田中整体療院

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B.不眠症を解消させる方法   

“日照不足”が原因の不眠症(2012.03.04.)

  

不眠症の方が時々来院されますが、ほとんどの方に“眠れるようになった”と言って頂いています。しかし、つい最近、持っている技術を全て駆使しても全く変化しない方がいらっしゃいました。

そこで不眠症について、今一度勉強し直しました、その時に得た情報も含めて以下にまとめます。   

  

まず不眠症とは、病気でなく、発熱や吐き気、肩こりや腰痛などと同じ、「身体症状」のひとつ。何らかの原因があって、その症状が出ています。
ですから、もし「眠れない」「熟睡できない」と感じたら、まず、そのきっかけとなった出来事や思いあたる原因がなかったか、またその時同時に起こり始めた他の症状がないか考えてみる必要があります。

例えば、
◆日中の活動量の変化
◆睡眠環境/姿勢の変化(音、照明、温度、寝具、電磁波など)
◆悩みなど心の問題
◆アルコール、カフェイン、ニコチンの摂取量の変化
などいろいろあります。

これまで当院に来られた不眠症の方々の原因は、
枕が合っていない、心の問題、自律神経バランスの崩れのいずれかがほとんどで、標準的な施術で対処してきました。

しかし、今回は、何をやってもどうにもなりませんでした
(本当に困り果ててしまいました)。

そこで患者さんにもう一度いろいろお話を伺ってみたところ、
●病気がちで部屋にこもりがち(ほとんど屋外に出ない)。
●二晩つづけて一睡もできなくても、日中含めてあくび一つ出ない。
但し、二日目の夕方吐き気がしてくる。
●以前朝の散歩をしていた時だけ、不眠症がなくなった。
但し、曇りの日の晩は眠れなかったとのこと。

以上のお話しから、朝日不足でセロトニン神経のスイッチが入らず、睡眠物質メラトニンの原料となるセロトニンが慢性的に不足している。その為、寝床についてもメラトニンがほとんど分泌されず、二晩眠れなくてもあくび一つ出なかったのではと推定(補足1にこの意味の詳細を記載)。

そこで、高照度光線療法を実施してもらいました(当院では情報だけを提供。患者さん自身で照明器を購入され、自宅で実施されました。照明器の情報は、補足2参照)。

すると、一晩目、21時前には、目が真っ赤に充血して眠くてしょうがなくなった。だけど、床につくと眠くなくなる。
二日目は、同じく21時頃に眠くなり、そのまま眠れた。以降ずっとOK(解決)。

ということで、答えは意外と簡単な所にあり、単なる日照不足(正確には、朝日不足)で、当院の施術でどうこうできるタイプの不眠症ではありませんでした(太陽には勝てないです)。

なお、この原因の場合、照明器を使うまでもなく、朝日を浴びながらの散歩でOKです。あるいは、日の出が早い季節の最も簡便な方法は、寝室に朝日を取り込めるようにすればよいだけです。つまり、眠る時に薄手のレースカーテンだけひき、光を遮断する厚手のカーテンは開いたままにしておくだけで効果があります。   

  

(補足1)   
セロトニン、メラトニン、いずれも脳内物質です。

“セロトニン”は、朝起きて太陽の光を浴びることで、セロトニン神経のスイッチが入り、よく分泌されるようになります(太陽の光は、同時に体内時計を調整して、自律神経を整える役割もある)。また、活発に動いている時にもよく分泌されます(特にリズム運動が効果的)。

“メラトニン”は、「さあ寝よう」と電気を消してから、あるいは目を閉じてから、分泌されはじめます。賢いメラトニンは、光の信号があるうちは「まだ寝ないのね?」と認識して、作ったメラトニンを分泌せずに待機しています。目からの光の情報が完全に遮断されると、いよいよ脳がつくる自前の睡眠薬、メラトニンの出番。ようやく分泌がはじまって、私たちを眠りに誘います。

ここで、不眠の原因ついて、このセロトニン、メラトニンに着目して記述すると、
セロトニンの分泌不足
(原因は、朝日・日照の不足、ストレスなど。なお、セロトニンの原料、トリプ
トファン不足が起こることはほとんどありません)
メラトニンの合成量不足
(上記セロトニン分泌不足に起因した、原料となるセロトニンの不足が原因)
メラトニンは合成されているが分泌が不足している
(原因は、生活習慣、睡眠環境、カフェイン、ニコチン、アルコールなど)
が挙げられます。

これらの原因から不眠を解消するには、どうすればよいのでしょうか?

