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雇用1

 

船員法の第四章は雇用契約等ということで、第31条〜第51条まで主要な部分を確認しましょう。

 

 

 

 

 

 

(この法律に違反する契約)

第三十一条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約
(予備船員については、雇用契約。以下この条、次条、第三十三条、第三十四条、第五十八条、第八十四条及び第百条において同じ。)は、その部分については、無効とする。
この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、この法律で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなす。

 

 

独断で雇用主が基準に達しない労働条件を定めても、その部分は無効ということですね。
そして無効部分については、船員法で定める基準に達する労働条件を定めたものとするとなっています。
口述試験で度々出ているみたいです。

 

 

 

 

 

(雇入契約の締結前の書面の交付等)

第三十二条 船舶所有者は、雇入契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該雇入契約の相手方となろうとする者(次項において「相手方」という。)に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
一 船舶所有者の名称又は氏名及び住所
二 給料、労働時間その他の労働条件に関する事項であつて、雇入契約の内容とすることが必要なものとして国土交通省令で定めるもの
○2 前項の場合において、当該雇入契約に係る航海が海上運送法第二十六条第一項の規定による命令によるものであるときは、船舶所有者は、あらかじめ、相手方に対し、その旨を書面を交付して説明しなければならない。
○3 船舶所有者は、雇入契約の内容(第一項第二号に掲げる事項に限る。)を変更しようとするときは、あらかじめ、船員に対し、当該変更の内容について書面を交付して説明しなければならない。
○4 第二項の規定は、前項の場合について準用する。

 

 

練習問題

 

船舶所有者は、雇用契約を締結しようとするものに対し、次の掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
@ (ア) 及び住所

 

A (イ)、(ウ)その他労働条件に関する事項であつて、雇用契約の内容とすることが必要なものとして国土交通省令で定めるもの

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

(ア)船舶所有者の名称又は氏名
(イ)給料
(ウ)労働時間

 

 

 

 

 

(賠償予定の禁止)

第三十三条 船舶所有者は、雇入契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

 

 

 

練習問題

 

〇か×か

 

船舶所有者はやむを得ず雇用契約が不履行となる事態に備え、船員と協議のもと違約金について定め、または損害賠償額を予定する契約をしておかなければならない。

 

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

×  そのような契約はしてはいけません!

 

 

 

 

(貯蓄金の管理等)

第三十四条 船舶所有者は、雇入契約に附随して、貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
2 船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金を管理しようとする場合においては、国土交通省令の定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出なければならない。
3 船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金の管理をする場合において、貯蓄金の管理が預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利率が金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して国土交通省令の定める利率を下るときは、その国土交通省令の定める利率による利子をつけることとしたものとみなす。
4 船員は、船舶所有者に管理を委託した貯蓄金については、いつでも、返還を請求することができる。

 

 

練習問題

 

〇か×か

 

船舶所有者はやむを得ず雇用契約が不履行となる事態に備え、船員と協議のもと違約金について定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならないが、船員の財産形成の促進のため、雇入契約に付随して、貯蓄の契約をさせることはできる

 

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

×  貯蓄もダメ!

 

 

 

 

 

(相殺の制限)

第三十五条 船舶所有者は、船員に対する債権と給料の支払の債務とを相殺してはならない。但し、相殺の額が給料の額の三分の一を超えないとき及び船員の犯罪行為に因る損害賠償の請求権を以てするときは、この限りでない。

 

 

練習問題

 

船舶所有者が船員に対する債権と給与の支払いの債務を相殺できるのはどのような場合か2つ述べよ。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

@相殺の額が給料の額の三分の一を超えないとき
A船員の犯罪行為に因る損害賠償の請求権を以てするとき

 

 

 

 

(雇入契約の成立時の書面の交付等)

 

第三十六条 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を船員に交付しなければならない。
一 第三十二条第一項各号に掲げる事項
二 当該雇入契約を締結した船員の氏名、住所及び生年月日
三 当該雇入契約を締結した場所及び年月日
○2 船舶所有者は、雇入契約の内容(第三十二条第一項第二号に掲げる事項に限る。)を変更したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その変更の内容並びに当該変更について船員と合意した場所及び年月日を記載した書面を船員に交付しなければならない。
○3 船舶所有者は、前二項の書面の写しを船内に備え置かなければならない。

 

