田中整体療院

トピックス(健康関連)    

  

【当サイト内関連情報】    
B.食いしばり癖があれば、解消させましょう!   
C.原因不明の症状、電磁波の影響ではありませんか?   
C.その不調、口の中に原因が潜んでいませんか ?   
C.人生のスタートから正す必要があるのかも?   
D.あいうべ体操(鼻呼吸)   
  

食いしばりの自己対策情報まとめ(2017.06.14.)

食いしばりは原因不明とされる様々な症状を呈しますが、その原因が口元にあるかどうかは、食いしばり度チェック表(参考書籍⑦のP.17~18)で自己判定可能です。しかし、しゃべっているときに唾が飛び散りやすかったり、食べ物が口からこぼれやすかったり、頬っぺたや唇の裏側を噛んでしまい、その傷がもとで口内炎になったりすることからも推測できます。また、
◇症状の傾向(左側なのか右側なのか)
◇まぶたの開き具合
◇口の中の状態
(口の中が乾く、口臭がある、舌がしびれる、舌痛、口蓋の深さ)
◇鼻の曲がり
◇左右の肩の高さの違い、左右の骨盤の高さの違い
◇参考書籍⑦のP.60にある割り箸を使った自分で咬合平面をチェックする方法
などからも推測可能です。
ところで、スポック博士の育児法が大々的に導入された1980年以降生まれの方は、
口が小さくなる⇒舌が喉の奥に下がる⇒気道を塞ぐ⇒呼吸困難になる・・・
の傾向にある方が多いと思われます。
すでに口呼吸の方、意識していないときに舌が口蓋(=口の中の天井)についていない方は、原因不明の症状を抱える前に、今日から、少なくともあいうべ体操、咀嚼回数を増やすなどに取り組まれることをお薦めします。

【自己対策情報】
育児法の誤り(おしゃぶりを使わずに離乳食を4~5ヶ月から与えて育てること)で小さいころから口呼吸の癖がつき、また軟食化の影響で咀嚼・嚥下力は弱まり、噛み合わせを支えるあごが形態的にも量的にも十分に育たなくなったのが根本的な原因です(あごが発達しないために口そのものが小さく、口の中のボリュームが少ないから舌が喉を圧迫。そのせいで酸素を十分に脳や体内に取り入れることができなくなり、いつでも疲れたような状態になります)。
ですから、まずは鼻呼吸に戻し(あいうべ体操毒だしうがい)、できるだけ硬いものをよく噛むことが不可欠です。参考書籍から根本的な解決につながるような情報をいくつかピックアップしておきます。

◆舌の機能を向上させるガムトレーニング(参考書籍⑥P.146)
このトレーニングは
「舌の機能の確認」
「片側で噛む癖を解消する」
「噛む力をつける」
「舌の動きをよくする」
「舌の筋力をつける」
という5つの効果が期待できます。手順は以下通りです。
①ガムを左右の歯で均等に噛みながら、どちらが噛みにくいか確認します。噛みに
くい方でしばらく噛んでみましょう。このことで、片方で噛む癖を直すと同時に
噛む力がつきます。
②ガムをボールのように、舌の上で小さく丸めます。このことで舌の動きをよくし
ます。
③丸めたガムを舌の中央に乗せて、それを上の顎の中央にギュッと3秒ほど押し付
けて薄く広げます。円形に拡がるのが理想的です。このことで舌の筋力を鍛え
ます。
④ガムを上の顎に押し付けた状態で、唾液を飲み込んでください。正しく飲み込め
たときは、ガムはのどのほうに向かって三角形に流れます。これは飲み込み方の
訓練になります。  
このトレーニングを一日3分間以上行ってください。
舌の力がついてくると、舌を正しい位置に維持するのも楽になります。

◆パタカラで口輪筋を鍛える(参考書籍④)
仰向けに寝たときに舌根が沈下してしまう原因の一つに口輪筋の弱さがあります(二重あごも口輪筋の低下がそのまま反映されたものといって過言ではありません)。
パタカラを装着したら口を閉じ、3分間程度この状態を保ちます(目安は一日3回)。

