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B.食いしばり癖があれば、解消させましょう!
E.甲状腺疾患は、見逃されやすい?
その他多数あります。以下のまとめから必要に応じてご覧ください。
10.【まとめ①:今すぐ改善!実は副腎を傷めているNG習慣を見直そう!】
11.【まとめ②:今日からはじめる副腎ケアに効く14の習慣】
まだまだ知られていない、副腎疲労症候群(2016.12.05.)(2017.02.05.更新)
1.【副腎の目的】
2.【副腎機能低下とは】
3.【副腎疲労症候群(アドレナル・ファティーグ)とは】
4.【副腎疲労に関わる疾患】
5.【疾患・症状・徴候に関するピックアップ情報】
6.【何が原因なのか?】
7.【副腎ケア】
8.【副腎疲労は腸から治す】
9.【その他】
10.【まとめ①:今すぐ改善!実は副腎を傷めているNG習慣を見直そう!】
11.【まとめ②:今日からはじめる副腎ケアに効く14の習慣】
1.【副腎の目的】
副腎の目的とは、体がストレスに対処し、生き延びるのを助けることです。事実、副腎は「ストレスの腺」として知られています。ケガや病気、仕事や対人関係の問題に至るまで、ありとあらゆるストレス源に体が対処できるようにするのが、副腎の仕事です。回復力、エネルギー、耐久力、そしてまさに生命そのものが、副腎の正常な機能にかかっています。
しかし、副腎ホルモンが健康や身体機能に与える影響は、もっと多様で、甚大で、広範です。副腎から分泌されるホルモンは、体内の主要な生理的過程の全てに影響を与えています。炭水化物と脂肪の利用、脂肪とタンパク質のエネルギー変換、貯蔵された脂肪の分布(特に、ウェスト周りと顔の両側)、正常な血糖調節、適切な心臓血管と消化管の機能に緊密に影響します。副腎から分泌される抗炎症性および抗酸化ホルモンの保護作用は、アルコールや薬物、食物・環境アレルゲンに対する反応を最小限に抑えるのにも役立ちます。
さらに副腎は、病気の発症リスクや慢性化などに影響を及ぼします。病気が慢性的であるほど、副腎反応はより重要です。どれだけ健康に暮らせるかどうかは、副腎がどれだけよく機能するかどうかに大いに左右されます。
2.【副腎機能低下とは】
正常に機能している副腎は、微小だが正確でバランスの保たれた分量の「ステロイドホルモン」(*1)を分泌します。しかし、体内の身体的、精神的、心理的環境の変化に大変敏感にできているため、常にこのバランスは変化します。つまり、身体的、精神的、心理的環境の【ストレス】が多すぎれば、副腎を消耗(疲労)させ、結果としてステロイドホルモン、特に“コルチゾール”の放出が減少することになります。この副腎機能低下状態は、副腎疲労の結果として起こりますが、機能低下の症状は「最悪状態」から「ほぼ正常」まで様々です。
(*1)ステロイドホルモンとは、ステロイド骨格と呼ばれる化学構造を持つホル
モンの総称。ステロイドホルモンは、作用によって、性ホルモン、糖質コ
ルチコイド、鉱質コルチコイドなどに分類されます。代表的なものには、
それぞれ、アンドロゲン、コルチゾール、アンドステロンがあります。
3.【副腎疲労症候群(アドレナル・ファティーグ)とは】
副腎機能低下状態を表した「副腎疲労症候群」は、種々の兆候や症状が集まったものです。なかでも「疲労」は際立った症状ですが、非常にありふれた病状であるために、患者が疲労を訴えた場合、医師が他の数多くの疾患から鑑別し、副腎に関連した診断を下すことは非常に困難です。
現代社会では患者が明らかに副腎疲労症候群の典型的な症状を示していても、軽症な副腎機能低下は見逃されたり、誤った診断が下されている可能性があります。
また、副腎疲労症候群を患う人々は、周りの人からは気づかれにくく、明らかな身体的兆候はないかもしれませんが、本人は調子が悪く、漠然とした体調不良や「はっきりしない感覚」を抱えて生活しています。コーヒーやコーラを飲んだり、他の刺激剤を使って、力を振り絞っていることが多く認められます。