もう答えは出ていると思いますが、まず、自前の睡眠薬、メラトニンの原料となるセロトニン不足を解消しなければなりません。
そのためには、朝日を浴びることです。浴びるといっても、長時間浴びる必要はありません。20~30分で十分です。わざわざ外に出て全身で日光浴する必要もなく、カーテンを開けて、太陽の光を室内に取り込むだけでもOKです(太陽は直接見ないこと)。
もちろん、太陽の光を浴びた方がいいのは、朝だけではありません。日中の太陽の光も、セロトニン分泌を促し蓄えるためにとても大切です。
でも、一番重要な時間帯は、やはり「朝」です。
そして、セロトニン分泌不足を解消した上で、メラトニン分泌を阻害している要因を取り除いていく必要があります。

*セロトニンには、脳と体をストレスから守ってくれる働きもあります。セロトニ
ンの分泌が少ない人は、ちょっとしたストレスにも心が悲鳴をあげてしまいま
す。
*セロトニン分泌不足に陥っている人は、5~30分程度、ウォーキング、ジョギン
グ、サイクリング、水泳等のリズム運動を最低3ヶ月、毎日継続するとセロトニ
ン神経が活性化されるとのこと。
*光の明るさの単位はルクスと言いますが、朝の太陽の光は約2000~3000
ルクス。それに比べ、家の照明はせいぜい500ルクス。朝日とは比べ物になりま
せん。
ちなみに、日中の木陰(影の輪郭線から1m内側)は、10,000ルクス、晴れた
日中の直射光は、100,000ルクスもあります。   

  

(補足2)
用いた照明器は、セラピーライト[フィリップス製](アマゾンで購入可)です。
個人使用ならHF3321で十分ですが、HF3332との相違は、タッチスクリーンの有無のほか、調光のレベルが1つ増えたこと、充電バッテリがあること、タイマーが細かく設定可能なことです(消費電力もかなり違います)。

なお、この製品を選択した理由は、以下通りです。

北欧など冬の日照時間が非常に短くなる地域では「冬季うつ病」といって、季節性のうつ病になる人がいます。その原因は、まさに日照不足です。これを予防するために、ヨーロッパ、特に北欧では、家庭用ライトとして、太陽の光に近い照明が売られています。もちろん国内メーカーのものもあるのですが、製品完成度に不安があったため、実績のあると思うフィリップス製(本社;オランダ)を選びました。

*光は、紫外線カットされています。
*光に反応する薬を服用中の場合、お医者さんに相談する必要あり。   

  

(補足3)
お年寄りは、加齢に伴う生理的変化によって体調そのものが交感神経優位に傾きます。そのため眠りが浅く、夜中に度々目が覚めることが多くなっていきます。しかし、その後寝付けなくなってしまうのは、心配事などを抱えているか、日中の活動量が不足している為。従って、朝日を浴びて、日中に積極的に体を動かして、体を適度に疲労させておくことが眠りの質を高める一番の手段です。   
*アーシングしながら寝ると、老若男女問わず、多くの方の睡眠の質が上がります   
(もちろん目覚める回数も減ります)。ご興味ありましたら、こちらなどをご覧   
ください。   

  

[参考書籍]
●「病は寝ている間に治す!」山田朱織著(2008年)
●「脳ストレスに強くなる!セロトニン睡眠法」有田秀穂著(2011年) など

 
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