◆口腔内マニピュレーション(参考書籍②P.202)
口腔前庭(頬と歯の間の深い部分)に指を入れて、ほぐすだけ。これで口内の凝りやねじれがとれると、唾液が非常に出やすくなる、口の開きがよくなる、口の中にゆとりができて舌や頬を動かしやすくなります。
人にやってあげる時は、爪を切り、手をよく洗います。できればソフトタッチのグローブをつけてください。口を開けてもらい、口腔前庭に指を入れて、左右上下それぞれ4か所にわけてゆっくりとマッサージします。このときの注意点は、奥から手前に粘膜を傷つけたりしないよう、くれぐれもそっと行うことです。頬筋を中心に口腔内の緊張を一気にほぐしてあげるあげることができます。

◆タオルで前歯を使うトレーニング(参考書籍⑥のP.142)
柔らかい食べ物ばかりで前歯を使う機会が減り、奥歯ばかりで噛むために下あごがずれます。
タオルを前歯で引きちぎるように強く噛みます。このとき、あまり強い力で引っ張らないように気を付けてください。引っ張って2~3秒たったらパッと離します。離すときも、あまり反動をつけないように注意してください。
このトレーニングを行うときは、必ず口と噛んでいるほうの眼をしっかりと閉じて、顔の全部の筋肉を使う気持ちで行うことが重要です(左の前歯で噛んでいるときは左眼を閉じます)。
タオルを使う場合は大きめのタオルの方がやりやすいと思います。口に入れるので、合成界面活性剤を使っていない石けんで洗ったタオルを使うようにして下さい。
これを一日1回、噛む時間は5秒ほどで5~10回繰り返します。
やっているうちに、首や肩がポカポカと温かくなってくるはずです。たったこれだけで、すっかり肩が凝らなくなったという方もいます。

◆赤ちゃんなら、おしゃぶりを使う、仰向け寝、ハイハイをしっかり
こちらの特に②③⑦をご覧ください。

◆舌回しメソッド(参考書籍②P.131)
舌を頬と歯の間に押し込み、外側にしっかりと押しつつ舌をグルグルと回してください。左右それぞれ、頬がほぐれるまでやります。
口腔全体が一気にゆるみ、舌のねじれもよくとれる、非常に優れたメソッドです。
ベロ回し体操(小出馨・小出晴子著)2014年もご覧ください。

◆全身を緩める
顎の緊張が全身に波及し回復力が低下します。例えば、ジブリッシュで理性を緩めて体を緩める。

◆咀嚼回数を増やす(参考書籍②P.150~)
・噛みごたえのある食材を選ぶ
食材を変えるだけで、自然と噛む回数が増え、唾液の分泌も促進されます。
例えば、食物繊維の多いものを多く摂るとよいでしょう。ごぼう、レンコン、芋などの根菜類、大豆やいんげんなどの豆類、こんにゃく、ごま、ひじきなどは食物繊維が豊富で噛みごたえがあります。
とくに乾燥食品は、噛むためには大変有効な食材です。
・調理法を工夫する
野菜は、一般に煮炊きするよりも生のほうが、魚は、生のまま刺身で食べるよりも加熱した方が、噛む回数が増えるでしょう。肉は、脂身の多い所よりはモモやヒレなどの赤身部分のほうが噛みごたえがあります。
食材は、あえてやや大きめに切るのがコツです。多少食べにくい程度のほうがいいのです。
特に、スープ、シチュー、カレー、麺類といった料理は、あまり噛まずに飲み込みがちなので、具材を大きめにしたり、噛むことが必要な食材(いかや貝、きのこ類、海藻など)をいれたりすると、それだけでも自然と粗食回数が違ってきます。

◆食いしばりをやめるためのセルフケア
こちらをご覧ください。

(参考書籍)
①心身の健康をつくる歯の矯正(各務肇著)1999年
②歯はいのち!(笠茂亨久著)2007年
③お母さんは世界一の名医(西原克成著)2010年
④くちびるを鍛えるだけで健康と美が手に入る
(秋広良昭、深澤範子、鎌田仁著)2010年   
⑤病気知らずの子育て(西原克成著)2012年  
⑥食いしばりをやめれば不調はよくなる!(西村育郎著)2014年
⑦噛み締めの謎を解く!(尾崎勇著)2017年