そして、深刻な副腎疲労症候群になると、副腎の活動が非常に弱まっている為、ベッドから起き上がることが困難になり、副腎機能が弱まるたびに、体内のすべての器官や臓器が甚大な影響を受けます。炭水化物・たんぱく質・脂肪の代謝、水分や電解質の平衡、心臓と循環器系、そして性欲にさえ変化が起こります。生化学や細胞レベルでも他の多くの変化が生じます。
しかし、副腎は膵臓と同じく、異変があっても俎上に上りにくい「無言の臓器」で、それが災いしてか、臨床の上でも最近まで気づかれることなく、日本の医学界においても放置されているに等しい状況でした。
4.【副腎疲労に関わる疾患】
うつ症状、疲労感、睡眠障害、アレルギー性疾患関連(鼻炎、花粉症、気管支喘息)、自己免疫疾患関連(橋本病、パセドウ病、関節リウマチ)、性ホルモンバランス系の症状関連(性欲低下、更年期障害の重症化)、生活習慣病関連(糖尿病や高血圧)など多岐にわたります。
◆悪化するにつれて、
頻発する呼吸器感染、アレルギー、鼻炎、喘息、風邪などの表面上関連のないようにみえる疾患や、線維筋痛症、慢性疲労症候群、低血糖症、糖尿病、自己免疫疾患、アルコール依存症などを招きます。
◆副腎機能低下要因の特に際立つ疾患として、
慢性疲労症候群、繊維筋痛、アルコール依存症、虚血性疾患、低血糖症、関節リウマチ、慢性及び再発性の呼吸器感染症はすべて、たいてい副腎機能の弱まりが関係しています。
◆副腎機能不全の臨床症状に関する第一人者である、ジョン・ティンテラ医師の
言葉を紹介すると、
「低血糖症を伴う中度から重度の副腎皮質機能低下症を患っている人は人口の約16%であると述べたが、実際には、関節症、喘息、花粉症、アルコール依存症、その他関連する病気を全て含めるなら、その数値は67%と解釈すべきである」
5.【疾患・症状・徴候に関するピックアップ情報】
◆低血糖症
副腎疲労を患う人は、低血糖症を伴うことが多い。
副腎が疲労すると、コルチゾール濃度は正常値以下まで下降します。このため、体が正常な血糖値を保つのが難しくなります。結果として、副腎疲労を患う人々は、血糖値も低い傾向があります。もし副腎疲労を患っていれば、食事時間は、食事内容と同じくらい重要です。低血糖はそれ自体がストレスの多い状態なので、さらに副腎を疲弊させます。
従って、規則正しい間隔で、自然で良質な食物を摂ることにより、血糖値が低くなりすぎるのを避ける必要があります。
そして機能性低血糖症を持つ人は、たいてい副腎機能が低下しています。
◆精神的症状の悪化
副腎疲労のある人は、恐怖や不安、うつ状態が強まる傾向にあります。そして、混乱したり、集中できなくなったり、記憶力が冴えなくなったりします。正常な時よりも忍耐力がなくなり、イライラしやすくなります。副腎が適量のホルモンを分泌していないときには、不眠症も引き起こします(副腎疲労の時には腸から上手にタンパク質を吸収できないため、タンパク質からつくられるセロトニンも当然不足している状態、つまり、不眠症になりやすい)。
◆アレルギー
自己免疫疾患では、その発症や悪化の原因は、副腎疲労によるものを疑わなければいけません。
副腎は食物アレルギーや過敏症も含め、すべてのアレルギーにおいて、非常に重要な意味を持っていますが、副腎機能が向上するにつれ、アレルギーが起こりにくくなり、もっと多くのものを食べられるようになります。しかし、過敏症やアレルギーが確定できる食品、またそれが疑われる食品は、完全に排除するべきです。
*隠れた食物アレルギーを追跡するための「コカ脈拍検査」。誰もが簡単に覚える
ことができる単純な検査であり、食物アレルギーが起こると副腎が反応し、結果
として“心拍数が上昇する”という事実に基づいています。そのため、食前およ
び食後15分と30分に脈を測れば、たった今食べた物にアレルゲンが存在する
かどうか、ほぼ瞬時にフィードバックを得ることができまる。食事をするごと
に、あるいは何かを食べたり飲んだりするごとに、日付と時間、食前の脈拍数、
