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船長

 

私の父は船長だったのですが、「船に何かあったら俺は船と一緒に沈む」といっていました。
幸い今は引退してのんびりしているのですが、船長の責任は重大です。
沈むとまではいかないまでも、父は船長が船を脱出するのは最後という認識があったみたいです。
船員法に書いてある条文を確認しましょう。

 

 

船長の職務及び権限

 

 

第二章 船長の職務及び権限

 

 

(指揮命令権)

第七条 船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。

 

(発航前の検査)

第八条 船長は、国土交通省令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整つているかいないかを検査しなければならない。

 

(航海の成就)

第九条 船長は、航海の準備が終つたときは、遅滞なく発航し、且つ、必要がある場合を除いて、予定の航路を変更しないで到達港まで航行しなければならない。

 

(甲板上の指揮)

第十条 船長は、船舶が港を出入するとき、船舶が狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない。

 

(在船義務)

第十一条 船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない。

 

(船舶に危険がある場合における処置)

第十二条 船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。

 

(船舶が衝突した場合における処置)

第十三条 船長は、船舶が衝突したときは、互に人命及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港及び到達港を告げなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない。

 

(遭難船舶等の救助)

第十四条 船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない。

 

(異常気象等)

第十四条の二 国土交通省令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷その他の異常な気象、海象若しくは地象又は漂流物若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶及び海上保安機関その他の関係機関に通報しなければならない。

 

(非常配置表及び操練)

第十四条の三 国土交通省令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合その他非常の場合における海員の作業に関し、国土交通省令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示して置かなければならない。
○2 国土交通省令の定める船舶の船長は、国土交通省令の定めるところにより、海員及び旅客について、防火操練、救命艇操練その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。

 

 

(航海の安全の確保)

第十四条の四 第八条から前条までに規定するもののほか、航海当直の実施、船舶の火災の予防、水密の保持その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、国土交通省令でこれを定める。

 

(水葬)

第十五条 船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。

 

(遺留品の処置)

第十六条 船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたときは、法令に特別の定がある場合を除いて、船内にある遺留品について、国土交通省令の定めるところにより、保管その他の必要な処置をしなければならない。

 

(在外国民の送還)

第十七条 船長は、外国に駐在する日本の領事官が、法令の定めるところにより、日本国民の送還を命じたときは、正当の事由がなければ、これを拒むことができない。

 

(書類の備置)

第十八条 船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。
一 船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書
二 海員名簿
三 航海日誌
四 旅客名簿
五 積荷に関する書類
六 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二十六条第三項に規定する証明書
○2 海員名簿、航海日誌及び旅客名簿に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

 

(航行に関する報告)

第十九条 船長は、左の各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
一 船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。
二 人命又は船舶の救助に従事したとき。
三 無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。
四 船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。
五 予定の航路を変更したとき。
六 船舶が抑留され、又は捕獲されたときその他船舶に関し著しい事故があつたとき。

 

(船長の職務の代行)

第二十条 船長が死亡したとき、船舶を去つたとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う。

 

 

この中で第14条の3、第18条、第19条(青文字)は要チェックです。

 

 