以下参考書籍⑦の気になったところをピックアップ。
噛み締めが起きているかどうか、噛み合わせに異常はないかの自己診断表(P.17~18)
◆あごの痛みを訴えて診察に来る患者さんは、ほとんど身体に歪みがあって姿勢が崩れています。そして首や肩、腰などに痛みを抱えています。患者さんの姿勢は、いったいいつ、どのようにして崩れてしまうのでしょうか?
その発端は、私は“口元”にあると考えています。
◆口を開けたり閉じたり、話したり、食べ物を飲み込んだりする一連の動きは絶妙なタイミングで調和しています。ちょっとでもずれるとしゃべっているときに唾が飛び散りやすかったり、食べ物が口からこぼれやすかったり、頬っぺたや唇の裏側を噛んでしまい、その傷がもとで口内炎になったりします。そして口周辺と身体の筋肉はつながっているため、患者さんの口元で始まった歪みが、筋肉を伝わって全身に波及していくことが分かってきました。
◆口元に起きた異常が全身に波及する流れ
①口やあごなど口元に異常が起きると、食べ物を飲み込んだり、話をしたり、とく
に呼吸する機能に支障が出る。
②生命の維持に重要な呼吸機能を守るため、司令塔(=頭部)は台車(=首から下
の身体)に、「口とつながっている筋肉に力を入れて引っ張ったり、伸ばしたり
して、呼吸が楽にできるようにしろ!」と命令する。あごや頭部の位置をずらし
ながら、呼吸が楽になる姿勢を見つけると、たとえ頭の位置が身体の重心からず
れていたとしても、その状態をキープするよう命令する。このため口元や首周辺
の筋肉は、常に力が入った状態で固定化する。
③口元や首の筋肉が常に緊張・収縮すると、その筋肉につながっている胸、背中の
筋肉、それにつながっている腰、臀部の筋肉へと緊張が全身に伝わっていく。身
体の筋肉の力が抜けていて、筋肉が緊張と弛緩を繰り返しながら頭が落ちないよ
うにバランスをとる正常な姿勢から、常に筋肉がこわばっている状態に身体が変
化し、身体のゆらぎが失われて姿勢が固定化する。
④筋肉の緊張が常態化した箇所で、コリや痛みが発生する。こうして口元の異常が
全身のコリや痛みなどの不定愁訴につながっていく。
★「口元の異常」とはどのようなものでしょうか?
近年の研究で、私たちのあごの形状が、身体全体の中で最も変化率が大きく、急速に変形していることが報告されています。
食べ物をよく噛むことによって、しっかりとした咀嚼、嚥下機能が育ち、続いて正しい発音機能が習得できます。そして呼吸に支障のない広さの気道が保たれ、健全なあごの発育は成り立ちます。しかし生活が豊かになって軟食化が進んだおかげで、咀嚼・嚥下力は弱まり噛み合わせを支えるあごが、形態的にも量的にも十分に育たなくなりました。
現代受けする口元の小さな“小顔”になった反面、歯や舌はあごと一緒に小さくはなっていません。
そこで起きるのが、あごという器が小さくなったのに、そこに並ぶ歯も、その空間に収まる舌も以前の大きさのままで「器に入りきらなくなった」ということです。
器に並びきれなくなった歯はどうなるのか。生える場所を求めて歯列の外側か内側から顔を出すしかありません。
そして器に収まらなくなった舌はどうなるでしょう?口をあけて舌を犬のように外に垂らす方法がありますが、食べ物と一緒に舌も噛んでしまうし、しゃべることもできません。すると「喉の奥にしまう」しか手立てはありませんが、喉には食べ物を通すほかに、呼吸をする・空気を通すという重要は役割があります。
口が小さくなる⇒舌が喉の奥に下がる⇒気道を塞ぐ⇒呼吸困難になる・・・
これが小顔になった日本人の最も大きな代償です。
★呼吸困難による頭の位置のずれ
①舌がもたらす呼吸困難
下あごが小さいなどの理由で舌が喉の奥に落ち込むと、舌の奥が上方に盛り上がって軟口蓋と呼ばれる弁を押し上げ、鼻の気道を塞ぎます。これが舌によってもたらされる呼吸困難です。
呼吸が困難になったとき、私たちの司令塔は自らの生命を維持するために「最優先で気道確保せよ!」と首から下に命令します。このとき、司令塔の頭部と首からの下の役割はバラバラで、司令塔は首からの下の都合はお構いなしに指令を出します。どのような姿勢になろうとも呼吸がしやすい体勢になるよう首から下の形を変えようとします。
②顔を前に出して気道の確保
人間の気道は喉元で直角に折れ曲がります。この狭くなる部分を広げるためには、顔を上に向けて、折れ曲がっている個所をまっすぐにします。ここで耳石器官が「顔が上を向いている。頭部を水平に保つように!」という反射を働かせます。
気道を確保しながら、頭部の平衡を保つために、首を前に出す筋肉が収縮して、顔を前方に突き出します。こうして頭の位置が体の中心軸からずれていきます。
③鼻がもたらす呼吸困難
もう一つ、鼻が原因で起きる呼吸困難があります。アレルギー性鼻炎などによって鼻が詰まり鼻呼吸ができない人は、口蓋に張り付いた舌を剥がして、いつも口を開けた状態で口呼吸せざるを得ません。
④口を開けて気道確保
首の前側の筋肉が収縮して常に口が開いた状態にしますが、頭部も筋肉に引っ張られて、顔が下を向きます。
ここでまた耳石器官から「顔が下向きだ!頭部の平衡を保って~!」と指示が出て、気道を確保しつつ、頭部を後方に移動して顔を上げます。頭の後方移動により喉が圧迫されるため、下あごを前に突き出して舌が喉の奥に落ち込まないようにして気道を広げます。頭の位置は、身体の中心軸より後方に位置した箇所で固定化します。