摂取した飲食物、食後15分および30分の脈拍数を記録しましょう。
これは隠れた食物や飲み物へのアレルギーを明らかにするのに優れた方法です。
ただし、いくつかの欠点があります。中度から重度の副腎疲労を患っている場合
は、副腎は食物アレルギーに反応できないほど疲労しているためアレルギーや過
敏症のある食品を取った後に脈拍数が増加しない可能性があります。副腎疲労の
せいで脈拍に変化がないにも関わらず、食後に症状が悪化するかもしれません。
この場合は、脈拍数よりも症状を信用すべきです。副腎の健康が向上するにつ
れ、疑いを持った食物によって最終的には脈拍上昇が起こることを見出すでしょ
う。
◆甲状腺機能低下の症状
半世紀以上も前から、副腎疲労を患う人の約80%が、甲状腺機能低下の症状をあわせ持つことが知られてきました。その場合は、完全な回復のために、副腎と甲状腺を同時に強化する必要があります。
*甲状腺はストレスの影響に敏感な、もう一つの内分泌腺です。
6.【何が原因なのか?】
副腎疲労は、「ストレス」が原因となって起こります。ストレスには軽症なものから重度なものまであり、ストレスの種類には、身体的なもの、情緒的なもの、心理的なもの、環境に由来するもの、感染性のもの、あるいはこれらが組み合わさったものがあります。ストレス源が何であれ、副腎は「すべての」種類のストレスに反応します(ストレスによるコルチゾールの過剰分泌が副腎疲労を引き起こします)。
人生における最悪のストレスは、最愛の人に死、交通事故、深刻な病気など、突然起こります。しかしほとんどのストレスは、日常の生活の中に潜んでいます。例えば、激しい運動、愛する人との口論、職場でのプレッシャー、人間関係の不満、歯痛、インフルエンザ、環境有害物質、栄養不足などがあります。小さなストレスでも、積み重なり、慢性化することにより、副腎疲労は起こります。
簡単に言えば、ストレスの量が許容量を超え、体が(副腎の仲介で)そのストレス、あるいはストレス全般に適応できなくなった場合に「副腎疲労」が起こります。
ところで、ぜひ覚えておいてほしいのは、“全てのストレスは蓄積する”ということです。つまり、自分がストレスとして認識するかどうかに関わらず、ストレスの数、それぞれのストレスの強さ、ストレスが起こる頻度、ストレスが存在する時間の長さがすべて組み合わされて、ストレス負荷の合計となります。私たちの体がこれらのストレスに対し、適切な対応ができないとき、副腎疲労が始まります。身体の対応能力以上のストレスがかかると、更に悪くなります。ストレス負荷の許容量は人によって異なり、また同じ人でも時間や出来事によって変化します。
*よく見逃されるストレスと副腎疲労の原因の一つは、“慢性的、あるいは重症の
感染症”です。副腎疲労は、気管支炎や肺炎、副鼻腔炎、他の呼吸器感染の発作
によって、急に引き起こされることが多々あります。その逆もまた真で、副腎機
能が弱い人は、呼吸器の病気にかかりやすい傾向にあります。感染がより重症だ
ったり、頻繁に起こったり、長引いたりすると、副腎への負担が増します。つま
り、副腎疲労は、ひどい感染症がきっかけで急に発症する場合もあれば、副腎が
徐々に疲弊することで時間をかけて発症する場合もあります。
*下手な歯科治療も、副腎機能低下の原因になる可能性があります。
*手術がきっかけで副腎疲労になってしまう方は、少なくありません。その原因
は、「抗生剤」です。日本の病院では、どんな手術であっても、かなり厳重に抗
生剤を使います。抗生剤は腸で反応して、いわゆる善玉菌を殺してしまい、悪玉
菌が住みやすい環境を作り出してしまいます。その後にきちんと腸のマネジメン
トをしないと、当然悪玉菌が増殖してしまいますので、腸の粘膜は炎症を起こ
し、大量のコルチゾールが使われてしまいます。
*わずか2,3日のコルチコステロイドの薬物療法の後でさえ、副腎機能が正常に
戻るまでに数日から数週間かかります。
長期にわたって服用した場合は、副腎が回復し自分でコルチゾールを製造するま