船員法施行規則
(雇入契約の成立時の書面の交付等)
第十六条の四 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、法第三十六条第一項に規定する書面を二通作成し、うち一通を船員に交付し、他の一通を船員の死亡又は雇入契約の終了の日から三年を経過する日までの間、主たる船員の労務管理の事務を行う事務所に備え置かなければならない。
○2 前項の規定は、雇入契約の内容(第十六条各号に掲げる事項に限る。)を変更したときについて準用する。この場合において、同項中「第三十六条第一項」とあるのは「第三十六条第二項」と読み替えるものとする。
○3 本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海に従事する船舶の船舶所有者は、法第三十六条第三項の規定により同条第一項及び第二項の書面の写しを船内に備え置く場合において、当該書面が英語以外の言語によつて作成されているときは、英語による訳文を添付しなければならない。

 

練習問題

 

@〇か×か?
船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、当該雇用契約を締結した船員の氏名、住所及び生年月日を記載した書面を二通作成し、うち一通を船員に交付し、他の一通を船員の死亡または雇用契約の終了の日から三年を経過するまでの間、主たる船員の労務管理の事務を行う事務所に備え置かなければならない。

 

 

A船舶所有者は、雇入契約の内容(第三十二条第一項第二号に掲げる事項に限る。)を変更したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その変更の内容並びに当該変更について(ア)及び(イ)を記載した書面を船員に交付しなければならない。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

@〇  ※さらに写しを船内に備え置かなければならない
A(ア)船員と合意した場所(イ)年月日

 

 

 

 

 

 

(雇入契約の成立等の届出)

第三十七条 船長は、雇入契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇入契約の成立等」という。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない。
○2 前項の場合において船長が届け出ることができないときは、船舶所有者は、船長に代わつて届け出なければならない。

 

 

船員法施行規則
(雇入契約の成立等の届出)
第十八条 船長(法第三十七条第二項の規定により雇入契約の成立等の届出を行うべき船舶所有者を含む。次条及び第二十条において同じ。)は、船員の雇入契約の成立等があつたときは、最寄りの地方運輸局等の事務所において地方運輸局長等に対し届け出なければならない。ただし、労働協約若しくは就業規則の定めにより又はこれらの変更に伴い労働条件が変更された場合は、当該変更について雇入契約の変更の届出をすることを要しない。この場合において、就業規則は、法第九十七条の規定により届出されたものでなければならない。

 

 

 

 

練習問題

 

@〇か×か?
船舶所有者は、雇用契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇用契約の成立等」)があったときは、国土交通省令で定める
ところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならないが、船舶所有者が届け出ることができないときは、船長が、船舶所有者に代わって届け出なければならない。

 

 

A船員法第37条において船長は、国土交通大臣に雇用契約の成立当の届出を行わなければならないが、船員法施行規則第18条の規定により、雇用契約の変更の届出を要しない場合とはどのような場合か述べよ。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

@× 届出義務者は船長
A労働協約若しくは就業規則の定めにより又はこれらの変更に伴い労働条件が変更された場合

 

 

 

 

 

 

(沈没等に因る雇入契約の終了)

第三十九条 船舶が左の各号の一に該当する場合には、雇入契約は、終了する。
一 沈没又は滅失したとき。
二 全く運航に堪えなくなつたとき。
○2 船舶の存否が一箇月間分らないときは、船舶は、滅失したものと推定する。
○3 第一項の規定により雇入契約が終了したときでも、船員は、人命、船舶又は積荷の応急救助のために必要な作業に従事しなければならない。
○4 前項の規定により応急救助の作業に従事する場合には、第一項の規定にかかわらず、その作業が終了するまでは、雇入契約は、なお存続する。船員がその作業の終了後引き続き遺留品の保全、船員の送還その他必要な残務の処理に従事する場合において、その処理が終了するまでの間についても、同様とする。
○5 前項後段の規定により雇入契約が存続する間においては、船舶所有者又は船員は、いつでも、当該雇入契約を解除することができる。

 

練習問題

 

〇か×か?

 

船舶の存否が一箇月間わからないときは、船舶は滅失したものと推定し、雇用関係は終了する。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)


 

 

(雇入契約の解除)

第四十条 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一 船員が著しく職務に不適任であるとき。
二 船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき。
三 海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき。
四 海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。
五 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
六 前各号の場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。

 

第四十一条 船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一 船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失つたとき。
二 雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。
三 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
四 船員が国土交通省令の定めるところにより教育を受けようとするとき。
○2 船舶が外国の港からの航海を終了した場合において、その船舶に乗り組む船員が、二十四時間以上の期間を定めて書面で雇入契約の解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に、その者の雇入契約は、終了する。
○3 海員は、船長の適当と認める自己の後任者を提供したときは、雇入契約を解除することができる。

 