以上舌の位置や鼻詰まりが原因でいずれも「呼吸困難」という状況が生まれ、頭の平衡と気道の確保を両立するために身体の重心から頭の位置がずれることになります。①のように舌が気道を塞ぐ場合は、喉元を広げて顔を前に出す姿勢になり(=あご引き型)、③のように鼻で呼吸ができない場合は、顔を後方に移動して下あごが前に出る姿勢に変化します(=あご出し型)。
司令塔が体の中心軸からずれた位置で固定されると、頸椎の上の小指の先程度の小さな二つの骨から頭がゴロリと落ちそうになるので、台車は首の筋肉を使って司令塔が落ちないように引っ張り続けます。首には“気道を確保するために小さな2つの骨から落ちるような力”が加わる一方で、“落ちないように引っ張り上げる逆向きの力”が同時に加わります。
◆頭部と下あごはまるで建築物の免震構造のように動いているように見えます。頭部が平衡を保ったまま前方に移動すると下あごは後ろに移動し、頭部が平衡を保ったまま後ろに移動すると下あごが前に出るという動きです。
★噛みしめが起きる姿勢かは、咬合平面の傾きを知る方法で分かります。
厳密にはレントゲン写真から測定しますが、割り箸を使ってだいたいの傾向を知ることができます。
割り箸を2本用意し、一本の先を右の奥歯で噛みます。そのままもう一本を口の左側に入れて、先を左奥歯で噛み(順番はどちらからでも構いません)口を閉じます。口から割り箸2本が飛び出している状態ですが、この割り箸を咬合平面の延長と想定します。
立った状態で正面を向き、頭が垂直になったと思う所で静止します。コツは遠く、水平のかなたを見るようなイメージで正面を見ることです。その様子を家族か友人に横から写真に撮影してもらい、水平面との割り箸との角度を測ります。
頭が平衡を保っているときは、水平面と割り箸がほぼ一致し、咬合平面が水平の状態だと言えます。 
また割り箸(=咬合平面)が上を向く人は、実際にはほとんど見られませんが、このような人に噛みしめはありません。自分は正面を向いて水平方向を見ているつもりなのに、噛んだ割り箸が下を向く人は、顔がいつも下を向いている証です。水平面との角度が10~15度を超えるような人は、慢性的な噛みしめと顎関節に異常をきたしていることが考えられます。20度の人は重症です。
◆噛みしめは、冒頭のチェックシートにあったように様々な不定愁訴と深く関連しています。噛みしめを治療するためには、頭部の平衡を回復して反射が作用し続ける状態を解消しなければなりません。
私の治療では、下あごを前方に誘導するスプリントを用いて噛み合わせに高さを与え、舌が喉に落ち込んで気道を圧迫しないよう改善していきます。
★左側を強く噛む人は、右膝が伸びて衝撃を筋肉で受け止めることができないため、日常の歩いたり、走ったり、飛んだり跳ねたりする衝撃を右側の膝と股関節で受け止めます。私の診察室では左側に噛みしめのある患者さんは、ほとんど右側の腰、膝、股関節に不定愁訴を抱えています。
★「噛み締め」という言葉から、“噛む筋肉を左右均等に強く食いしばる”状態をイメージする人もいるかもしれません。しかし実際には“どちらか片方の噛む筋肉をより強く噛み締める”人がほとんどです。そして不思議なことに、診察室で診る患者さんの9割ほどは、左側の噛む筋肉に硬直と「噛み締め」状態があります。
◆緊張性頭痛(非血管性頭痛)
背中の筋肉は身体の中で最も強い筋肉で、この筋肉が緊張し収縮すると、筋肉の足場となっている骨盤と方の筋肉を引き寄せます。よってストレスがかかると骨盤を押し上げ回転させてしまいます。