でには、数ヶ月から2年間必要になる可能性があります。完全に回復しない場合
もあります。これが、一旦、コルチコステロイド薬の投薬をしばらく受けると、
やめるのが難しい理由です。コルチコステロイドの摂取をやめれば、副腎の活動
が抑制されてしまっているため、体調が急降下し、症状が以前よりも悪い状態に
逆戻りするという、どうしようもないジレンマ状態に陥ります。だから、摂取を
続けることになりますが、長く摂取すればするほど、副腎が適切な機能を取り戻
すのはより難しくなります。
7.【副腎ケア】
ストレスを“心”の問題として、誤って認識してしまうと、「ゆっくり休めば治る」という結論になってしまいます。しかし、ストレスの問題は【副腎の対応力が問われる、“肉体的なもの”】です。この点を正しく理解することで、「副腎ケア」というわかりやすい目標ができて、ポジディブにもなれます。
具体的なケアのポイントは、以下通り。
腸⇒肝臓⇒内分泌器(副腎など)⇒ミトコンドリア⇒脳
腸にはじまり、脳に終わる!というこの5つのステップで取り組みます。
まず「腸」ですが、副腎疲労の患者さんは、ほとんどの方が腸にトラブルを抱えているので、副腎ケアは「腸の炎症を抑える」ことからはじまります(次の項目をご覧ください。その他は省略)。
8.【副腎疲労は腸から治す】
人間には免疫機能がありますから、好ましくないカビや細菌を見つけると、やっつけようとするわけです。やっつけようとして、免疫系の大群が腸に集中してやってきて、好ましくないカビや細菌などをどんどん攻撃します。このときの攻撃によって、腸の壁にある粘膜も一緒に壊されてしまうというのが、“腸の炎症”の正体で、この炎症こそがコルチゾールを浪費させる大泥棒なのです。
ところで、腸内環境の話になると、すぐに大腸のお話になりがちですが、私たちは副腎疲労を起こさせないためには、大腸よりも、まず【小腸】をきちんとケアすることが大事だと考えています。
以下要点羅列。
~~~まずは小腸で吸収できる状態にすることが必要~~~
◆最近、食事をすると胃ではなくて、腸が膨らんでしまい、お腹がポッコリ突き出
てしまう方がとても増えているのですが、これは小腸での吸収が悪いせいです。
小腸で栄養を吸収しきれず、まだ栄養たっぷりのものが大腸に運ばれてしまい、
それを大腸に住む菌たちが喜んで食べることで、ガスが発生してしまうからなの
です。その結果、大腸の菌は(悪玉菌)、さらに増殖することになります(な
ぜ、食べてすぐ下腹が膨れてしまうかというと、後述するSIBOによって小腸が
菌だらけになっている場合、胃から食べ物がポトリと落ちると、菌たちが大喜
びしてそれを食べ始めて、メタンガスを発生させてしまうからなのです。こう
なると、お腹がガスで張ってしまい、とにかく苦しい状態で、食事をする度に
その苦しみを味わうことになります。そんな自覚症状がある方は、SIBOと副腎
疲労を併せ持っている可能性も少なくありませんので、注意してください)。
◆お腹の調子が悪いと、すぐに「ヨーグルトで乳酸菌を摂ろう!」とか「食物繊維
たっぷりの食事をしよう!」という話になってしまいますが、先のお腹ポッコリ
の人がヨーグルトや食物繊維を食べると、逆効果になりがちです(大腸の菌が増
殖してしまっているところに、更に新しい菌を追加してしまうので菌が増えすぎ
て、逆に調子が悪くなる人が結構いらっしゃいます。食物繊維は詰まってしまう
原因となり、やはりお腹が張って、気持ち悪くなる人が少なくありません)。
◆たとえ腸にとっていい菌や栄養素であっても、単にそれを摂るのではなく、まず
腸の炎症(後述)をなくしてから摂らなければ、解決策にはなりません。「とり
あえず乳酸菌」ではなく、腸の吸収状態はどうか、消化液は出ているか、消化液
が出るようなライフスタイルか・・・とチェックするのが治療の第一歩となり、
炎症を抑え、さらなる炎症を起こさないために大切なことです。
*小腸の免疫のバロメーターは、大腸の細菌叢(フローラ)で分かります。