船員法施行規則
(操練)
第三条の四 前条第一項各号に掲げる船舶における法第十四条の三第二項の非常の場合のために必要な海員に対する操練は、非常配置表に定めるところにより海員をその配置につかせるほか、次に掲げるところにより実施しなければならない。
一 防火操練 防火戸の閉鎖、通風の遮断及び消火設備の操作を行うこと。
二 救命艇等操練 救命艇等の振出し又は降下及びその附属品の確認、救命艇の内燃機関の始動及び操作並びに救命艇の進水及び操船を行い、かつ、進水装置用の照明装置を使用すること。
三 救助艇操練 救助艇の進水及び操船並びにその附属品の確認を行うこと。
四 防水操練 水密戸、弁、舷窓その他の水密を保持するために必要な閉鎖装置の操作を行うこと。
五 非常操舵操練 操舵機室からの操舵設備の直接の制御、船橋と操舵機室との連絡その他操舵設備の非常の場合における操舵
を行うこと。
六 密閉区画における救助操練 保護具、船内通信装置及び救助器具を使用し、並びに救急措置の指導を行うこと。
七 特定高速船にあつては、前各号に掲げるところによるほか、次の表に定めるところにより実施すること。
防火操練
火災探知装置、船内通信装置及び警報装置の操作並びに旅客の避難の誘導を行うこと。
救命艇等操練
非常照明装置及び救命艇等に附属する救命設備の操作並びに海上における生存方法の指導を行うこと。
防水操練
ビルジ排水装置の操作及び旅客の避難の誘導を行うこと。
○2 前項の船舶のうち、旅客船(国内各港間のみを航海する旅客船及び特定高速船を除く。)においては少なくとも毎週一回、旅客船である特定高速船においては一週間を超えない間隔で、旅客船以外の船舶である特定高速船においては一月を超えない間隔で、これら以外の船舶においては少なくとも毎月一回、海員に対する操練(膨脹式救命いかだの振出し及び降下並びにその附属品の確認、救命艇の進水及び操船、救助艇操練、非常操舵操練並びに密閉区画における救助操練を除く。第六項において同じ。)を実施しなければならない。
○3 海員に対する操練のうち、膨脹式救命いかだの振出し又は降下及びその附属品の確認は、少なくとも一年に一回(乙区域又は甲区域(船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令(昭和五十八年政令第十三号)別表第一の配乗表の適用に関する通則12又は13の乙区域又は甲区域をいう。)において従業する総トン数五百トン以上の漁船(次項及び第六項において「外洋大型漁船」という。)以外の漁船においては、少なくとも二年に一回)実施しなければならない。
○4 海員に対する操練のうち、救命艇の進水及び操船は搭載する全ての救命艇について少なくとも三月に一回(国内各港間のみを航海する船舶(特定高速船及び漁船を除く。)及び外洋大型漁船以外の漁船(以下この項及び第七項並びに第三条の九第二項第二号及び第三号において「国内航海船等」という。)においては、少なくとも一年に一回)、救助艇操練及び非常操舵操練は少なくとも三月に一回(国内航海船等の救助艇操練にあつては、少なくとも一年に一回)、それぞれ実施しなければならない。
○5 海員に対する操練のうち、密閉区画における救助操練は、少なくとも二月に一回実施しなければならない。
○6 第一項の船舶のうち、漁船以外の船舶(国内各港間のみを航海する旅客船を除く。)及び外洋大型漁船においては、発航の直前に行われた海員に対する操練に海員の四分の一以上が参加していない場合は、発航後二十四時間以内にこれを実施しなければならない。
○7 第一項の船舶のうち国内航海船等以外の船舶(国内各港間のみを航海する特定高速船を除く。)であつて、出港後二十四時間を超えて船内にいることが予定される旅客が乗船するものにおいては、当該旅客に対する避難のための操練を当該旅客の乗船後最初の出港の前又は当該出港の後直ちに実施しなければならない。ただし、荒天その他の事由により実施することが著しく困難である場合は、この限りでない。
○8 第一項の船舶以外の船舶においては、海員に対する操練のうち、第一項第五号に掲げる操練は少なくとも三月に一回、同項第六号に掲げる操練は少なくとも二月に一回、それぞれ実施しなければならない。

 

船員法施行規則
(航行に関する報告)
第十四条 船長は、法第十九条の規定により報告をしようとするときは、遅滞なく、
最寄りの地方運輸局等の事務所(地方運輸局(運輸監理部を含む。)
並びに運輸支局(地方運輸局組織規則(平成十四年国土交通省令第七十三号)
別表第二第一号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)、
海事事務所及び内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十七条第一項の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所
で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち
国土交通省組織令(平成十二年政令第二百五十五号)第二百十二条第二項に規定する事務を分掌するもの
(以下「運輸支局等」という。)(以下「地方運輸局の事務所」という。)
並びに法第百四条の規定に基づき国土交通大臣の事務を行う市町村長(以下「指定市町村長」という。)
の事務所をいう。以下同じ。)
において、地方運輸局長又は指定市町村長(以下「地方運輸局長等」という。)に対し第四号書式による報告書三通を提出し、
かつ、航海日誌を提示しなければならない。
ただし、滅失その他やむを得ない事由があるときは、航海日誌の提示は、要しない。

 

 

 

 

 

 

練習問題

 

@船員法第18条第1項の規定に基づき、船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、船舶国籍証書又は国土交通省令が定める証書
、積荷に関する書類及び海上運送法第26条第3項に規定する証明書の他にどのような書類を船内に備え付けなければならないか。

 

@答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

海員名簿
航海日誌
旅客名簿

 

 

 

A○○の時間の長さは?

 

国内航海船等以外の船舶(国内各港間のみを航海する特定高速船を除く。)であつて、出港後○○を超えて船内にいることが予定される旅客が乗船するものにおいては、当該旅客に対する避難のための操練を当該旅客の乗船後最初の出港の前又は当該出港の後直ちに実施しなければならない。ただし、荒天その他の事由により実施することが著しく困難である場合は、この限りでない。

 

A答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)
24時間

 

 

 

 

B〇か×か?

 

船舶が衝突したとき、船員法第十九条に基づく航行に関する報告については、最寄りの地方運輸局の事務所に対し、
必要に応じて電話連絡又はメールの手段を講じればよい。

 

B答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)
×  第四号書式による報告書三通を提出し、かつ、航海日誌を提示しなければならない。 

 

 

 

 

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