私は日々の診療から、緊張性頭痛は、奥歯の噛み合わせの高さが十分ではなく、気道を確保するために頭に押し下げ回転がかかる傾向の強い人が、職場のストレスなどで身体中の筋肉を緊張させたときに、特に強い筋力を持つ背中の筋肉が収縮して骨盤を押し上げ回転させてしまうことで、引き起こされていると考えています。頭と骨盤が逆向きに回転し、腰椎や頸椎に生じた歪みが発端となって全身に起きる不定愁訴のうちの一つの症状ととらえています。 
治療は、首の後ろ側の筋肉を押圧した時に頭に響く痛みがあれば緊張性頭痛を疑います。
仮に首の後ろの左側に痛みを感じれば、割り箸を2~3本重ねて、右側の小臼歯から奥歯にかけて噛んでみてください。噛み合わせを高い状態にすると、頭に押し上げ回転が起きて後頭部の筋肉が弛緩します。実際の噛み合わせの治療も、奥歯を高い状態に改善して頭に押し上げ回転を促し、下あごを前方の位置に誘導します。このような治療を基に、首の筋肉の緊張を開放させる治療を行います。
一方、骨盤の押し上げ回転に対しては、運動療法によって丹田を鍛え、骨盤の押し下げ回転力を強めます。
◆片頭痛(血管性頭痛)
私は片頭痛の原因は、噛み締めと鱗状縫合の働きが密接に関わっていると考えています。ストレスの多い生活によって強い噛み締め状態が長期間続き、噛む筋肉が収縮して硬直している状態が続くと、鱗状縫合は閉じたままの状態が続きます。
ストレスから解放されると、全身の筋肉が弛緩して噛み締めや食いしばりからも解放され、噛み締めによって長期間閉じていた鱗状縫合が開きます。動脈血管は膨張や収縮に余裕をもって対応できますが、血管を網タイツのように取り巻く神経線維は血管ほど伸縮性がありません。突然の変化に、鱗状縫合に接していた血管の周囲は急激に減圧となって、血管が膨らんだり周囲に引っ張られたりします。そのため血管を取り巻く神経は引きちぎられて傷つき、拍動を伴った激しい頭痛が発現します。
つまり、ストレスから解放されたことでセロトニンの消失による血管の膨張と、噛み締めの解消による鱗状縫合の弛緩という、身体の中でただ一ヶ所、2つの膨張要素が重なって三叉神経の損傷が起きる為、こめかみにだけ痛みが出現するというのが私の考えです。
◆緊張性頭痛と片頭痛の2つの頭痛は密接に関わっていると言えます。緊張性頭痛は、噛み締めが続いて収縮し続けている首の筋肉が痛みを感じ、その神経につながっている頭部にも関連痛として痛みが伝わった頭痛です。そして片頭痛は、その緊張がふっと解けた瞬間に血管自体が膨張し、さらに噛む筋肉も弛緩して足場となっているこめかみの鱗状縫合が開き、周辺の血管を取り巻く神経が傷つけられる痛み、ということがこれまでの研究で分かってきました。
★細い眼、眼が乾く、三白眼、左右の眼の大きさの違い
女児の玩具で寝かせるとまぶたが閉じ、起こすとまぶたが開く人形があります。人間の眼も同じように眼球は水平状態を保とうとします。そのため顔が上に向くとまぶたは下がり、顔が下に向くと、まぶたが上がります。
奥歯の嚙み合わせが低い人、または、喉の気道が狭い人は首の後ろの筋肉の収縮によって後頭部を押し下げ、顔が上を向くために、まぶたが下がり、細目になります。
逆に、奥歯の支えが高くなっている人、または、アレルギー性鼻炎などによって口呼吸がある人は、首の後ろ側の筋肉の弛緩と首の前側の筋肉の収縮によって、後頭部を押し上げます。このような人は、“まぶた”が上がり、眼が大きく開き、下方の白眼が大きく(三白眼)、まぶたが閉じづらい状態になります。乾燥した環境ではドライアイになりやすくなります。