大腸に善玉菌が多くあれば、小腸免疫が正常に働いていることを意味します。
大腸を善玉菌優位にする為には、三大栄養素の摂取法がポイントとなります。
三大栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂質です。人間はこれらを食物で摂るわ
けですが、この3つの栄養素が腸内でどのように分解され、養分を摂取されるか
が重要です。この三大栄養素を摂ると、次の4つの現象が腸の中で起きます。
○発酵(発酵が腸で起った時→健康に向かいます)
○腐敗(腐敗と異常発酵と酸敗が腸で起った時→病気に向かいます)
○異常発酵(炭水化物の消化不良が起こった時→病気に向かいます)
○酸敗(脂質の腐敗が腸で起こった時→病気に向かいます)
少し解説を加えます。
発酵とは、善玉菌が炭水化物を分解して生じる現象のことです。質のよい炭水化
物を適量に食べている時、善玉菌がこれを分解します。そして、人を健康に向か
わせます。
発酵した結果起こる現象の特徴は、便が臭くなく、便がしっかりした形で、便の
量も増えます。オナラも臭くないけれど、よく出ます。
ただし、それを食べ過ぎると「異常発酵」(発酵+腐敗)が生じます。異常発酵
の時のオナラは一般的に音はしますが同時に臭い(いわゆる“腐敗の音無し”
とはそこが違います)。
腐敗は、炭水化物などを分解する現象は同じでも、発酵では善玉菌が働くのに対
して、悪玉菌(腐敗菌)が優位に働くと腐敗になります。
全ての有機物は酸化していつか必ず腐敗しますが、特に酸化しやすいのはタンパ
ク質です。とりわけ動物性タンパク質は腐敗しやすいものです。
参考までに、タンパク質が腐敗した結果起こる現象は、
○便が臭い(腐敗がひどいほど臭い)
○便の形が悪い、便がつながらない
○便の量が少ない
○オナラが臭い(腐敗がひどいほど臭い)
○オナラは臭くてかつ音がしないことが多い
酸敗は、脂肪の酸化のことです。次の三つの現象が生じます。
〇腐敗菌が繁殖する
〇窒素残留物が生じる(タンパク質からも生じる)
〇二次胆汁酸が生じる
酸敗は大腸ガンのみならず、吸収した毒素が全身に及んで、痛み、コリの症状、
生活習慣病、難病、ガンに波及します。
~その為には「リーキー・ガット症候群」(腸漏れ症候群)の予防・改善が必要~
◆最近健康な人でも小腸に少しの菌がいることがわかってきました(カンジタ菌な
ど)。この「カンジタ菌」は、大腸にもいるのですが、小腸にも少しだけ住んで
いるようです。しかし、副腎疲労の患者さんの80~90%の人は、小腸の中で
これが増殖しています。特に女性の患者さんは、ほぼ100%の人が該当します。
◆アメリカでは、スイーツ好き女性に対して「君はカンジタを飼っているね」なん
ていうことがあるぐらい、有名になっている菌です。カンジタがお腹にたくさん
いる人ほど「甘いもの」や「炭水化物」を欲しがる傾向があるのは事実です。そ
の理由は、カンジタは糖質を餌にすることで、活発化し増殖するからです(カン
ジタにとってグルテンは最高の餌)。
◆このカンジタが引き起こす重大な疾患が、腸漏れ症候群と呼ばれる「リーキー・
ガット症候群」です。リーキー・ガット症候群は、腸の粘膜が傷つき、腸管壁に
穴があいて、そこから腸内の細菌や毒素、未消化の食べ物などが漏れ出す症状で
す(穴をあけてしまう要因は、他に様々なストレス、痛み止め等の薬、毒素、加
工食品の添加物などがあります)。
◆副腎から放出されるコルチゾールは、腸粘膜、腸管壁が傷つけられる炎症を抑え
ることにも使われますし、腸内から漏れ出たものを免疫機能が攻撃する際にも使
われますので、リーキー・ガットになると、大量のコルチゾールが四六時中使わ
れることになり、副腎がとても疲労してしまいます。
◆リーキーガットによる諸症状は大変多くて、関節炎、ぜんそく、湿疹や皮膚炎な
ど皮膚の病気、食べ物へのアレルギー性疾患、子供の発達障害、記銘力障害(新
しく経験したことが覚えられない)など枚挙にいとまがなく、より掘り下げてい