第四十二条 期間の定のない雇入契約は、船舶所有者又は船員が二十四時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に終了する。

 

通常の会社の退職だと、民法によって、期間の定のない雇用は解約の申し入れの日から2週間経過することによって終了します。
そのルールが船舶法だと24時間。よりスピーディーです。

 

 

船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないときは船舶所有者からも船員からもやめれると覚えておきましょう。
労働問題で不当解雇の話題も多いかと思いますが、船は乗ったらすぐに降りれないので命にかかわります。
疾病はしっぺいと読みます。

 

練習問題

 

 

 

@〇か×か?
船員が負傷または疾病のため職務に堪えないとき、船舶所有者は雇用契約を解除することができるが、船員は解除することがなきない。

 

A機関の定のない雇用契約は船舶所有者又は船員が(ア)時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了したときに終了する。

 

B船舶所有者が船員との雇用契約を解除することができるのはどのようなときか。船舶法第40条に規定する解除事由を3つ挙げよ。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

@× 船員も解除できる
A24
B下記より3つ
一 船員が著しく職務に不適任であるとき。
二 船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき。
三 海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき。
四 海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。
五 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

 

 

(船舶所有者の変更に因る雇入契約の終了)

第四十三条 相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があつたときは、雇入契約は、終了する。
○2 前項の場合には、雇入契約の終了の時から、船員と新所有者との間に従前と同一条件の雇入契約が存するものとみなす。この場合には、船員は、前条の規定に準じて雇入契約を解除することができる。

 

 

練習問題

 

〇か×か?

 

相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があったときは、雇用契約は、終了する。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

〇 いったん終了して、終了の時から船員と新所有者との間に従前と同一条件の雇入契約が存するものとみなす。

 

 

 

 

 

(雇入契約の延長)

第四十四条 雇入契約が終了した時に船舶が航行中の場合には、次の港に入港してその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約が終了した時に船舶が停泊中の場合には、その港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、その雇入契約は、存続するものとみなす。
○2 船舶所有者は、雇入契約が適当な船員を補充することのできない港において終了する場合には、適当な船員を補充することのできる港に到着して荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約を存続させることができる。但し、第四十一条第一項第一号乃至第三号の場合は、この限りでない。

 

雇入契約が終了した時、下記まで、雇入契約は、存続するものとみなす。

 

船舶が航行中→次の港に入港してその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで
船舶が停泊中→その港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで

 

第四十一条第一項第一号乃至第三号は船員から解除したとき。
一 船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失つたとき。
二 雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。
三 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

 

 

練習問題

 

@船員法第44条の規定に基づき、雇用契約が終了した時に船舶が航行中の場合は、雇入契約が存続するものとみなされるが、それはいつまでか答えよ。

 

A船員法第44条の規定に基づき、雇用契約が終了した時に船舶が停泊中の場合は、雇入契約が存続するものとみなされるが、それはいつまでか答えよ。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

@次の港に入港してその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで
Aその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで

 

 

(解雇の予告)

第四十四条の三 船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない船舶所有者は、一箇月分の給料の額と同額の予告手当を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は予備船員の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。
○2 前項の予告の日数は、一日について、国土交通省令の定めるところにより算定する給料の額と同額の予告手当を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
○3 第一項但書の場合においては、その事由について国土交通大臣の認定を受けなければならない。

 

練習問題

 

船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも(ア)にその予告をしなければならない。(ア)に予告をしない船舶所有者は、(イ)の給料の額と同額の予告手当を支払わなければならない。

 

答えはこちら(白文字にしているので文字範囲選択してね)

(ア)三十日前
(イ)一箇月分

 

(失業手当)

第四十五条 船舶所有者は、第三十九条の規定により雇入契約が終了したときは、その翌日(行方不明となつた船員については、その生存が知れた日)から二箇月(その行方不明について行方不明手当の支払を受くべき船員については、二箇月から行方不明中の期間を控除した期間)の範囲内において、船員の失業期間中毎月一回その失業日数に応じ給料の額と同額の失業手当を支払わなければならない。

 

第三十九条→沈没等に因る雇入契約の終了

 

(雇止手当)

第四十六条 船舶所有者(第四号の場合には旧所有者)は、左の各号の一に該当する場合には、遅滞なく、船員に一箇月分の給料の額と同額の雇止手当を支払わなければならない。
一 第四十条第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
二 第四十一条第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
三 第四十二条の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
四 第四十三条第一項の規定により雇入契約が終了したとき。
五 船員が第八十三条の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。

 

 

雇用2に続きます

 

 

 

 

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