左右の眼の大きさに違いがある人は、まぶたが下がり、細目になっている側の噛む筋肉が収縮し、噛み締め状態が続いています。噛み締めのない反対側は、まぶたが上がるために眼は大きく見えます。 
片眼だけを大きく見開く“びっくり眼”症状も噛みしめが起こっている反対側の眼に現れます。
「噛み締め」の状態が左右で違う人は、左右の眼の大きさに違いが生じます。
◆耳痛、耳がつまってむずがゆい、耳に圧迫感がある症状は、奥歯の噛み合わせが低く「噛み締め」が起きている側に起きます。
噛み締めの状態が強いと、顎関節頭が顎関節窩後壁を直接圧迫し、薄い骨で隔てた外耳道を圧迫する為、耳の痛みや、難聴を引き起こします。このような症状がある人は耳の穴に小指を入れ、口の開け閉めや噛み締める時に関節頭の動きが外耳道前壁で感じ取れるか確認してみてください。関節頭の動きが小指から伝わり、痛みが強く感じる側は、噛み合わせの高さが不足していることに加え、強い「噛み締め」があると考えられます。
口の中が乾く、口臭がある、舌がしびれる、舌痛
噛み締め状態が続くと、噛む筋肉や喉周囲の筋肉が硬直しているために血流が悪く、唾液腺の働きが弱まり、口の中が乾きます。また喉の周囲の筋肉の収縮も起こっているために舌に分布する神経の周りの血流を弱め、舌痛、舌にしびれを起こすことが考えられます。
さらに噛み締めによって口腔が狭くなるため、舌を前歯に押し当てるように前方に押し出し、喉の気道を広げようとします。歯に押し当てた舌の力が舌に圧痕を作ります。舌に歯の圧痕がつく症状は慢性的な「噛み締め」によるものです。
嚥下は一日2000回行われていると言われています。正しい嚥下運動は舌の奥の部分の上下運動によって行われますが、舌を前方に押し出す動きになっていたり、口腔の幅が狭く舌の横と歯が密着している場合は、嚥下のたびに舌が歯にこすれて、舌の横っ腹が傷つき、嚥下をするたびに痛みが起こります。
◆アレルギー性鼻炎など耳鼻科的疾患がないにも関わらず、「鼻で息がしにくいと感じる」状態は、口の中に舌が収まるスペースが不足しているために舌が喉に落ち込んで、軟口蓋が押し上げられている状態が考えられます。
このような人の歯並びの特徴は、奥歯の噛み合わせが低く、上あごの前歯が下あごの前歯に深く覆いかぶさり、舌あごは後方位置に留まって前方に動く自由度が失われ、歯列の内側に舌が収まる十分なスペースがありません。
そして、噛み締めが強くなると、喉周囲の筋肉の収縮によって下あごはさらに奥に滑り込むように後方に引かれ気道を圧迫します。喉に落ち込んだ舌がさらに軟口蓋を押し上げ、鼻の気道に閉そく状態を起こします。この状態が「鼻が詰まった感じ」をもたらします。
◆蓄膿症との関係
口元が正常な人は、通常、舌が上あごの口蓋に張り付き、上の歯の歯列の中に納まっています。舌が内側から外側に向けて歯列を押す為、上の歯列は大きく広がり、成長に合わせて必要な大きさの上あごが育ちます。何らかの理由で舌が上あごの口蓋に張り付かなくなった人は、歯列を内側から外側へ押していた圧力がなくなるため、歯列はどんどん内側に向かって小さくなります。このとき口蓋は行き場を失って上方へ膨らみます。私たちは「口蓋が深くなる」と表現しますが、上あごの上方へのくぼみが大きく、深くなる状態です。