けば、様々な病気に結び付いています。また、副腎疲労が起こす症状とも重なる
部分が大きいということも、覚えておいてください。
◆リーキーガットを予防、改善するために、具体的にどうすればよいかというと、
まずカンジタの餌になる「糖分」や「炭水化物」をなるべく摂らないようにし
て、いわゆる兵糧攻めにすることが第一です。もちろん、それと並行して炎症の
原因となる、様々な「ストレス源」も遠ざける必要があります。腸の粘膜を修復
する「オメガ3」と呼ばれる油を摂取することなども有効といえます。
~~~合わせて「SIBO」( 小腸内細菌増殖症)の予防・改善も必要~~~
◆リーキーガットの仮説がほぼ現実のものと立証されるつつある中で、どうも小腸
にも少しは菌がいるらしい、というお話がされるようになりました。この流れの
中で、10年程前からアメリカでSIBOという症状が、本格的に研究されるよう
になりました。
◆SIBOとは「Small Intestinal Bacterial Overgrowth」の略で、“小腸内細菌増
殖症”という症状です。文字通り、小腸にいる菌が増殖して起こる病気です。
◆まず、小腸の中にも大腸菌やカンピロバクター、クレブシエラ菌などが住んでい
て、それらの菌が喜ぶような生活習慣、つまり細菌の餌となる糖質や炭水化物を
頻繁に摂っていると、これらの菌が増殖して、小腸の粘膜を傷つけてしまいま
す。さらに、粘膜だけでなく、小腸の管を蠕動運動させている細胞も一緒に傷つ
けられてしまうのです。この細胞たちが傷ついてしまうと、腸の蠕動運動がうま
くできなくなってしまいますので、中を通る食べ物をスムーズに先に送ることが
できません。また、腸の粘膜も傷ついているので、栄養の吸収も上手にできなく
なってしまいます。
◆もともと小腸と大腸の間には、バルブのようなものがあって、大腸の菌たちが小
腸に入ってこないようになっているのですが、あまりの増殖で抑えが効かず、小
腸に菌が入り込んで、菌だらけになってしまうのが、SIBOなのです。
◆このSIBOになると、小腸の粘膜は炎症がひどい状態になりますので、やはりコ
ルチゾールが大量に消費されることになり、副腎を消耗させてしまいます。症状
としては、お腹が張るとか、痛みが起こりやすくなり、チクチクして、便秘や下
痢を引き起こします。また最近よく耳にする逆流性食道炎の人の多くも、実は
SIBOであることが分かっているので、胸がムカムカする等も症状の一つといえ
るでしょう。またごぼうや海藻など食物繊維が豊富なもの、もしくは体にいいは
ずのオリゴ糖や乳酸菌を摂ると、かえってお腹が張って苦しいという方もSIBO
の可能性ありです。
◆リーキーガットと共に、SIBOは副腎の天敵的な症状であり、実際に副腎疲労を
患っている患者さんの大部分が、リーキーガットかSIBO、もしくはその両方を
患っているのは事実です。そして、この二つの症状がもたらす副腎へのダメー
ジは大変大きいので、副腎ケアは、「腸の炎症を抑える」ことから始まるとお
伝えしているわけです。
~~~太りやすい・やせにくい体質の方も要注意~~~
◆太りやすい体質の方も要注意です。なぜ太りやすいのか、そのメカニズムがわか
れば、なぜ注意が必要かご理解頂けると思います。みなさんご存知の3大栄養
素、タンパク質、脂質、炭水化物のうち腸での吸収が一番難しいのは、「タンパ
ク質」。つまり、腸にトラブルを抱えていると、それだけでタンパク質の吸収力
は低下してしまいます。残りの二つ、脂質と炭水化物は簡単に吸収されますか
ら、体調が悪い人、腸にトラブルがある人は、タンパク質を逃して、脂質と炭水
化物だけを吸収してしまう為、すぐにお腹周りが太くなってしまうのです。つま
り、「太りやすい」ということだけで、腸にトラブルを抱えている可能性は大き
いと考えて差し支えありません(タンパク質の吸収が悪いということは、色々な
不調を起こす原因となります。タンパク質はアミノ酸に分解されて、腸から吸収
されるのですが、幸せホルモンのセロトニンは、アミノ酸からつくられます。
