけなのですが、その悪影響は決して泌尿器科の病気にとどまりません。
不快オシッコは「オシッコを我慢しないで急いで行く」ということを無意識に徹底している習慣なのですが、このため不快オシッコの人は水分を十分に摂らない傾向にあります。オシッコがいつも心配なので、あまりオシッコが出ないように、ついつい水分摂取を控えてしまうのです。
そのため、不快オシッコの人の腎臓は、あまり水分を捨てないようにしながら、血液中に含まれるたくさんの老廃物を漉し取らなければなりません。これは、とても腎臓を疲れさせます。また、その毒素の多い(濃い)オシッコは膀胱に刺激を与え、尿意を強く引き起こすことになります。
体力のある若いうちはなんでもなくても、30代、40代と年齢を重ねていくうちに腎臓機能は慢性的に少しずつ落ちていきます。すると、代謝が悪くなって疲れやすくなったり、ナトリウム分の排泄がうまくいかなくなって高血圧症になったり、体の不調があちこちに現れてきます。腎臓自体も、慢性腎臓病(CKD)と呼ばれるような病気になっていくリスクが高いわけです(他、心筋梗塞、脳卒中などにもつながっていく可能性もあります)。

4.【快感オシッコに変えるには】
尿意は何度か無視して、300ccくらい溜まった段階ではじめてトレイに行って放尿する(計量して300ccがどれくらいかを把握しておくとなおよい)。この快感オシッコこそ、膀胱に適度に溜めてから尿道を通して排尿するという、人間の「オシッコを出すメカニズム」に一番自然なやり方なのです。
オシッコは、最初に「したい」と尿意を感じた時に、ちょっとした我慢が大事。何より膀胱というのは、オシッコを溜めておいて楽しいことや仕事をし続けるためにつくられた臓器なのですから、その機能を十分に使ってあげなければいけません。二度目に尿意を感じても、まだ大丈夫です。
そして尿意が訪れる間隔が短くなり、やがて尿意が消えなくなったら、とうとう快感を得る時なのです。

5.【男性の、しまったあとの「ちょいもれ」をどうするか】
最近の男性下着はぴったりしていて、ズボンもローライズのスマートなものが多いので、トイレで「立ちション」をしようとすると会陰部が下着やズボンで圧迫され、オチンチンも折れ曲がり気味になります。オシッコが終了しても、圧迫されたところで排泄されなかった尿が止まってしまいます。
一方で、排尿量が少ないと、尿道に尿が残る“尿道残尿”の原因になります。
尿道まで来たけど下着やズボンで圧迫されて止まったオシッコは、行き場を失います。それが、オチンチンをしまって会陰部がリラックスした状態に戻ったとき、チョロッと出てきてもれるわけです。
オシッコの時に下着やズボンをよくゆるめる、便座に座ってする、あるいは排尿の最後でしまう前にちょっと会陰部を押して尿道に残された尿を出してあげる、といった方法で解決すると思います。
ここでも快感オシッコが有効なのです。
ちなみに、20代でも起こり「もう老化が始まったか」と落胆されると思うのですが、これは「終末時滴下」と呼ばれる現象で、前立腺や尿道などのトラブルとは関係ありません。

(参考書籍)
「気持ちいいオシッコのすすめ」渋谷秋彦著(2018年)
 *簡単なトレーニング法なども紹介されてます。詳細は書籍をご覧ください。

 
top