歯列にドーム状にかぶさる天井のような口蓋が、歯列の広がりが小さくなるとトンガリ屋根のような背の高い天井になります。上顎のくぼみが大きい人は、歯列の広がりが小さく、口蓋が鼻方向に膨らんでいる人といえます。
口蓋が鼻方向に膨らむと、鼻の中央で鼻腔を左右に隔てている鼻中隔が大きく影響を受けます。下からの力で鼻中隔が折れ曲がり、鼻筋が途中で曲がったようになります。この状態を鼻中隔湾曲症といいます。鼻中隔は口蓋から伝わる力を垂直に受け止める為、口蓋と鼻中隔の接点は直角になります。
私のこれまでの診察の結果、常に左側に噛み締めがある人は、噛む筋肉の収縮によって口蓋の左側が強く圧迫され、鼻中隔は右側に膨らむように湾曲する傾向が認められました。そのため右側の上顎洞開口部を圧迫して上顎洞がつまり、右側の鼻に蓄膿症を引き起こしたとみられる患者さんもいました。
◆首のコリ、首が回らない
咬合平面を首側に延長させ、首の後ろ側のあたりを指で押してみて下さい。強く噛んでいる側の首の筋肉に「痛みを伴うしこり」を見つけることができると思います。
この部位にコリや、硬結のある人は常に頸反射が反応し続けており、身体にねじれがおきています。
この「しこり」が消失しない限り頸反射は反応し続け、身体が歪んでいきます。
◆左右の肩の高さの違い、左右の骨盤の高さの違い
片方のどちらかだけを強く噛み締め続けると、頸反射によって身体は左右にもねじれが生まれ、左右非対称となっていきます。左側を強く噛み続けると、下あごは左側が後方に引き寄せられ、下あごの右側は前に出ます。上の前歯の正中線に対して下あごの正中線は左側にずれが起きることもあります。
下あごの動きに続いて頭部も左を向き始め、左右を見る時に、左側に首を回す方が楽になります。
また噛む筋肉の収縮により、左肩が上がり、相対的に右肩が下がります。左肩は背中側に引っ張られ、右肩は下がりながら身体の前側に引っ張られ、左右の方の高さに違いが生まれます。さらに骨盤は左側が下がり、右骨盤は上がって右膝は伸びてロック状態になります。
床に仰向けに寝て、床から左右の方の高さを測ってください。左側の噛みしめが強い場合、左肩は床と接し、右肩は床から浮いた状態になっているはずです。また腰も左側が床に接して、右側が浮きます。脚を伸ばすと、左脚は膝関節が伸びて長くなり、右脚は既に伸展状態になっているため、結果的に左の脚が長くなります。
実際に、左に強い噛み締め状態が続いている人は、左肩が上がって「怒り肩」になります。そのために左の肩はショルダーバッグが肩から落ちにくく、かけやすくなります。右肩は「なで肩」になり、頸反射で屈曲する右腕にはハンドバッグがかけやすくなります。
◆基本的に上半身の不調や身体全体の歪みは第2項のマッサージとストレッチで改善が図れると思います。腰や膝など下半身の不調はさらに第3項の運動療法を取り入れてみてください。
◆矯正治療後の後戻りを起こさないためには舌が常に正しい位置にきて、しっかり口蓋に張り付く力が必要になります。
口の機能は授乳時期から始まります。
この時期に間違った舌の動きが身に付くと、舌が上あごに張り付く定位置に狂いが生じ、上下のあごの発育と調和のとれた歯並びが歪むことになります。
嚥下機能に障害を起こす始まりは、授乳期の間違った人工乳首の選択によって起こります。正しい授乳行為は反射機能を養い、とくに筋肉の力や正しい呼吸、嚥下機能を育て、下あごの正しい位置と機能を育てます。

           
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