このセロトニンが不足すると、うつ症状も出るようになります)。
◆「摂取カロリーを減らしているのに、全然やせない・・・」という女性は、大勢
いらっしゃると思いますが、このような方も腸のトラブル、副腎疲労を疑ってか
かったほうがいいでしょう。例えば、一日1000kcalしか摂っていないのに、
全く痩せない人の体で何が起こっているのかといえば、それはコルチゾールの過
剰分泌が間違いなく起こっています。副腎疲労の人は、とても血糖値が下がりや
すいのですが、血糖値が下がるたびにコルチゾールがビュッと出てそれを上げま
す。でも、またすぐに下がって、さらにコルチゾールが・・・というアップダウ
ンを繰り返しています。このとき、体は究極の生命危機である「飢餓状態」を想
定した、対応の準備に入ってしまいます。ためられるだけ脂肪を蓄えて、「食べ
なくても平気ですよ!」という状況に、体をシフトチェンジしているのです。し
かし、当然副腎には多大な負担がかかりますので、副腎疲労はどんどん進行しま
す。
◆太りやすい体質もダイエットでやせない体も、まずは腸の状態を見直して、その
改善から始めることが大切です。
~~~便秘・下痢・胃炎も副腎疲労の引き金になる~~~
◆便秘と下痢、それに胃炎との副腎疲労の関係性については、「鶏が先か、卵が先
か」という感じで、どちらが原因でどちらが結果なのかは、定かではありませ
ん。しかし、それはどちらもあり得るという意味で、便秘・下痢・胃炎が副腎疲
労の引き金になる可能性はあるといってよいでしょう。
◆胃炎と副腎疲労の関係については、薬の問題も考えられます。例えば、胃炎の時
に胃薬を飲むことで、ビタミンBの吸収が悪くなり、様々な粘膜に障害が出るこ
とがあります。その結果、目の粘膜への影響でドライアイになったり、唾液が出
にくくなったりします。更に腸の粘膜も傷つくことで、副腎疲労の原因にもなる
のです。それとは逆のルートで、副腎疲労でコルチゾールが出にくくなる結果、
傷ついた腸の粘膜を十分に修復できず、それが胃炎に拡大することもあります。
9.【その他】
◆性ホルモンの繊細なバランスの大部分は副腎によって遂行されるため、副腎疲労
の悪化は、「月経前症候群」(PMS)の悪化につながります。だから、チョコレ
ートは体が欲しているマグネシウムを含んではいても、PMSを悪化させることに
なります(チョコレートにはカフェインやカフェインに似た物質であるデオブロ
ミンも多く含まれており、副腎が過剰に刺激され、副腎疲労はさらに悪化しま
す)。なお、PMSの人には副腎疲労がある場合が多いので、その先にあるガンに
注意するためにも、ただ我慢するのではなく、きちんと問題点をクリアしましょ
う。
◆コーヒー、紅茶、チョコレートには、「カフェイン」だけでなく「デオブロミ
ン」と呼ばれるカフェインに似た物質が含まれ、副腎機能を妨げます。だから、
カフェイン抜きのコーヒーや紅茶でさえ、副腎疲労を患う人には薦められませ
ん。
◆コーヒーを避けるべきもう一つの理由は、コーヒー豆を焙煎し挽いた後、コー
ヒーに含まれる油がずっと早く酸化を起こし、この酸化した油それ自体が有害だ
からです。飲食物に含まれる酸化した油に過敏症があっても、自分では気づいて
いない人もいます。コーヒーは、細胞内の酸化を著しく増加させます。簡単に言
えば老化が早まるのです。このようにコーヒーは副腎や新陳代謝に有害な作用を
及ぼすため、日々の生活から完全に排除するのが理に叶っています。
◆ホルモン治療には、第一に副腎、その次に甲状腺、性ホルモンの順に治療すべ
きという優先順位があります(甲状腺や性ホルモンだけを治療しても、その土台
である副腎が不安定なままでは、「地盤がゆるんで建物が揺れる、壊れる」よう
な状態になってしまう)。
◆アメリカでSIBOの研究が進められてみると、実は過敏性腸症候群の約60%は
SIBOではないか、といわれるようになりました。
◆特定の副腎ホルモン(コルチゾール)濃度を明らかにする最良の方法は、一日に
数回コルチゾール濃度を測定する唾液テストを用いることです。正確で信頼性の
ある唾液検査を行っている検査室と、この検査に精通している医師のリストは、
こちらに掲載されています。
10.【まとめ①:今すぐ改善!実は副腎を傷めているNG習慣を見直そう!】
■実は副腎を傷めているNG習慣
1)忙しい時にお腹が空いたらパンを食べる
2)パスタとコーヒーがランチの定番
3)三度の食事に白いご飯は欠かさない
4)毎日ヨーグルトと牛乳を欠かさない
5)太りたくないので油は極力摂らない
6)魚は食べない or 大きな魚ばかりで小魚を食べない
7)菜食主義などを実践して、肉、魚は食べないようにしている
8)ファーストフードやコンビニの惣菜、カット野菜をよく食べる
9)ドライフルーツをよく食べる
10)極力減塩を心掛けている
11)晩酌は欠かせない。特にビールが好き
12)日常的に胃腸薬や痛み止めを服用している
13)化学物質入りの消臭・芳香剤、合成洗剤、シャンプー、歯磨き粉 or ドラ
イクリーニングをよく利用する
14)几帳面でまじめな性格である
15)精神的な緊張が続き、体も酷使する or シフト制の職種である
■カフェインは副腎を刺激して、コルチゾールの分泌を促します。
■減塩は、高血圧の人には必要なことといえますが、副腎疲労の人であれば、む
しろNGな場合が多いといえます。
■副腎疲労の結果、高血圧になる方もいらっしゃいますが、どちらかというと少
数派で、副腎疲労の患者さんは、むしろ低血圧気味の人の方が多いので、全体
的にいえば、塩分はある程度積極的に摂るべきと言えます(積極的に摂取しな
いと、ナトリウム不足に陥りがちなのです)。
■副腎疲労の患者さんには、特に塩分が必要となる季節があるのです。それはだ
いたい5~6月ごろで、冬の体から夏の体へと体質が移行するシーズンで、副腎
疲労の人は、特に塩分をうまく吸収することができません。
11.【まとめ②:今日からはじめる副腎ケアに効く14の習慣】
■副腎ケアに効く14の習慣
1)1日3食習慣で、タンパク質を少しずつ、ゆっくり吸収しよう
2)空腹を感じたら、血糖値が上がりにくい食べ物で、間食しよう
3)カラフルな食事で、ファイトケミカルを豊富に摂ろう
4)ナトリウム食材とカリウム食材のバランス感覚を身につけよう
5)油はオメガ3系・オリーブオイル・ココナッツオイルにしよう
6)乳酸菌は乳製品ではなく、発酵食品から摂ろう
7)炭水化物は玄米ご飯 or 十割そばを少なめに
8)水分補給は1日1.5~2リットルを目安に
9)ビタミンB群をよく摂って、副腎をサポートしよう
10)血と骨のもとになる葉酸とカルシウムを摂ろう
11)副腎の特効薬はマグネシウム食材
12)亜鉛食材を摂って、新陳代謝UP&デトックス
13)お腹空っぽ睡眠を心掛けよう
14)1~13の副腎ケア習慣を60%達成で無理なく続けよう
■副腎疲労の患者さんの多くは、体がビタミンB群不足に陥っています。なぜか
というと、副腎が、脳で感じたストレスに対抗するコルチゾールなどのホルモ
ンを生産するときに、このビタミンB群を使うからです。
■副腎をケアするためには、夕食をなるべく早めに済ませて、できる限り空腹に
近い状態で就寝することが大切です。その目的は、睡眠中に胃腸に負担をかけ
ず、コルチゾールの分泌を抑えることで、副腎をしっかり休ませることにあり
ます。副腎疲労の特効薬は、何よりもよく寝ることだからです(もし可能な
ら、朝8時半~9時まで寝ているのも援護となります。副腎疲労に苦しむ人々
にとって、午前7時~9時の間の睡眠には不思議な回復力があります)。
(参考サイト)
・日本で副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)の診断治療ができる医療機関
・簡単チェックリスト
・自己診断テスト
(参考書籍)
・医者も知らないアドレナル・ファティーグ(ジェームズ・L・ウィルソン著)
2011年
・自分で治す!副腎疲労」(本間良子・龍介著)2015年